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許さない!

 パーティーへの紹介が終わった後、少し遅めの昼食を食べた僕は寝室に帰ってきていた。


「病み上がりは今日一日寝ていなさい!ロイン!ちゃんと養生するように見張っててね!」


 とリオンに言われてしまった為流石に反論できなかったのだ。


 しぶしぶベッドの中で横になる。


 退屈だなー……と思いながらロインさんと話をしようかと思ったのだが、そうする事は出来なかった。


 ベッドに入った途端に僕を強烈な睡魔が襲う。


 そのまま僕は抗う事が出来ずに眠りに落ちるのだった。


「グレンくーん、ちゃんと……寝てるね、元気そうにしてたけどやっぱりあれはきつかったのかな?」


 そう言ってバウルは部屋に置かれた机に向かう。


「信じられない事だらけだけど、起きちゃったもんなぁ、それにリオンちゃんの身内だと思えば納得か」


 そう一人ごちるとロインはそのまま机に向かう。


「さて、今日は久しぶりに筆をすすめられそうだ」


 そういって机に向かった後は、部屋には寝息と筆の音だけがするのだった。


 一方その頃




「リオンちゃん、本当にやるの?」


「当たり前よ!グレンをあんな目に合わせるなんて……思い知らせてやる」


「まーた、リオンはグレンが絡むとすごいねぇ」


「本当に、よっぽど大事なのね」


「な、なによ!家族に危害を加えられて、怒っちゃいけないの!?」


「はいはい、そういうことにしといてやるよ」


 二人を除いた一行は冒険者ギルドへの道を歩いていた。


 先頭はリオンで、その後ろに三人がついていく形である。


 その中の会話の一幕が先のものであり、それで色々察せられると思うが、彼らは冒険者ギルドにグレンがどういうことになったのかを報告し、そんな目に合わせた奴等に制裁を加えようとしているのである。


「着いたわ、入るわよ」


 その一言と共に入っていく一行は迷うことなく報告カウンターに向かっていった。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 そう言って受付嬢が目の吊り上がった状態のリオンに微笑みかける。


「非常に遺憾な事が起きたから報告にきたの、はい、ギルドカード」


 不機嫌そうなオーラ全開の彼女だが、その感情向けられていないと分かっている受付嬢は笑顔を崩さずに素早く確認処理を行う。


「確認しました、カードをお返しします、それでDランクパーティーデラシネのリオン様、報告とはなんでしょうか?」


「その前に、一つ確認させて、冒険者でサポーターとして登録されているグレンっているでしょ?彼について何か報告されていることはない?」


「少々お待ち下さい」


 そう言って確認に席を外した後戻ってきた彼女はそれを話す。


「二日前に死亡報告がなされてますね、仲間を助ける為に囮になる為にモンスターの群れに突っ込んだと、死亡確認はされていませんが、恐らくは……」


 そういって表情を曇らせた彼女、それとは対照的に不機嫌な色を更に強くしたリオンはカウンターを両手で叩く!


「それは嘘よ!」


 そしてリオンはグレンの事を話し出す。


 グレンに聞いた普段の扱い、定められた以上の過剰労働、報酬のピンはね、そしてダンジョン内での無法と彼を保護した事や引き抜きの決定を。


 それを聞いていた受付嬢は苦虫を噛み潰したような表情を隠せなくなっていく。


「色んな事をあわせて報告されていますので調査に少しお時間を頂いていいでしょうか?それと、何か証明できる物をお見せ頂けると此方も動きやすいのですが……」


 そう言った彼女にリオンはグレンから借りてきた物を突きつける。


「これ、グレンのギルドカードよ!私達が見つけたときには彼の右足には短刀が突き刺さっていたわ、その状態で逃げ延びて居た所を私達が保護して治療して今は宿屋で養生させてるわ!これ以外に証拠がいるの!?」


 その剣幕と声量にギルド内が一瞬静まり返る。


「えっと……」


 その空気に飲まれてしまう受付嬢に片手を突きつけているリオン。


 その姿は非常に目立ってしまう。


 報告カウンターで何かあったのか?そんな空気がギルド内に漂い始めたときに動く人間がいた。


 受付嬢の肩に置かれた手と共にそこに声がかけられる。


「ケニー、私が引き継ぐから此方に通して下さい」


「え?マスター……?は、はい!わかりました!」


 その言葉と共にリオン達はギルドマスタールームに通される。


「さて、楽にしてください、ギルドマスターと言っても私は大したことじゃありませんから」


 そう言って椅子を勧めた彼が席に着いて口を開く。


「レイラさん、久しぶりですね、こうしてお会いするのはいつぶりでしょうか?」


「しばらくぶりね、それで、この子の話、ちゃんと調査してくれるの?」


 そうして柔和な笑みの彼は首を縦に振り口を開く。


「ええ、これについては既に調査隊が出ちゃってるので安心してください」


 そうして彼は予想外の言葉を口にするのだった。

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