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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

深紅の実

作者: 皿吉

「おや、なにべているんだ」

「ああこれか、ひとつどうだ」

そう言って、おとこしたをひとつ、友人ゆうじんしました。


 「なんだかシワがひとかおのようで、ぞっとしないなあ。ぜいたくはえないが」

 「そりゃあそうだろう。コクのだぞ。しかも昨日きのう仕上しあがったばかりなんだ」


けば固苦こくというのは墓場はかばやら刑場けいじょうやらにしげじゅもくであり、無念むねんのうちにんだたましいってそだつとか。かたまったうらみのねんは、くちにしたものちからあたえてくれるのだそうです。

たしかにおとこは、そのしんのようなたたかいぶりをおそれられておりました。


 「しかしそんなものべてだいじょうかい」

 「なに、みんなたたかいたいとっている。そうだろう」

 そう言っておとこつづけざまにいつつ、くちにしました。友人ゆうじんはやれやれといきをつき、もらったじつをためつすがめつながめます。

どうにもそれは三日みっかまえきょうだんたおれたどうりょうかおに見えてかたがありませんでした。


 そんなごとがあってから十日とおかほどたったころ、さしものおとこ絨毯じゅうたん爆撃ばくげきをくらってはひとたまりもなく、かたかたあしうしなってびょういんかつまれました。これまでのこうせきもありあつりょうを受けられたものの、しきもどったのはそのまた十日とおかもたってからでした。

 じろぎしたおとこづき、友人ゆうじんびかけます。


 「ああましたんだな、故郷こきょうかえろう」

 「いやおれはもうだめだ。どうかねんらしてくれ…」


 おとこいきえにそうつぶやいて、ひらきました。

 するとくうばしたうでがたちまちおおぶりのえだへとわり、ベッドのうえちぢこまっていた身体からだはグングンび、いつのにかそこには一本いっぽんわっていました。ちいさなすずなりになっています。

 けれども友人ゆうじんあぶらをかけてやると、のついたマッチをほうりました。


「すまない。たたかいはもうわったんだ」

そうしてさかほのおかい、両手りょうてわせました。


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