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飛び入り

あの日から師匠と一緒に暮らすようになった。


師匠は、食材、料理、肉や魚をいただくことありがたみ、オレが通常の生活をしていたら勉強していただろうことを教えてくれた。


あのご飯を食べた後に親に捨てられたことを話すと師匠は警察や施設には行かずこっそりと育てると言ってくれた。


戸籍がなんだとか、愛は言っていたけど、

師匠はオレの生きたいようにさせたいから他人は頼らないと言っていた。


あれから15年。

俺はだいぶ大きくなった。


身長も師匠を超えて、ガタイも師匠に鍛えてもらったから少しは筋肉がある。


愛は結婚をして今は昼に店に来て仕込みの手伝いのみしてもらっている。

もうすぐで3人目の子供が生まれるらしい。

めでたいことだ。


「コン助、あとどのくらいで出来るんだ?」


「あと3分くらいで終わります。」


「そうか、お前もやるようになったな。」


バン!っと思いっきり背中を叩かれる。

子供の時は、ふらついたが今ではビクともしなくなっていた。


コン助は、根性と肝魂があるからコン助になった。

名前ももらって新しい居場所までくれた師匠には感謝しても仕切れない。


店が開き、予約していたお客様や飛び入りのお客様もくる。

ここのメニューは全てお客様が量を決める。

だから廃棄物がなるべくないように済ます。

それを知っているお客様がここをよく使ってくれる。

みんな食を大事にしていることを感じられるからこの店は好きだ。


[チャリーン…]


小さなベルが鳴り、またお客様が来店したことを知らせる。


「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」


「3人。」


「では、ご案内します。」


と言って飛び入りのお客様を席まで案内する。

案内をしてメニューとおしぼりを渡し、他の作業をしていると、大きい声が聞こえる。


「おーい!店員!」


さっきのお客様だ。


俺は急いでテーブルに向かう。


「はい、どうしましたか?」


「この肉と白米、サラダ、全て大盛りで。3人分。」


「大盛りは2人前くらいの量になりますが大丈夫そうですか?」


「早く作れ。」


パシっとメニューを投げ渡される。

きっと心に余裕がない人なんだろうと思ってスルーする。


「師匠、大盛り3人ステーキセットサラダあり入りました。」


「おー、結構食べるな。」


と言いながら師匠は作業をする。

俺も少し厨房に入り、自分が出来ることをやり進める。


ドリンクを見ながら、水がない人に水を入れて皿を下げ洗いにかける。


料理が出来上がり熱々のうちに持っていく。


これの繰り返し。

単調に感じるが毎度毎度違うからこの仕事は楽しい。


さっきの人たちはだいぶ声が大きいのか笑い声が店中に広がる。

楽しいのはわかるけれど…他の人がびっくりしている。


ガチャガチャとナイフとフォークの音を立てて、

くちゃくちゃと3人とも音を立てながら食べ進める。

あまり…良いものではないな。


「ごちそーさん。」


と言って立ち上がったと思ったら、全員半分近く残している。


「あ!すみません、残ってます。」


「はぁ?だから?」


「ここの店では全て食べてもらうのがルールです。食べないのであれば、5000円。それかお持ち帰りしていただくことになっています。」


「そんなこと言われてねーぞ!」


「どのページにも赤文字でそのことについて大きい枠で書かせていただいてます。」


「だったらさっさと包んで会計しろ!」


どさっと座る客。

俺は手早くまとめ、会計を済ます。


「ありがとうございました。」


俺は、頭を下げてお客様を見送っていると、

急に温かいものが頭の上にかけられる。


米…、肉…、レタス…、プチトマト…。


俺は顔を上げるとさっきの3人がさっきの包んだ料理を俺の頭の上でぶちまけていた。


「オレらが金出したものなんだ。使い方は自由だろ。」


とゲラゲラ笑って包んだ紙の弁当箱を俺に投げつけて去ろうとする。


俺は思わず体を3人にめがけて動かしていた。

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