置いてけぼり
俺は別に異世界に行って俺Tueee!したいわけじゃない。
ただ、一人家に帰って寝て、ダラダラしたい。それに、生きるのに無気力な人間てのもいる。まあ、それが俺なわけだ。転生してまで必死になるくらいなら、むしろ転生しない方が救いだろう。
転生しても何も変わらないだろうし、才能なんてものをポンと渡されても困る。元々努力なんかしない人間だし、そこらの村人よりもそう言った面では劣るだろう。
それと最近は異世界転生が流行っているのだろうが、そろそろその時代も終わりになって欲しい。
俺は昔ながらのバトルものが好きだ。熱さを感じるからな。
俺はハーレムよりも純愛が好きだ。だから、節操ない奴があまり好きじゃない。
俺は意外と善人面した奴が好きだ。誰よりも生き方に苦労するだろうから、なにかと心配になってしまう。まあ、皮肉な話、昨今の若者には偽善者に映ってしまうのだろう。
俺は転生して、その世界を蹂躙する話があまり好きじゃない。どう考えてもあり得てはならない要素だと思うから。
「俺、そろそろ行くよ」
この世界では異世界転生とか、異世界転移というものが流行っている。
だから、そうやって別の世界に行く。そのうち誰もいなくなってくれればそれは消えてくれるのか。
「儂、そろそろ行くかの」
それはどれだけの老翁も変わらない。ポックリ行くまで待っていても、転生するのだろうか。
それでも身投げする奴、誰かを救って死ぬ奴が俺の周りでは後を絶たない。
教室の机の上には花瓶と写真が立てられる。
今日も教卓の後ろに先生が立つ。
「今日はこれで」
先生もきっと行ってしまう。
この教室には俺以外誰もいなくなった。
流行り病は恐ろしい。特に、効果のある薬がないのは最悪だ。
命を疎かにして、人は死ぬ。そして心の片隅で再生を願うのだろう。
「……誰もいねぇじゃん」
この世界は壊れている。どこを歩いても誰もいない。無人の街を俺だけが歩いている。
そして今日もまた、世界から誰かが消えていく。
これまた適当な話です。読んでいただきありがとうございました。