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六十三、 優勝候補"リン"登場

 私達のいる部屋にギルゴートとマッキンローがやって来た。


「久しぶりだな、魔王────」

「久しぶりね。カイルは元気にやってるよ!」


 マッキンローは実はカイルの師匠で、カイルを仲間にする際にマッキンローのことを知った。彼は強いということは知っている。勝ち抜くことは妥当ではある。



 その場から遠ざかるように居座るギルゴート。勇者の身分があるために私達とは関われない。




 一方フィールドには"C"ブロックの参加者が全員集まった。

 そして、戦いの火蓋が切られた。





「一気に終わらすね────」



氷の棘床(アイス・ニードル)



 フィールド全体を覆う召喚陣。そして、地面から氷で作られた棘が地上に飛び出した。多くの参加者は棘による負傷(ダメージ)で消えていった。



《一瞬にして参加者が大量に減ったー!!!》



 アジュラはその攻撃を眺めていた。木属性の能力クジャク(・・・・)。生える翼によって飛んで棘の負傷(ダメージ)を回避した。

 空にいれば負傷(ダメージ)を受けないと思いきや……


「空にいても無駄だよ────」


 氷の棘は消えた。

 そして、その床に現れた召喚陣とは対象にして空に召喚陣が現れた。アジュラの頭上に現れる。


氷の室内灯(アイス・シャンデリア)



 氷の棘が真下に落ちていく。鋭く尖る尖端が地上へと向かって落ちる。棘は地面へと衝突した後、塵となり綺麗に舞った。

 その棘は参加者を一網打尽にしていた。



《エントリーNo.2、勇者の"リン"の猛攻ー!彼の素性は不明(・・)。ただ分かるのは最前線の勇者ということだけ!リンの攻撃で、、、残ったのは……》



 息を切らす大男と、地に這う鳥人間。



《エントリーNo.140、陸内違法者(グランドマフィア)長官(リーダー)アダル、エントリーNo.19、野族の勇者でドラゴンを滅ぼした一人アジュラ!!》



「ボクッちは何もしてないんだけど…。ただ、最強(チート)を空まで連れていっただけで……」



 鳥の毛皮を身体に収縮させるアジュラ。もうそろそろ限界を迎えそうにあった。



「こんな小僧には負けん!!」




 中学生っぽい容姿。背の高さは高くはないが低くはない。顔は男か女か分からない中性な感じだ。一言で言えば、ショタだ。

 身軽な体重移動に、ほっそりとした身体。

 その少年は余裕そうに微笑んだ。


「やっぱり前線で戦うのは楽しいね!これが死闘ならもっとだよね。君は違反者(マフィア)で超重大な危険人物。ついでに、殺せば……楽しめて一石二鳥だよね!!」


 笑顔の裏に見える狂気──

 二面の顔(サイコパス)な少年に見える。


「なめないで貰いたいな!これでも悪の王だ!!」


 大男は服から何かを取り出して口に入れた。

 薬だ────


「これは能力を大幅に上昇させるだけでなく、その能力を超上方効果にする薬だ。木属性の能力()。薬によって、今や鉄の皮膚に鉄の身体。負ける気がしない──」


 人間離れした姿となったアダル。

 驚異的な強さを醸し出す。誰しもこいつは強いと思わせる程だ。


「へぇ、面白いじゃん!ボクはこれを待ってたんだ!!全力で楽しもうよ、男同士でしか出来ない殺し合いの決闘(デュエル)を!!」



冷気の能力上昇(コールド・ドーピング)


 リンの体内は冷気で包まれた。

 その冷気がリンの身体能力を上昇させる。



「ふざけ!こざっぱがぁ!!」


 鉄の虎の拳がリンを捉える。

 その拳に向かってリンもすかさず拳で応戦する。


 衝撃の大半は相殺したが、虎の威力は強く少しだけ後ろへと追い込まれた。


「これを望んでたんだ!!楽しくてボクは──」


 アダルとリンの殴り合いが続いた。

 アダルの身体は所々氷っているように見える。



《リンとアダルの殴り合いが始まったー!これは熱い!!》




「そろそろ……かな!!」


 リンとアダルの拳がまた衝突する。

 そして、この時アダルの腕は砕けた氷のように破れてしまった。

 アダルは驚きを隠せない。



《この世界では有り得ないような光景が広がっている!何と、アダルの腕が消えたぁ!!》



「ねぇ、知ってる?昔の仲間に教えて貰ったんだけど、他の世界では刃物で皮膚を切ると血が出てくるんだよ!!」


 しかし、この世界では刃物で皮膚を切っても負傷(ダメージ)を受けるだけで血は出ない。


「この世界ではそんなことは起きない。ただ、負傷(ダメージ)を受けるだけなんだ……。──人間と魔族など動物だけはね。」

「どういうことだ?何故腕が消えたんだ?」

「簡単さ、今壊れた腕は《モノ》だったからだよ!ボクは水属性の能力()。そして、その能力で凍らしたものは氷と一体化する……」



 つまり────



「ボクの能力でキミの腕は氷となったんだよ!!つまり、モノ!ボクはそのモノを壊しただけさ!!」



 リンは余裕の表情を浮かべる。

 彼の底が見えない────────



「そんな出鱈目な理由でか?まあいい!腕が使えないなら噛み殺してやる!!」



 鬼の形相のように睨むアダルはリンに思いっきり噛み付くために、突進をしようと身を(すく)めた。



「もう無駄だよ!────ボクの勝ちだからね。」



 一瞬にして、氷の結晶が現れる。

 その結晶の中にアダルは閉じ込められた。


「じゃあ、キミには死んで貰おうか!」


氷の剣(ソード)



 リンは剣を取り出して結晶に突き刺す。

 結晶は塵となり消えた。アダルは刹那にして氷と一体化し、一瞬にしてこの世からいなくなった。



《・・・アダルは死…死んだ。ので、勝者はリンとアジュラだー!!》



 リンは冷たく微笑んだ。





「なるほど、負けた参加者はここに閉じ込められる。そして、地上へと出ようとする時に反逆者(スレイヤー)などの悪人とされてる者は殺される。

 大会に参加した悪を一網打尽に殺す作戦ということでござるな。」



 暗部(アサシン)はこの大会に隠された意図を知った。



「拙者、ワープホールを使えて助かったでござる!!」



 暗部(アサシン)はワープを通って地下から抜けていった。






 二人の勇者が勝者の地下空間へとやって来た。

 その内の一人は私に近づいて、冷たく睨む。その雰囲気が周りを凍てつかせる。


「何故、"女"なのにここにいるの?」


 その一人は日野よりかは少し大人びて、背丈も高いように見える。


「女は男に"力"では勝てないし、戦いものの前線(主線)は男だ。キミはよくここに来れたよね?」

「私は強い。そんなもの関係ない────」

「そんなもの、勝手な理論だよ?残念だけどこの世界では個人の考えだけじゃ、そんな理論通らないよ?」


 彼の小さな声は冷たかった。


「なら、優勝して証明してあげる────」





「ついにトーナメント出場者が確定しました。休憩を挟んだ後、トーナメントを開始します。ルールは一対一の勝ち上がり戦です。」



 そんな冷たい雰囲気の中に、頭の中に流れる声。



「最初の試合はカルト対ギルゴート……」


 ギルゴートは急に動き出した。

「やっと出番だ!この任務は失敗出来ねぇ。勝たせて貰おうか!!」

「その言葉そっくりそのまま返すっすよ」


 カルトとギルゴートは睨み合った。



「その後、次の試合は真金郎(マッキンロー)対リンです。」



 リンはさっきの雰囲気とは打って変わって明るくなった。

「平民の代表かー。ボクは知ってるよ!キミがこの世界を発展させた隠れた偉人ってことも!!」

「どうして……それを?」

「ボクは尊敬してるよ。けど、残念だな。勝つのはボクだから……」

「勝負は終わるまで何が起きるか分からないものだぞ」


 リンとマッキンローの会話は優しく包まれていた。



「そして、次にアジュラ対月華です。最後はベストールがシードとして勝ち上がります。」



 私はアジュラを見る。

 アジュラは一人で戦いのために身体を鳴らしていた。




────。──




 時間が経った。

「さあ、試合を開始して下さい────」




「さあ、行ってくるっす!!」


 試合をするためにカルトはフィールドへと足を運んだ。

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