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五十九、 始まる"A"ブロック試合

「"A"ブロック出場者の方はフィールドへと向かって下さい。」



 地下空間の中でストレッチや身体慣らしをする者や瞑想する者など様々な者がいた。いざこざは起きず"A"の番号を貰った参加者はフィールドへと集まった。




 観客席に人々が頻り、活気で溢れていく。高い場所に建てられた観客席とフィールドには高い壁となり、観客は試合を見下す。その中に特別な席と見られる場所に王と王女が座る。

 多くの参加者は武器を握りしめたり、骨を鳴らしたりして今か今かと戦いを待ち望んでいる。


 勿論、私もカルトもこのフィールドに立っている。


 あまりにも人数が多いので私達は参加者のほんの一握りでしかなかった。



 カルトとの作戦を立てている。

 私の重力でカルトと私を守り、力を温存する。敵が少なくなってから、本格的に勝負へと降り立つ作戦だ。



 この勝負ではまだ正体を明かさない。私が優勝したのと同時に正体を明かす。そして、私が魔王として勇者を倒したことを明かせばいい。取り敢えず、仲間とトーナメントで当たった時は仲間が白旗を上げれば大丈夫だ。




《さあ、試合開始だぁぁ!!》



 参加者全員がフィールドへと上がり終わっていた。開始のピストルが上げられ、それと同時に戦闘が始まった。大会の状況を伝える司会が機械により拡張された声で響かせる。

 観客は大きく盛り上がった。声がフィールドを覆っていく。それに煽られた参加者が武器で敵を傷づかせ始めた。






 木属性の能力ベアー(・・・)。身体の一部を熊にして、さらにパワーを一気に上昇させる。腕を熊にして周りの敵を薙ぎ払う。剣なんてものこのパワーの前では無意味だ。

 一気に周りの敵が消えた。死んだのではなくて瀕死となって瞬間移動させられたのだ。


 このままトーナメントへのAブロック進出者となる。



《エントリーNo.124、野族のアルライだ!!平民、下民関わらずナウポンドとガオカの間の森に住む民族《野族》。その強さを示す!!》


「もっと、蹴散らしてやるーーー」


 薙ぎ払い敵を一掃していく。腕の二倍ぐらいの半径には敵がいなくなった。それじゃあ、敵を蹴散らすために進む以外ないな。

────とその時、誰かに腹を殴られた。


 何が起きたんだ?

 何も誰もいなかったはずなのに……


「金(光)属性の能力カモフラージュだ。油断禁物だ!!」


 誰もいないのに声だけが聞こえる。耳元で囁かれる声。

 そして、誰もいないはずの場所から追い討ちをかけられ、目の前が暗転した。意識がなくなり、この場所から違う場所へと飛ばされた。


《しかし、そんなアルライは何故か知らないが消えてしまった!!これは何者かの能力なのかっ!!?》





 (アンチ)重力バリア────

 私は円形の重力を周りにかけた。その中の者は誰も動けない。ただし、一人を除いては。カルトだけはその影響を受けずに敵が減るのを待っていた。


圧 死(プレス) ──── 』


 その円の中の者は次々と消えていく。

 円に入っていく者は動けなくなり負傷(ダメージ)を受けていく。また、その中に入っていく攻撃技は真下へと落ちていく。



《こちらは────"地味"!!!勝手に参加者が消えていく!》



「いやぁ、ウチの出番ないっすね……」



 伝説の剣(エクスカリバー)を魅せるのはもっと人数が少なくなって、注目されやすくなってからだ。





「きしゃらららら、爆発を喰らうといいよ」


 大爆発が多くの者を消した。

 爆発を起こす本人が武器に触る時、その武器は爆発して破裂する。例え、爆発に耐えても戦うことがままならなくなる。



《エントリーNo.83、勇者のエッジ。爆発による快進撃が止まらない!!》



「爆発は強い。しかし!陸内違法者(グランドマフィア)の副ボスにかかれば朝飯前!!」


 厳つい男は巨大化して変形していく。

 そして、大きな鮫となった。鋭い歯に整った背鰭(せびれ)、そして大きな口。


 水属性の能力シャーク(・・・・)。巨大人喰い鮫となることが出来る。その鮫はエッジを喰らった。

 エッジは鋭い歯に噛み砕かれ瀕死となり、瞬間移動された。



《エントリーNo.71、陸内(グランド)違法者(マフィア)の副長官ヒョウグがエッジの快進撃を止めたー!》



「このまま一網打尽!!」



 鮫は地上を這うように進みながら参加者を噛み砕いて行った。

 しかし、透明人間によって無残にもやられてしまった。



《ヒョウグの快進撃ー!だが、何者かの能力によって殺られたー!!》





「そろそろ……いいかな──」


 私はフィールド全体を覆う重力をかけた。そして、弱った敵を一網打尽にした。ただ、大きな重力維持は大変なため敵を僅かだけ残して重力を解いた。

 残る敵もほんの僅か……


 いや、私達含めて四名。

 一人は毒ガスを操る敵で、もう一人は目では見えないがオーラでいることが分かる。

 毒ガスを操る者は私が倒しきれなかった敵を倒してくれた。ただ、透明人間には気付くことは出来なかったが。



《エントリーNo.130、反逆者(スレイヤー)のムント。謎の円形に入った者を一網打尽。そして、エントリーNo.27、冒険者のテットの毒ガスが弱った敵に追い討ちだ!!》



「さて残るは二人っすね────」


 カルトが言った言葉に反応する透明人間。

「流石だな。俺の姿に気付くなんて……」

 現れたのはサバイバルバトルの時にいた勇者だった。


《突如現れたのはエントリーNo.24、勇者のラングルだ。透明人間となっていたようだ!アルライやヒョウグを倒したのはラングルのようだー!!》


 観客は湧き上がった。



 彼の名は──ラングル。

「流石ライバルと言った所だな。俺はあの時とは違う。鍛えて強くなったこのパワーでお前を圧倒する。」


 ラングルは暑ぐるしくカルトに勝負をふっかけてきた。

 カルトはそれに対して剣を抜く。



 黄金に輝く剣の側面には文字が彫られている。この世で一人しか触れることの出来ない剣。

「ウチだって強くなったっすよ!《伝説の勇者を倒し》この剣を託された者としてのケジメもついてるっす。絶対に負ける気はないっすよ!!」



 ドヨッ──

 観客席は賑わい始めた。



《こ、れ、は、、世界に一人しか持てないという秘宝伝説の剣(エクスカリバー)だ。だが、その所有者はかの伝説の勇者エックスだった、はず!!つまり、エックスは死んだのか…》



 誰もが憧れ、その者を知らない者はいない存在である伝説の勇者エックス。そのエックスが死んだことを示す。

 伝説の剣(エクスカリバー)を所持出来るのはこの世で一人のみ、そしてその人物は託された者及び神と思しき存在から託された者のみ。


 その剣を見せるだけでそのことを証明する。





「エックスめ……。虹色(ななじき)の勇者、そしてその長官への任命に来ないばかりか姿を現さなかった。そして、魔王に殺られて伝説の剣(エクスカリバー)を奪われるとは……」


 王は怒りと動揺と困惑の表情をしていた。





「ウチは魔王の仲間……。勇者は魔王に殺られたっす!!」



 さらに、どよめきが広がった。

 これで王の開催する場所で人々に魔王と呼べる存在となったことを証明した。



「なるほどな。だが、俺は負けん。敵が誰であろうと不足なしだからな──」


 全体が動揺している中で動揺も見せず怖気付くこともないラングル。


月華ちゃん(・・・・・)──。サポートはなしでお願いしますっす!!」


 ん────?



 観客席が一瞬にして静かになった。そして、小さな話声がそこら中から聞こえ始めた。

《月華って確か──"女性"じゃなかったかーー?》




 おい────!!

 カルト──!!!



 どうしてくれるんだ?最後にばらさなきゃ、下手したら退場とかされるかも知れないんだぞ!!?そうなったら非常に不味い。



「あ・・・。"うっかり"してたっす────」



 うっかりじゃ済まされない!!!

 どうなるんだ?私は……

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