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五十七、 月華!男になる(男装する)の巻

 多須で開かれる大会──フィロソフィス一強い男を決め、王女ティアの婿を決める。姫君であるティアの夫となるのはあまりにも光栄なこと。それが、民衆にも可能性があるという前代未聞の大会だ。

 出場者は人間の男に絞られる。優勝の賞が婿となれることなので当然といっちゃあ当然だ。それ以外の制限はない。例え、貴族でも民衆でも勇者でも誰でも参加可能だ。



 そして、その大会を行うためフィロソフィスの各地にチラシが配られた。







 魔王城の下に広がる土地。

 家も一、二件建ち並ぶようになった。現在、着実と村造り中だ。

 そして、キメラや鬼の力も借りて、豊村から村へ、糸車から村へと繋ぐ道を整備した。勿論、勇者への脅威から身を守るために門を作って一人ずつ入れるようにしている。



 魔族も大方味方となった。

 後は相当の人間も味方につけなければ……



「ついに、この時が来たでござる!!」



 暗部(アサシン)は私にあるチラシを見せてきた。そのチラシには王が開催する大会が載っていた。

 ついに、私達が魔王ということを示す時が来たか……


 勇者を倒した者として、そして魔族を従える者としてその権威を公に発せればかなりの効果が期待出来る。

 それも、大会形式だ。何の不自然もなく権威を示せる。ルールに沿って優勝すればいいだけのこと。こんな都合の良いことはない。


 ただし──二つの問題点があった。


①カルトがそこにいないといけないこと。

 伝説の剣(エクスカリバー)を持つカルトがいないと勇者を倒したという証明にはならない。

 その点には暗部(アサシン)がカルトを呼びに行くことで何とかなりそうだった。


 そして、もう一つの問題点。これが一番重大な問題だった。


②参加者の条件が"男"であること。

 私はバリバリの女だ。出場出来なければ意味がない。魔王としての威厳のために私が出る必要がある。


 半年の間、私は努力をして多少の召喚を操れるようにもなったし、(アンチ)能力のスキルも得た。負ける気はしない。

 ──が、出られなければ意味がない。



 どうすればいいのか────

 出ないという選択肢はない───



 私は頭をフル回転させて考えた。

 そして、一つの考えが浮かんだ。それ以外には思い浮かばなかった。


「「「私は───男になる!!」」」


 どういうことか?

 それは男装をするということ!!


 それを聞いた周りの者達は「ッ!?」と驚いた。仕方ないだろう─それしか思いつかないのだから……


 男の振りをして大会に出場する。それなら、出れる可能性がある。

 私は早速服についてやたらと詳しいモブオにお願いして男装作戦を開始した。





 胸は包帯で締め付けて平に見せる。薄い上服にジーンズ。髪は束ねてからワックスをつけて誤魔化す。

 これは予備に過ぎない。

 この上から黒のフードつきマントを羽織る。まあ反逆者(スレイヤー)の服だ。そこから、重火力銃(ヘヴィランチャー)を固定するベルトを巻き付ける。


 取り敢えず、これでバレないことを願う。




「ただいま~っす!!って、どうしたんですか?月華ちゃん!?」



 カルトがやっと帰ってきた。

 暗部(アサシン)もカルト同様に私の服装に驚いていた。


「男装よ!私も大会に出るからね!!」


 その決意は揺るがない。

「カルトも暗部(アサシン)も準備出来たら言ってね!!」


 カルトは伝説の勇者を倒した証明のため、暗部(アサシン)は目的地までワープするために必要だ。

 それ以外は置いていく。カイルが首代として村の開拓を進めるだろう。



「────了解っす!ウチは強くなったんで惚れてくれてもいいっすよ!!」



 カルトはそういうと準備しに部屋へと向かった。



 んー、多分惚れなさそうな気がする……。が、私を惚れさす程の実力、早く見てみたいな。とても気になって心の中がそわそわしてしまう。




 カルトも暗部(アサシン)も準備が出来て私の元へ集まった。

「大会が開かれる場所は多須でござる。そこは、都市とナウポンドの間にある栄た城下町の別称でござるのだ。そこまで、拙者のワープで飛ぶでござる!!」



 私はカイルに全てを任せてワープの先へと度立っていった。

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