五十六、 月華の過去
もうすぐ次のステージへ!!
前編部分が終わるまでは超更新かも!?
空の魔族及び幻族は私と同じ過去を負った。
同調してしまう。彼らは何もかもを勇者によって失い無力感に陥った。私は信念と憎悪を抱き、いつしか憎悪が支配していたというのに。
今なら言える──私の過去を。
◇
グリーンスケートは魔族と人間が一緒に暮らす村。それに気に食わない王は何度も使者を遣わして警告してきた。速やかに魔族との縁を切り魔族を滅ぼせ……と。
だが、村人はそれに反発し、警告を無視し続けた。
それに、しびれを切らした王は勇者を遣わして最後の警告をした。これで断られたらこの村自体を滅ぼすだったのだ。
勿論、村は全面的に拒否した。
そして、その勇者水樹奈々は任務のためにこの村へと攻撃した。圧倒的な戦力によって魔族も村人も皆、死んでいく。
グリーンスケートは、氷の床ではなく緑の芝生であるのにつるつると滑るために名付けられた。常に足に気を配らないと滑ってしまうので戦いに不向きではあった。
だから、水樹は能力火炎によってこの村の地面を破壊した。それに伴い家々は燃やされ壊され……さらに、人々は逃げるのに足を地面のひび割れに持っていかれた。
私はその猛攻から辛うじて逃げ切った。
逃げ切っても何も出来なかった────
私だけが残された。
グリーンスケートは滅んでしまったのだ。
「もう……皆とは会えないんだ────」
悲しくて涙が溢れ出す。
悔しくて、辛くて、どうしようもなくて────
ヒナの顔が思い浮かぶ。
もう一度、グリーンスケートみたいな村を作りたい!そう心に決めた。それともう一つ、勇者に対する憎悪を持った。
私は辛さを未来への希望と勇者への怒りによって耐えていく。
私は勇者から逃げるように西へとひたすら歩き灰色の山に着いた。
その中には町がある。普通ではそこへは辿り着けないが、私は重量を無にすることで山を飛び越えることが出来た。
琉音町───
灰色の山の中にある町。
その民にとって外部の者は珍しい存在で、私は歓迎された。ここを出ればまた勇者に殺されかねない。まだ心も弱く不安で押しつぶされてしまう。
私はここで暮らすことにした。
日に日に憎悪は増していき、より強くなろうと努力した。
より強く──
より強く───
より強く────
「私はより強くなりたい────」
全ては復讐するために。
この世界は勇者が蟻のように増えすぎた。だから、魔王となり私が断罪しなければ────
その時は私は憎しみに支配されていた。
仲間に出会わなければ、今頃私は勇者狩りに没頭していただろう。
今は仲間達のお陰でもう一つの目的も思い出せた。
辛くても──いつか仲間の出来るチャンスがある。
いつも仲間に支えられてる。私も仲間を支えなければ。
私は今────
反能力を付与する修行をしてます。
ムーバーの教えの元で反能力の練習をする。それだけでなく、能力召喚の練習も欠かさない。
時々、魔王城に侵入する勇者がいるが、その勇者を狩りながら、この村に何事もなく平和へと導いていく。
やはり、魔族だけでなく人間も欲しい。しかし、その時はまだだ。今はこのままで準備を進めるしかない。
◆
"半年"が経った───────
◆
「まさかここまで飲み込みが早いとはのう。合格じゃ、もう言うことはない。」
鋭い剣が巨大なタコを斬る。タコは海の底へと堕ちていった。
カルトは目標の敵を倒した。
新たな力を得たカルトは、魔王城がある方向を眺めた。
「月華ちゃん、皆──強くなったウチを見せるっすよ!!楽しみにして待ってて欲しいっす!!」




