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五十一、 リベの能力

 茂る森をひたすらと歩く。


 フィロソフィスは南に下るに連れて魔族が多く住む。さらに、その魔族はとてつもなく強い。だから、人間は殆ど近寄らない。

 南に近付くに連れ、そこに済む人間は下民とされる。都市近くになるにつれ位が高くなる。さらに、人間も多く密集している。



 フィロソフィスの南の最果てには人間は殆ど近寄らない。魔族はオーガのお陰が攻めてこない。安心して進むことが出来る。



「そう言えば、リベの能力とか理解しましたよ!」



 モブオはナマケモノのリベの能力について把握したようだ。


「リベは無属性の能力(とき)で、時を止めたり、巻き戻したり、未来に行ったり、過去に行ったり出来る最強の力です。」


 なるほど──

 時に関することなら何でも出来るのか。チートに近い能力だな…と思う。


「ただ、弱点も幾つかあります。まず、時を止めている間はリベも自分も動けません。ただ、意識だけは止められていないという感じです。」


 時を止める行為は自分にも影響がある。戦闘時に冷静になるために使うという感じかな。


「そして、巻き戻すことで負傷(ダメージ)をなかったことに出来ます……が。消えてしまったもの、つまり無くなったものを戻すことは出来ません。」


 つまり──

 死んだらもう元には戻らないということ。

 死ぬ前に発動すれば巻き戻せるが、間に合わなかったら終わり(アウト)だ。


「そして、未来に行ったり過去に行ったりした際に、事実を変えること(タイムパラドックス)をしたら行ったことが無かったこととなり、元の時間に巻き戻されます。」


 タイムパラドックスとは、歴史及び事実を変えること。

 例えば、産みの親に憎しみを持った者が過去へと行き、その親を殺した。そうしたら、誰がその者を産んだのか?父と母がいて子がいるはずなのに、どちらかもしくは両方いないのにその子がいるのはおかしい。この世の(ことわり)に反した状況となる。


 事実が変わることをしたら、その変えたことがなかったこととなる。…ということか。


「特に、些細なことで事実が変わってしまうので本当に難しいんです。バタフライエフェクトに気を付けなければいけないので。」


 バタフライエフェクトとは……

 些細な出来事で未来に大きく影響するということ。

 例えば、道端に落ちている石を投げたとしよう。それだけなのに、投げられた石が車の窓に直撃し、運転手に石が当たる。そうして、運転手はハンドル操作を誤ったり急ブレーキをかける。その後、大事後が起きる。こんな連鎖が起きるかもしれない。


「特に、バタフライエフェクトによって未来はすぐに変わってしまいます。そうなると、未来に行ったことが無かったことにされるので、未来に行くのはあまり意味がなさそうですね」


 未来はその影響によって変わり続ける。だから、未来に行っても意味がない。未来を変えるのは簡単なのだろう。


「過去は基本変わることはないです。しかし、その分バタフライエフェクトが起こりやすいので注意しなければならないですね。」


 バタフライエフェクトを気を付けて行動しなければ、過去に行っていないことになる。ただの確認なら、そんなことを考えなくても良さそうだ。


「この能力を使えば、こんなことも可能です。」


 その後……もう一人のモブオが現れた。


「こういう風に未来の自分が過去に行くことが出来るんです。ただし、来たら来たらで自分はいつか過去に来た自分と同じように振る舞う必要があるんですけどね」


 そういうと、未来のモブオは消えた。

 未来の自分を呼んだら、その先呼ばれる方となる。そういう契約の元、行われるのだろう。そして、それは絶対だろう。じゃなければタイムパラドックスが起きてしまう。


「過去の自分を助けに行った時は六回ぐらい失敗したので、バタフライエフェクトには本当に要注意でした。」


 早速、過去の自分を助けに行ったのか。多分、ゴーレムとのサバイバルバトルの時に巻き戻って。


「最後に、リベは四時間しか行動出来ません。残り二十時間は眠っていて起きませんので……w」


 そして、ナマケモノの特性上、短時間しか行動出来ない。



 ってか、何故元魔王は時の能力を渡す相手をナマケモノにしたんだ?




 そうこうしている内に森を抜ける。

 そこは古びた家が立ち並ぶ村のようにみえる。フィロソフィスの地図では書かれていない。私もここに村があることを知らない。


 そこはまるで殺風景だ──


 人が……いない?



 私は誰もいない村中を歩いた。すると、二人の人影が見えた。私達はその人にここのことを聞きに行った。

 人影に近付く───



 その人影は土瑠亜(ドルア)とゲイルだった。



「っ、奇遇だな……」



 モブオもムーバーもオーガも皆安心仕切っている。それはそうだ。彼らが勇者で、それも藍色(ななじき)の勇者だということを知らないからだ。


 私だけが緊張が高まった。

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