幕間 四 , ────
魔 王 ニ 仕 エ ル 九 ツ ノ 刻
魔 族 ノ 一 派 閥 ヲ 従 エ
王 ヲ 反 逆 ス ル 者 ヲ 従 エ
転 生 サ レ シ 時 ノ 魔 獣 ヲ 従 エ ル
人 ト 魔 族 ト ノ 共 存 ヲ 目 指 シ
王 ノ 見 エ ザ ル 悪 ヲ 壊 ス 為
魔 王 ハ 魔 王 城 ヲ 拠 点 ト シ
新 タ ナ ル 社 会 ヲ 作 ラ ン ト 動 ク
◆
鳥篭──
王の作った見えざる籠をいう。
人間の王によってフィロソフィスは鳥篭の中に閉じ込められた。その中で、鳥篭を眺むのはその王だ。
王はその中のものをマリオネットとして操る。人は王の考えに知らず知らずに朱に交じる。勇者を多く増やし、王に仕える者を増やした。魔族はその中で無抵抗に殺されていくだけだ。
例えその中で反乱を起こしたとしても消えるのはその中の人形であり、王は何も感じない。
人はただの駒であり、魔族は危険分子として駒によって全滅されるべき存在。
人の中でも魔族の味方をする者も危険分子。それを反逆者として、滅ぼされるべき存在。
魔族と反逆者が消えれば、そこには完全なる王の支配が待っている。
人間は鳥篭から出られない。
王の駒として鳥篭の中で人形として一生を過ごす。全ては王のため。
正義は"王"で、王が何もかも正しい。
"永遠の絶対王政"
鳥篭を壊せなかった世界。
それをさせない最後の砦が月華達なんだ。
◇
これは教科書に載っていない事実────
それは、"空白の歴史"である。これは、人間の王によって消された歴史だ。
魔王佐藤曜助によってフィロソフィスの南半分は人間も魔族も一眼となっていた。魔王のカリスマに惹かれ、魔王に従える。それを気に食わないのが人間の王だった。
王は辛うじて北側半分を人間のみの社会を維持していたが、じき魔王に奪われそうだった。
人間は魔族を認め始めていた。
王はそれを一切認めなかった。
王は──狡猾な手段によって鳥篭を築き出した。
"無差別魔族攻撃"
王は秘密裏で魔族を無差別に殺した。
この事実は多くの人間共に気付かれることはなかった。
それに多くの魔族は憤慨を覚え、魔王につく人間は呆れたり衝撃を受けたりした。
「ここは攻めたら行けない。攻めたら王の思惑通りだ。だからこそ、ここは耐え忍ぶしかない。」
魔王はこれに目を瞑ることを説いた。
人間が魔族を恨み、魔族が人間を恨むようになるのを防ぐために。
魔王に従い高い地位を得た四つの大魔族。大魔族は多くの魔族を従える。鬼族を中心に従える鬼、洞窟魔族を従えるゴーレム、幻種と空魔族を従えるドラゴン、森の魔族を従えるプリンスコング。
その中でプリンスコングだけ行為に我慢出来なかった。
人間の身勝手な人殺しに反発したプリンスコング。そして、それに賛同した魔族や人間達。
彼らはナウポンドから南へ進んだ所を拠点として反乱を起こした。
王はその時を待っていた────
人間と魔族は分かり合えない。魔族は理不尽に人間を殺す理性のない怪物だ。
そんな理を普及させる礎とした。王は人間側から攻めていったことを隠し、それを知る敵側の人間も抹殺していった。
人間は魔族が先に攻めてきたと認知し、魔族を敵と考える。倒さなければならない存在だと。
これにより、プリンスコングとそれについたものらは死んだ。それと引換に多くの犠牲が出た。
そして────
選ばれし勇者エックスによって魔王が死す時、王の思惑通りに事が進んでいった。
人間は魔族を恨み、魔族は人間を恨む。その連鎖で魔族や王に従わない危険分子を滅ぼしていく。
反逆者は最果ての魔王城及びカンポリジナルで身を隠す。
多くの人間は都市にいる。彼らは勇者を完全なる正義と思っている。その正義は王の計らいによって増えていく。そして、王が一番の正義が蔓延していった。
鳥篭の中で踊る人間。
全ては王の正義の元に────
◇
七つの転生者は教科書に踊らされない。
彼らはこの鳥篭の存在に気付く。鳥篭の中で踊らされているもの達を解放し、鳥篭を壊せ!!
王をただ殺すだけではただの反乱にしかなり得ない。
王のマリオネットを解放し、彼らと共に破壊する。その彼らとの協力が必要だ。
人間と魔族の共存する社会は協力を煽るのではないか?
なら、私達は理不尽に死んでいった者達のためにも鳥篭を壊すためにも《人間と魔族の共存する社会》を作る。私のやることは何一つ変わらない。
「さあ、まずは村を作るために協力者を増やそうか──」




