三十四、 こういうのって逃げるが勝ちやんな!勇者も魔族もワイらに目すらくれてないし、その内に逃げた方が得策なんかちゃうか?やっぱり生命の方が大切やないか!!?
バトルの状況は一気に展開していく?
目の前から勇者が向かってくる。後ろには攻撃してくる勇者。挟まれた──
水辺を離れ砂地へと着き、そこを横断するように走る。砂地では仲間には会わなかった。日野の攻撃した跡は残っているから、もうとっくに違う場所へと移ったのだろう。私はそのまま走っていったその先に見知らぬ男。多分、勇者だ。
その勇者は近づくと私の後ろをつける勇者に何かを投げ渡した。
「グローブは取り返した!後は任せたぞ!!俺は休む」
前にいる勇者はそういうと砂地の脇へと向かっていき座り込む。
助かった──?!
他の誰かと戦ったのだろう。戦闘の跡が見られる。そして、その負傷から戦うことからおりたのだ。
ラッキーではあるが……
戦って負けたのが私の仲間ではないか不安になる。どうか、ご無事でありますように。
やっと武器が戻った──
見せてやるよ!あたしの焔と雷と、旋風を……
旋風による斬撃に加えて焔や雷も飛んでくる。
私はオーラを感じてその攻撃を直前で躱していく。アネラは手にグローブを付けていて、そのグローブから焔と雷が見える。
その焔や雷を能力旋風によって飛ばしているようだ。
「見せてやっから、楽しんでな!!」
アネラは雷の旋風を繰り出すがその雷は私のいる方向とは別の斜め方向へと進んでいった。そして、その雷よりも速い旋風をその雷旋風に飛ばす。
雷が風に当たると進む向きを変えて私の方へと方向を変えた。アネラは風を使って進路を変更させたのだろう。
さらに、アネラは私に向けて焔の旋風を出した。
避けられない────
『 重 力 ──── 』
あまり使いたくはなかったが、この攻撃を受けないためには使うしかなかった。
なかなか厄介だ。
早くアネラから逃げなきゃ、、、
あまりにもこの状況はキツイ。
私は砂を蹴り上げ進む。
固い地面と違って柔らかく、足にかける勢いがクッションのように吸われてしまうため速くは動けない。それでも、今よりも速く走るために足に力を入れていく。
旋風と焔旋風と雷旋風……
私は躱したり重力で落としたりしながら必死に距離を離そうと走っていった。
「やっと来たか!月華はん!武器ならそこの岩の上に置いてある。何か後ろにすごい砂舞があるんやけど何が起きてるんや?もしかして、勇者と戦闘してるんか?なら、ワイらも助太刀するんやけど、そこまで戦えないのは勘弁してくれや」
「月華ちゃん!一人は倒せたっすよ!!」
目の前に見えるのはカルトにモブキチ!さらに、武器まである。
無事でいて良かった。
そして、ちょうど良かった──
「カルト!能力お願い!!」
「了解っす!!」
眩い光がアネラを襲う。
その間に私は自分の重力を軽くして高い岩へと飛び移った。そして、アネラが目を奪われて動けない間に武器を手に取った。
「やっと武器を取り返した──。ありがと!カルト!!」
高い岩からアネラを見下げる私。
アネラは足から旋風を出して上昇した。そして、旋風の微調整によって宙に浮く。
「逃げることしか出来んの?さっさと戦えって!!」
アネラは両手を私に向けて伸ばした。狙いを定めている。
私は重火力銃を構えた。相手は火と金(光)の一斉攻撃を行うと踏んだ!なら、間を取って木の攻撃をする!!
私はダイヤルを木に合わせて、硬い引金を引き始めていった。
焔旋風 × 雷旋風
焔と雷が合わさって私に向かって進んでいく。
私は引金を引いて大きな強風を繰り出した。
二人の攻撃は衝突し合い、爆発を起こした。威力は互角のようで相殺してしまった。
「ちっ、うざってぇ」
「負ける気はないから」
私とアネラは睨み合った。
◆
「さて、放送はスパイダー……君に任そう!」
「頑張ります!!」
蜘蛛の魔族が脳内に連絡をするための機械を手に取る。
さっきまでその機械を持っていたドラキュラは森の中を進んでいく。
「さて、私も参加しようか!!」
ドラキュラは幾つかの蝙蝠に分裂した。その蝙蝠は集合していきいつしかビッグバットになった。
ビッグバットは森の中を飛んで行った。
◆
カイルは日野とは別の所にいた。
カイルは一人でに煙草を蒸していた。隙が伺える。拙者は腰の刀を抜いた。
「どうした?敵がいたのか?」
カイルはそれに気付くと、そう尋ねてきた。
「カイル殿にはここで眠っていて貰うでござる!」
拙者はそう答えるとカイルへと斬りかかった。カイルは素早く剣を抜く。
刀と剣が交じりあった。拙者の刀だけ二つに分かれ、刀の先端の方は無造作に飛んでしまった。
「はあ、味方だと思ってたのに……。残念だよ!反逆者さん!!」
カイルの剣は溶けているみたいに橙に燃えていた。細長く刃のない剣が拙者に向く。
拙者はワープホールから十八番の刀ともう一つ予備の刀を取り出した。実は二刀流であるからだ。
「いざ!参る!!」
一方────
日野の元には無敵の亡霊がやって来ていた。
「わー、強そうーー!!」
フードで身を隠していて誰かは分からない。しかし、シルエット的に人間であることは分かる。その亡霊は黄金に輝く剣を取り出していた。
日野はその剣に気づいた……
「えっ? ─── ──!?」
◇
空からビッグバットが現れる。
ビッグバットがやって来た反対の方向を辿ればゴーレムの場所に辿り着けそうな予感がした。
構う方が後々大変だ。
勇者と魔族は敵同士……なら、その二人がお互いにぶつかり合うことに賭けよう。
私はアネラにもビッグバットにも目をくれず先にと進んでいった。
「逃げんなよ!!」
焔と雷が私目掛けて進んでいく。
ビッグバットも超音波で私を狙う。私はその攻撃の着地点よりも先の場所に進んでいたので当たらなかった。逆に、超音波は焔と雷の攻撃を相殺してくれた。
「はあ!?仕方ないけどさ……。やっぱ一つ一つ斃していかなきゃいけねぇのかよ!!?」
アネラは強大な旋風を繰り出す。ビッグバットに大きな旋風が襲う。ビッグバットは蝙蝠に分裂し、集結する。今度はドラキュラの姿へとなった。
「まずはあんたから殺しておく!!」
「ここは逃げるのが先決や!!」
その光景を見ていた、カルトとモブキチはその場から離れていった。
私は考察通りゴーレムの場所へと辿り着いた。
敵の首を取れば勝てる……。これは、多くのゲームでのセオリーだ。
私はゴーレムを見つめる。
「我が名はゴーレム。よくぞ!ここまで来られた。」
◆
四本足歩行で巨な身体。その身体の半分は岩となっている魔族オーム。
そのオームは一瞬にして瀕死となっていた。
それは刹那のこと───
勇者エッジがオームの身体の岩に触れて、その場から離れた。そして、地面に落ちている石ころを投げただけ……
それだけでオームは爆発し瀕死に至った。
火属性能力爆発。触れた物を数分間爆発するようになる。衝撃や火気で爆発するようだ。
相当強い───
自分の能力はほぼ無意味だし、武器の鉄パイプで何とかなる気はしない。それに、見ただけでレベル差があることも分かる。
このままじゃ負ける。最悪、死ぬ───
場所は真っ暗な洞窟。逃げ道や抜け道は一方通行。
さあ、自分はどうすればいいんだ?
▶︎攻める?
逃げる?
戦況結果
洞窟内部1
M─オーム✕
Y─エッジ〇
K─モブオ
新たな戦況・現戦況
月華─ゴーレム
アネラ─ドラキュラ
カイル─暗部
日野─無敵の亡霊
モブオ─エッジ
リリス&モブミ─オロチ
次は金曜




