二、 武器は何でもいいと言ったが、流石にブーメランは適当すぎやしないか!!?
ベタな題名だから、これがパクリとかなってたら凄いショックだ。まあそうならないことを祈るのみ(。-人・。)
まあそもそもこれが楽しんで見てくれない作品だったら意味無いし、どうであれ自分なりに頑張ります。
アグレさん────
その人物は私が酒場で出会った店主。
私はその人に勧められカイルという製鉄屋に勤める者に会うことにした。
今私は、ノウンマルタスの隣町"竜宮町"にいる。そこは、鉄と武器が盛んに作られる生産の町である。
建ち並ぶ工場と出る煙。コンクリートで固められた地面は海を遮っている。海には船が用意されまさに貿易港とも言える。
この町はフィロソフィスの中心地にも武器を運ぶ重要な町である。
「さて、カイルの元へ行けばいいと聞いたけど、どこに行けばいいんだっけ?」
カイルに会うことに期待して、どこに行けばいいかは聞きそびれた。
「分かるのは製鉄屋ということか────」
この町はそこまで大きくはないものの小さくはない。
探すのが大変だった。
場所まで詳しく聞かなかった自分が悔やまれる。
◆
「オレの武器は正しい使われ方をしているのかな……」
「師匠はまだあのことを引き摺っているのか」
「勿論だ。オレは転生前は死刑廃止論者だぜ」
二人の職人が駄弁っている。
彼らが思い浮かべる光景───
正義の適用によって人を殺す。その姿が思い浮かばれている。
「"死刑"は正義の皮を被った人殺しだ。死刑の賛同者は殺人者と何も変わらない。瞞しの正義に気付かないものなのか」
鋭い剣が人を殺める。
その剣を持つのは少女で、勇ましい様相を魅せる。異世界最強に最高級の武器。まさに鬼に金棒。
「まあ自分の武器が間違った方法で使われているってことを知ったら、俺でも胸が痛くなるぜ。師匠のソレは仕方ないことだ」
「ありがとな。火入───────」
火入と呼ばれた男は職に戻ろうとした。
「おーい、火入ーー?お前のお客さんだぞ!!」
その時に差し止めが入った。
同僚の大きな声に誘われ進んでいくと、そこには可愛げな少女(大人の女性?)が目に入った。
スラリとした体型に整った顔。奇抜でもなければ地味でもない服装に敢えて地味に見せる黒マントを羽織る。ただ、好みとはならない。
そして、その少女に一切見覚えがない。
「誰だ──────?」
「アグレさんの恩人だ!少しいいか?」
そしてその女は、いきなり時間を要求してきた。
まあ、師匠に頼めば少しぐらい時間を取ることは出来る。だが、何の用か……
アグレは転生後この世界に慣れるまで世話となった同級生だ。
火入は多少の不安と期待と半分の謎を抱えて時間を設けることとした。
◆
広い────────
何だ、この町は。製鉄屋を探すだけでもこんなにも苦労するとは……。それに、未だ見つけられないなんて。
あまりにも見つからないため、路地裏や工場の裏路地で出会った私に危害を加えようとする族や勇者を何名か消すことも出来たほど時間を要した。
そして、私は目で探すだけでなく聞き込みを開始。ついに、武器屋に差し掛かった時にやっとカイルと会う方法を見つけた。
私は「おう、ちょっと待っててくれ」と言われ、その前で立ち尽くした。
薄く白い服装を着ている。力強い見た目、剃られず残る髭。まさに鍛治職人である。
彼がカイルと呼ばれる者なのか?
「誰だ──────?」
まあ当然の返答だ。私も初対面だし、急に呼び出しまでして知らない人だと不安になるのは確かだ。不安にさせて申し訳ないと思ってはいる。
私には返す方法が決まっていた。
「アグレさんの恩人だ!」
そう言えば何とかなるはずだ。もしならなかったら、アグレを憾もうと思った。
「少しいいか?」
私は時間を頂いてその間に仲間に取り入れようと考えた。
「お……おう。少しだけ待っててくれ!」
彼は一旦後戻りをした。私のためにわざわざ時間を頂くために戻ったのだろう。数分後に戻ってきた。
私はカイルと一緒にカフェで向かい合った。
話し合う状況が作られた。さあ、どのように糧になるものを得ようか。彼は武器屋と繋がる製鉄屋なので上手く引き込めば質の高い武器でも無料で手に入れれそうだ。
「それで、何の用かな?」
「まずアグレさんから……。"元気に酒場やってるよ"だって」
「そうか……。アグレは何のために俺に会うように促したんだ?」
まずは軽い会話からだ。
そこから、本題に入ろう……
「単刀直入に言うと私は《勇者狩りを行う魔王》なの……。それで勇者を敵に回すならあなたに会うといいってね……」
本題に入ったが、どういう反応になるのだろうか?凄く不安だ。敵には回らないとは思うが。
「そうか、勇者を敵に回すのか、面白いな」
カイルは何故か苦渋の表情をしている。
それもそうだ。急に自分は魔王と言われたらそう言う反応になる。口走った自分が悔やまれた。
「俺は転生者だ。転生者って基本的にはこの世界における強力な力を得ている。その力で勇者の選択肢を選ぶ者の方が多い。俺も勿論目指した。」
「それで?」
「だが、勇者が多かった。勇者の概念が崩れていたように感じたんだ。俺は勇者を目指すのを辞め、普通の職に就いた。それが今の鍛治職人だ。」
私と同じ勇者の正義に呆れた者──────
違うのは排除か無視か。無視という手も悪い方法ではないなと思われるが、私にはもうその方法を選ぶには遅かった。
「私も転生者……。私の場合は勇者を狩ることで真の正義を取り戻そうって言う信念かな。似てるようで似てないよね。」
「お前も転生者なのか」
「ええ」
転生者───
私はこの世界に飛ばされると、能力が使えるようになった。顔の形も整い、少しだけ小顔となり、身体も細くなって良くなった。全体的に見た目が良くなった。
私はこの世界に飛ばされて新たな人生を送る機会を手に入れた。
相当な強さもある。見た目も良い。
勇者を目指す道もあった。
だけど、私は勇者を狩る道を歩んでいる。本当にこの道が正しいかは分からない。けど、立ち止まれば今までの全てが無くなりそう────私には歩むしかない。
「お前は少しでも勇者を目指そうとしたことはなかったのか?」
「うん、この世界に来た時に出会った友達と一緒に過ごしたいと思って、のほほーんと過ごすことを目指したわ。」
「なら何故その友達と過ごさないで勇者狩りをしているんだ?大事な人との生活を営む方が─ ───」
「もういないんだ。その友達は……。勇者に殺されてね」
あの悲劇のせいで……私は勇者狩りに出た。友達が今でもいたら多分こんなことをしようとはしない。
「お前……。もしや、"グリーンスケート"の生き残りか……」
「そうよ────────」
グリーンスケートとは、私がこの世界で生活を満喫した村だ。
今はもう消えたけど────────
カイルは何かの重りが消えたのが、スッキリした顔をした。どこか、優しいと思わせる笑顔を浮かべた。
「いいだろう。お前のために仲間となってやろう」
「えっ?」
意外だった。私はてっきり武器を作ってくれるだけかと思っていたので、仲間になってくれるはのは予想外だった。
けど、仲間になってくれるのは嬉しい。武器を作って貰うことよりも、いやそれ以上に価値のあることだ。
「ただし、三つの条件を達成したらな」
条件があるんだ……
取り敢えず仲間になってくれるのなら、全力でその条件を達成しに行くしかない。
あまりにも話すのに間を開けたので思わず唾を呑んだ。
カイルの口が開かれる。
「一、俺特性の武器を使いこなせること!」
その条件はまさに鍛治職人らしいなと感じた。製鉄屋の職人魂はここにも出ているのだ。
「お前の使っている武器は何だ?」
ただ、私は能力全力解放で行っているので武器なんて考えていなかった。
「いや、今はまだ何も使ってないです」
「そうか……。何か武器に希望はあるか?」
握り拳を額につけて考えたが、思い浮かばない。
「いやないな。何でもいいよ」
カイルは深く考え込んだ。
そしてすぐに、何かを思い浮かんだように顔を上げた。
「回転鉄具はどうだ?」
いや武器は何でもいいと言ったが、流石に回転鉄具は適当すぎやしないか────!?
驚きのせいか何も言えなかった。
「まあいいや。回転鉄具で決まりだな」
しまった。その間に、武器がソレに決定してしまった。
「二、この町には勇者とその仲間が四組いる。そいつらを全滅させろ!」
余裕だ。
私はそのために勇者狩りを選んだんだから。
「三、俺の師匠の真金郎氏を説得し、俺を連れ出せ!!」
まあこれに関してはカイルを連れ出すために必要な手順ではある。何とかならなくても何とかするしかないな……と思った。
「この条件、受けて立つか?」
「勿論よ!」
私は悪魔でも魔王を名乗る程の度胸があるのだから。それぐらいの覚悟は出来ている。
「それでは、結果を期待してる」
カイルの試練が始まった。
絶対に攻略して、カイルを仲間にしてやるんだから……
私の瞳は真っ赤に燃え盛った。
属性について……(その一)
火水木金(光)土(闇)の属性相性チェックは星型で確認。
全て二属性に強く二属性に弱い。
ただし、月日はその属性表から除外されている。
・一部、修正を加えました。




