二十九、 二度あることは三度ある!!
もう一人の主人公が再登場する話。
サガンの村を出て数日……
今森の中で野宿している。灯火はカルトが何とかしてくれるし、最低限の野宿用品はある。火はカイルの能力で代用しながら、モブミが少ない材料でシチューを作った。
皆でシチューを食べる。その味は……美味!!
私達が作るよりも少ない材料でこんなにも美味しいものが作れるなんて、何ていう女子力!!尊敬に値するほどだ。
そして、もうすぐ私達はモブオの紹介する三人目がいる村、豊村だ。
モブオは村に入るといなや、走って何処かへ行きすぐに戻ってきた。そこにはもう一人の男がいる。
四角い眼鏡は青く、真面目そうな様子を伺わせる。
「ワイはモブ吉!そこそこ一流の建築士や!戦いなら何とか足は引っ張らないようにする。……というか、モブオとモブミって、戦力大丈夫なんか?」
いいや、この二人の戦力は大丈夫じゃない。
「ワイは能力はない。つまり、属性もない。武器は属性玉で、敵の属性に合わせて戦う。」
やはり、能力がないのか……。二度あることは三度あるというが、それは本当だったのか。けれども、中々戦闘では役に立ちそうだな。
「属性玉って何っすか?」
惚けているカルト。それを見て眼鏡の淵を一旦上に上げて戻すモブキチ。
「基本属性全種をそれぞれ一つずつに凝縮した玉や。投げて破裂させれば、その中にある属性の攻撃がある……」
「まさか、属性を凝縮して使えるとかあるんっすねぇ。それを使えば色んな属性を組み合わせて戦えるっすよ!!?」
馬鹿じゃないの?という目でカルトを見るモブキチ。そういや、前にも属性について分からないカルトに属性について教えるっていうことがあったような……
「とっくに使っている奴はもうある。属性を凝縮する技術は世界一の発明家ダージンが作ったんや。
例えば、強い魔族が多く、常に干渉されているこの豊村では家にも属性凝縮技術を使ってある。家は苦手属性さえ受けなければ壊れないから全ての属性凝縮を入れて耐久性を底上げしてるんや!
こういう風に身近な場所に使われとんので分かんように、武器にも使われているのもあるんや!!まあ、全属性を凝縮した武器は世界で一つしかないんやけどな……」
早口で語るモブキチは何処マニアックだ。
けど、「全属性を凝縮した武器は世界で一つしかない」と言ってたけど私の持っている武器は全属性を凝縮している。
私は背中にある武器を外しモブキチに見せた。
「コレ、全属性を凝縮してるけど、、、その世界に一つしかない武器なの?」
私はそう聞いた。
モブキチはその武器を眺め、触り確認すると眼鏡が割る程目が飛び出た。
「何でその武器がここにあるんや~!!?それやそれ。それこそが例の武器や!!基本属性五種に普通の砲撃と最終手段一種の合計七種を一つの武器に詰め込むことで誰しもが扱えない。扱えてもゴリラみたいな奴だけだし、そのゴリラはこの武器使う方が手間となるから誰も使わないというダージン曰く欠陥品。しかし、ワイは誰も使えないだけで性能は世界一の武器やと思ってる。そんな武器やな!!」
なるほど……長い!!早い!!!
取り敢えず、この武器が凄いことは分かった。そして、この武器にはもう一つのダイヤルがある。
「私、まだ六つの種類しか使えないけど、その最終手段ってどのように出すか分かる?」
それがいつか役に立ちそうな気がする。
「確かにそうやな。ワイも詳しくは分からんけど、最終手段やから滅多に使えないはずや。まあ、衝撃を受けた時に一時的にダイヤルが変わるとかやないんかな?最終手段やし、滅多に使わないはずや!!」
なるほど……。
「へぇ。けど、ウチ、属性なんて分からないし、そんなん何とかなるっしょ!」
「何を言う!属性の知識は大事や!!」
「属性って何か、、難しくないっすか?属性と能力の関係はどんな分け方になっているのかも分かりにくいっすもん!」
────きたっ!!
モブキチの眼鏡の奥底が見えなくなり、フッフッフッと声を出し始めた。
「教えようやないか。属性と能力について……
まずは基本属性それぞれの属性の中にどのような能力があるか。
火属性の能力は"火"や"熱"が入るのは分かるやろ?それに加えて"エネルギー上昇系"も入るんや。例えば、自身の身体能力を底上げしたりやな。火属性は単純な攻撃の時に能力を発揮しやすい。逆に細かく発動するのは苦手やな。
水属性の能力は主に液体系とそれを中心に派生したものやな。液体系は"水"だけでなく、"毒"などもある。また、水が蒸発して出来る"霧"や凍って出来る"氷"も水属性やな。それと、"魚類"に関するのも水属性になるんや。様々な種類があるのが水属性の利点やな。ただ、一撃で決めるみたいな剛腕さを出しにくいのが弱点や。
木属性の能力は"木々"に関するものと"風"が入るんや。それと、"動物系"の能力もこれに入る。緑と言ったら……で思いつくものは殆ど木属性やな。細かな攻撃は得意なんやが、それぞれの属性の種類は少なく、木属性同士で技が同じようなものになりやすい。そのせいで、対策されてしまう可能性があるのは弱点やなぁ。
金及び光属性の能力は"鉄"などの種類の鉱石と"光"に関するものやな。それと、"電気系"。明るいようなものが多い。能力は似たようなものなのに、個々にそれぞれの違う使い方があるという面白い属性やな。
土及び闇属性の能力は"土"などの種類、例えば砂や粘土とかやな。悍ましいモンスターを身体に収縮しているのもこれに入るんや。それと、"闇"に関することもやな。様々な能力があって面白いのに、個々に使い方が似てしまうことがあるという不思議な属性やな。
基本属性は分かりづらいのは殆ど金及び光や土及び闇やから、それも忘れずにな。
次に珍種属性やな。
月は月に関するもの、日は太陽に関するものがそれぞれの能力や。
まあ、実は無属性というのもあるんやが、とりまこれは分からなくっても大丈夫やよ!」
「「 無属性ッ !?!!?」」
「うーん、まあ六つの石碑のどれかにその事が書いてあるんやけど、それを見なければ気付かれないほど、すごくマイナーな属性やな。
現 王やその一族とか元魔王とかは無属性で最強を誇ってたんや。まあ持ってる者は選ばれた者だし、それ以外の者で無属性の者を見つけれたら凄いと思うんやけどな」
「へぇ──」
元魔王は無属性だった!?
そして、最強の存在だった。私はそのような者の後継になろうとしている。私にそれが務まるか……不安になってきた。
いや、私なら、私達なら魔王になれる!!
◆
ゲイルは石碑の近くの木にもたれかかって呟いた。
「まさか、魔王も無属性だったとはな。お前も……無属性だからな」
「俺は何故無属性を持っているのか。」
正義の味方は何を持って正義なのか?
その正義は正しいのか?
昔、間違った正義によって勇者が作られ、その正義に人々が集っていく。実は正義というものは毒で、知らず知らずの内に毒に侵され、その毒を人々や魔族に移す。その毒がその人々や魔族を殺す。
それを壊してくれるのは魔王なのか?
何かを奪うのが正義なのか────?
俺は分からない。段々と分からなくなっていく。何が正義で何が悪か。いや、そんなものは曖昧で、その曖昧を利用して裏舞台から操る者がいる。
それを打ち破るのが魔王なら、俺は味方をするべきなのか?
「しかし、全ての結果を出すのは全ての石碑を確認してからだ!!」
次は日曜日
モブキチの話を書くのは大変。けど、長いのが特徴という大変さ。
そして、次話急にサバイバルバトルに参加させられます。




