二十四、 厨二病侍アサシン
月華───
彼女は魔王であって反逆者でない。ただし、今現在彼女は魔王ではないが。
拙者はカブト。しかし、皆からは暗部と呼ばれ、今ではカブトの名を捨て暗部として生きている。
反逆者は王とそれに随する勇者を敵対する者のこと。魔王はそれに"覚悟"が加わっている。反逆者には及ばない存在。
黒のフードで顔を隠し暗殺に徹する。
素の正体を隠して敵対する臆病者とも言われても仕方が無い。
月華が魔王になることは反逆者にとっても希望になる。だから、拙者らが魔王にさせるため月華を苦しめる。月華は絶望に貶めた先に得られる強さで魔王になる参段だ。
「だから、その前に殺されてしまうのは困る───」
違法者。彼らは魔王を邪魔する。それに連動して拙者らも邪魔させられることになる。
「なら、先に消すだけでござる」
違法者は海岸沿い違法者、陸内違法者の二つに分かれている。
邪魔となるのは海岸沿い違法者だから、それを消すのみだ。
今、拙者の刀で海岸沿い違法者のアジトに潜入し、刀一本で敵を斬りまくりほぼ殲滅した。下っ端や幹部など話にならない。残るは大幹部のルュヤーのみだ。
「皆、弱いよね。あたしも本気出さなきゃ……」
ルュヤーの指細く硬い鞭となり地面に垂れた。
「木属性の能力指鞭。指が鞭になるんだよ!面白いでしょ?それも科学技術で強化すればぁ──」
ルュヤーはポケットにあった薬を取り出して飲んだ。謎の力がルュヤーを包む。
「鞭が鋼のように硬くなるはのでーす」
鋼の鞭がしなって暗部向かって叩く。一本の刀では受け止めれず一、二本の鞭が暗部を掠る。
「拙者も本気を出す。実は二刀流なのでござるよ」
もう一本の刀を空間に穴を空けてその穴から取り出した。
二つの刀と十の鋼鞭が凄まじい勢いで重なり合う。
「なーに、その空間に穴を作る能力はぁ?凄く気になる!教えて欲しいでぇーす」
「土(闇)属性、能力ワープ。空間にワープホールを作り、ワープホールで繋がった場所へと瞬間移動出来る。
ただし、ワープは目の前に一つと意図した場所に一つの二つしか出せない。そして、ワープの大きさが大きくなるほど遠くなればなるほど時間と容量がかかる。
そんな能力でござるよ────」
そうこう言いながら、刃と鞭が激しく衝突し合う。
「残念ながら、この世界の夜明けのために殺させて貰おう。敵が悪かったと悔いるといい」
「反逆者の右腕暗部と一戦交えてしまったことを悔いよ!拙者らは世界の間違いを破壊し正す孤独!!反逆者。いざ、処す!!」
◆
ダイヤルを土にセットして引金を引いた。木とか光とかと違って簡単に引くことが出来た。
茶色い何かが目の前の賞金首狩りらを捉えた。
ヘドロみたいな、黐みたいな、泥みたいな。最終的には、粘着性のある泥という結論で終わった。
林の中で襲いかかる賞金首狩りは私の銃によって動けなくされた。私達はそいつらを置いて先に進む。
相手しているだけで力の無駄遣いである。
もうすぐ麦津だ。何故か出逢いが待ってそうな気がするのは気の所為だろうか────?
◆
「今日を持って海岸沿い違法者も全滅でござるな」
根寂の中で刀を研ぐ暗部。
滅ぼされた奴らの中で強い五人を大幹部と呼んでいたが、その大幹部は皆消滅した。
一人は我に斬られ、一人は魔王と偽る者に吹き飛ばされた。
残る三人はゴーレム退治に出ていって戻ってくることはなかった。
彼らだけではない!
海岸沿いの町を護る勇者達も皆、ゴーレムを討伐しに出かけた後戻ってくることはなかった。
つまり、退治に出掛けた海岸沿い違法者も勇者達もゴーレムによって滅ぼされたのだ。
彼女らが魔王城を目指しているのなら必ず通らなければならない道。必ず戦う敵。
「さて、我は彼女らを見守るとするか────」
ついに、タメがなくなり毎日更新はここできれます。次は月曜日に更新。
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