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二十三、 ゴーレムの脅威

 全ての始まりは植生の始まりだと言える。

 世界がまだマグマで覆われていた頃、マグマの熱さが蒸気を作り蒸気が集まって雨となった。炎と水が衝突し陸が生まれる。さらに、緑の初期が生まれ陸を浸食し、やがて木となる。さらに、木は林となり森となる。いつしか、動物が現れる。

 その生き物の中でとある猿は特殊な進化をしていき立っていく。後に人間となる。


 人間も動物なのだ。

 いつしか動物に能力が与えられた。動物の中で人間は三つの圧倒的な強さで動物を退けた。その強さとは一つ道具を使うこと。一つは知恵を持つこと。そして、一つは───長い歴史を紡いでいること。

 子孫へと技術を受け継いでいった長い歴史の中で、その技術は今や一夜二夜の付け焼刃の動物では勝てない。

 それも、特殊な能力を持ってしても……だ。


 動物は特殊な能力を貰った。能力を貰った動物は人間から魔族と呼ばれ、退けられた。人間の中でも能力によって人間として形を維持出来なかった者は退けられたのだ。


 魔族は能力を手に入れた動物と人間の異形者の集まり、多種多様なため誰も一つに纏まっていくことなど予想がつかなかった。


 曲がった角、濃緑の身体に忌々しい見た目、そんな魔族は自ら魔族を結成させようとした。名は確か…曜助。弱肉強食の時代を逆手に取って他の魔族を従わせたり、優しき心で魔族の仲間を増やした。

 組織が大きくなると魔族を纏めあげた彼は魔王の称号を手に入れた。それを祝い魔王城が造られる。魔王に従う魔族は人を襲わない。

 いつしか魔王は人間からも支持される存在に……。だが、奴の企みにより魔王は最大の(ヴィラン)とされ、ある日伝説の勇者達に殺された。


 党首を失った魔族は幾つかの組織に分かれた。



 これは事実を述べただけ。

 実はこのことが教科書、歴史書に間違って書かれているかもしれない。時の正義の権力者が事実をひん曲げたり隠蔽したりするかもしれない。

 本当にその事実は正しいのかい────?








 私達は今林の中を歩いている。

 その時、野生の夜叉犬が現れた。


 しかし、その夜叉犬は私をじっくりと眺めて攻撃もしない。どうしたんだろうか?

「オヌシ、ヒナ殿の友人の……」

 まさか……ヒナを知っているということは!

「グリーンスケートに住んでいた夜叉犬?私はヒナの友人だった月華よ!!」

 私は嬉しそうに話した。

「やはりか。父上の……。生き残っていて良かった。ヒナや他の者は?」

「ごめん……。私だけ……なの。生き残っちゃってね──」

「なんと!?」


 私は近くの座れるような林に腰を下ろして夜叉犬と会話した。そして、事の事実を話した。私は魔族の現状について聞き出せた。

「我はあの日グリースケートにいなかった。悔やまれるよな。それはそうと、魔王を目指すとは、流石の心意気じゃ」

「ありがとう───」

「そうじゃ、魔王となり魔族を従わせるのなら三つの派閥のボスを従わせなさい。」

「三つの派閥のボス?」

「うむ、元魔王に仕えていた魔族達じゃよ。洞窟内魔族のボスのゴーレム、空を飛べる魔族らのボスであるドラゴン、地上を制する魔族のボス鬼族。」

 ゴーレムは噂の巨大なゴーレムだろう。そして、ドラゴンに鬼とはなかなか大変そうだ。

「ありがとう。」

「勿論じゃよ!旧友の仲じゃろ?我は『人間と魔族の共存する社会』を作るための協力を煽る用に動こうぞ!」

「ありがとね───」



 夜叉犬は「またな」と言い残し先に進んだと思ったら、すぐに戻ってきた。

「どうしたの?」

「嵌められた!ゴーレムの派閥にな……」


 林の中で夜叉犬が睨む魔族……眼前には巨大な蛇がいた。

「あやつはオロチ!ゴーレムの下に従うものだ。」

 オロチは長い尾で回転して周りの木を伐採した。その部分は平面となる。

「それに、援軍とはな───」

 蛇の下には小さな蛇が何匹が現れた。ただ、小さな蛇と言っても大きさは私達の三倍は余裕である。

「我があやつらを止めるからその間に逃げるがよい」

 そんな必要はない。私達は魔王だから───

「いいえ、私達が代わりに戦うわ」

「いや危険じゃ!あやつらには毒があって……」

「大丈夫!!私達は強いから」



 シュー ────



 二つに分かれた細長い舌をくねくねと動かして音を出す。オロチの下にいた蛇の一匹が私達を襲うため地這いから勢いよく飛び出して噛み殺そうと口を開く。


 それじゃあ、水のダイヤルを試そうか────


 私は重火力銃(ヘヴィランチャー)を構え、ダイヤルを水にセットする。引金は少し硬く徐々にしか引いていけない。引くと小さな泡が銃の先端から現れた。引いていくとその泡が大きくなっていく。

 泡は蛇を中に閉じ込めた。

 引金を完全に引くと泡が発射される。

 閉じ込められた蛇は中で動けずにいた。抵抗のために毒を放つが。毒は泡の中から溢れることはなく泡全体に広がった。


 オロチに当たると泡は割れて、蛇も落ちた。

「なるほど、これが水のダイヤル──。次はコレよ」

 私はダイヤルを回して光にした。

 そして、引金を引く。木のダイヤルと同じで引金が重い。引金を完全に引いた。



  凄まじい雷光がオロチ達を襲う。


 発射された稲妻はまず二つに分裂し、さらに分裂し、またさらに分裂していき、網のように張り巡らされたように進んでいく稲妻がオロチ達を捉えて逃さない。


 毒を持つ魔族は基本的には水属性だ。そのため、金(光)属性の雷攻撃には弱い。

 オロチ以外は消えていた。

 残ったオロチは堪らず地面に潜って逃げていった。


「凄いの!ここまで成長しているとは。」

「銃を撃っただけだけどね(汗)」

「我もおぬしらのために頑張らんとな。気を付けろよ!今度こそ、お別れじゃな」

「またどこかで、会いましょう───」


 夜叉犬は慌ただしく去ってしまった。

 私達も遅れはとれないわね。私は次の村である麦津に向かって林の中を進んでいった。







「おんどれは違法者(マフィア)の大幹部ソヌールグ、こんな魔族なんか簡単に捻り潰してやろう。予想以上に小さいじゃねぇか」


 ソヌールグはゴーレムと退治していた。ゴーレムは一軒家と同じぐらいの高さを持つ。

「よしっ、部下(やろう)共よ蹴散らすぞ!!」

 ソヌールグはゴーレムと対峙した。


  土(闇)属性の能力()()()


 段々と巨大化していくゴーレムはいつしか城と同じぐらいの高さになっていた。


 ソヌールグとその部下を含めた全員……皆、帰ってくることはなかった。

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