二十二、 ヘヴィランチャーでぶっぱなせ!!!
違法者は勇者に歯向かう組織の一つだ。勇者によって悪が断罪される時代にあり違法な奴らは単体や少数行動が少なくなったため、大半の違法な奴らが一つに集合していき大きな組織となった。これが違法者の出来上がりである。
反逆者は村や町の人々を狙わないが違法者には関係ない。ただ、立場を失った反逆者から違法者への転換もないわけではない。強きものは反逆者を貫くが、弱きものは転換の可能性がある。
「奴は女だ。力強くで我が女に出来ちゃったりしてなぁ」
その男は怪しく高笑いをした。
◆
唾を飲む程緊迫した空気となった。
誰もが私達を警戒し離れる。ただ、一人の男とその部下を覗いては……
「テメェ、反逆者じゃねぇのに、反乱起こして反逆者になったんだよなぁ?そりゃあ我が違法者でも変わんなくないか?なら、入らねぇか?違法者に!!」
急に話しかけてきた男はそう言った。
「却下────」
ただ、私は魔王であり誰かの下につくような者ではない。勿論、断るに限る。
「はぁん?拒否権なんかねぇぜぇ。力強くでも違法者にしてやんよ!!」
その男は手に持つ歯刃がついた剣を私の首に構える。少しでも動けば斬られそうだ。
「言い忘れたわ。テメェの仲間の猛者共は違法者入りだが、そこの魔族は奴隷、テメェは我の女になれ!!」
勿論───
却下以外有り得ない──────
「断ることなんかさせねぇぜ!我はゲェバ、違法者の幹部、上位勇者と互角に戦える強さを持つ。断ったらどうなるか分かるよなぁ?」
威嚇して脅してくるが、私には関係ない。
敵が力づくならこっちも力づくで当たるだけだ。
「カルト、お願い────」
「任されたっす」
その掛け合いで眩い光が襲う。それと同時に、私は綺麗に腹蹴りを決めていた。喰らったゲェバはほんの少しだけ距離を取る。
すかさず重力で捕らえる。
「やはり、攻撃は低いんだな。だが、この能力はあまりにも厄介だ。」
跪くゲェバは奇しくもにやんだ。
「大幹部のメビュウとルュヤーがいなけりゃ、殺られてたわ」
叫び声が響く。その声は武器屋の店主だ。
店主は逃げ惑う。その後ろを大きな巨体が追っている。
「おいおい、武器を無料で全部譲れや!こちとら、泣く子も黙る違法者なんや!!」
その手には金棒を持っている。その金棒を振り回している。
そして、その金棒が店主を消した────
動揺を隠せない。
「彼が何をしたっていうの───?」
「そりゃあ、違法者の言うことを聞かずに武器を譲らなかったからなんや」
何故、武器を売っていただけの彼が殺されなければならないのか?勇者のような死をも覚悟している人とは違う。ひ弱に人の為に生きている彼が殺される理由が分からない。
動揺で重力を解いてしまった。
その間に私に攻撃を仕掛けるゲェバだが、カイルの攻撃によって塞がれ再び間を空けた。
「何も関係ない人々を巻き込むなんて許せない」
「やっぱ、反逆者で合ってたんか。とりま、テメェは調教して我が者にするか」
ゲェバは素早い動きで攻めてくる。それに対処するカイル。ゲェバの剣は二つに分かれてしまった。
「相手は俺がしよう。さっきは能力を使わなかったが、能力を使えば武器なんて簡単に破れる。」
「ちっ、面倒なのが相手だな」
私はメビュウという巨体の男に重火力銃を向けた。それに気付いたメビュウは近くの町人を掴み盾のようにした。
「攻撃すれば、こいつに当たる。嫌なんやろ?勇者じゃない人々を殺すんのは」
しかし、だからといって撃たない訳にはいかない。
私は大砲を肩にかけて引金を握り、もう片方の手で取手を持って固定する。ダイヤルは"普"。銃弾をぶっぱなす!!
その弾はメビュウの握る町人に向かい進んでいく。
「ほう、だがこっちは無傷ですむんやなぁ!覚悟はいいけど、少し残念やなぁ」
「大丈夫──。その人には当たらない!」
「はい────?」
『 武器重力変動 ────』
弾は斜め横に進路を変更し、さらに反射するように進路が変わりメビュウに直撃した。そして、町人を手放した。
流石、重火力銃。負傷も大きい。ただ、メビュウは見た目通り耐久力があるらしい。まだ耐えるとは……。
「許さんわ」
メビュウは金棒を地面に殴り回しながら進んできた。
正直、下手に攻撃したら町人にも被害出そうだし、何もしなかったら殺られるだけだし。一番いい対処法は、、、
「リリス!例のあの技お願い出来る?」
「オーケー!」
リリスは霧を出す。霧がメビュウを包み込む。
「このまま『幻惑の霧』で誘導するわ────」
そして───金棒の殴る音が誰かに衝突した。低く鈍った音が響いた。
霧が晴れるとそこには、金棒に潰されているゲェバの姿があった。
「すまねぇ、お前さん!」
後は私の重火力銃で終わらすだけだ。カイルを初め私の仲間は背後にいる。敵は目前。
「許さねぇわ。その攻撃を防いで一気に決めてやんよ」
『雷砲 : 絶対防御の檻』
「この技はどんな攻撃をも防ぐ最強の檻なんや!そんな砲弾効かねぇんや」
雷の檻が彼らと私達の間に隔てる。
「そうか、金(光)属性か。なら、ダイヤルを"木"に合わせて……」
私はダイヤルを変えて引金を引いた。何故か引金が硬く最後まで引けない。私は力一杯引金を引っ張った。
──……─……────
強力な旋風が一直線に吹き荒らしていく。まさに疾風怒涛のような素早さで目の前の敵は消えていた。
そう消えるのは"一瞬"だった。
死んで消えたのか吹き飛んで消えたのかは分からない。だが、この攻撃は強力だということは明白だった。
町人は敵から逃げるためそこにはいなかったのに、被害は全くなかったと言える。……多分。
「あーあ、全滅かなぁ?金(光)属性の能力雷檻も大したことなかったねぇ~。」
ルュヤーはものやの影から姿を消した。
◆
「町を救って貰いありがとうございました。魔王様!!」
町の代表?の男の人が綺麗なお辞儀をした。
「気にしなくていいから、大丈夫だから」
私はそのお礼の意を軽くしようとした。
「魔王様!是非、この町で身を隠して下さい。絶対に隠し通してお守りします。」
そう言われても、私には目標があるから断るしかない。
「ごめんなさいね。私達は魔王城を目指してるから……。気持ちだけ貰っておくわ」
「そうなんですね。魔王が言うのなら……。気をつけて下さい。あそこに誰も寄り付かないのは様々な危険が伴っているからです。」
険しい顔の男。
ふいにカルトが前に出た。
「様々な危険って?」
「まず、魔王様は王や勇者に追われる身であり、さらに賞金首として褒奨金狙いの賞金首狩りに襲われる可能性もあります。だけでなく、違法者に手を出したこととなるので違法者からも狙われるでしょう。
次に、魔王城に近づくにつれて魔族も強くなっていきます。話の通じない魔族は弱肉強食として倒すしかないですが、強過ぎて負けてしまう可能性も。特に、最近超巨大なゴーレムが危険です……。
もし魔王城についても、あそこは反逆者の隠れ家と噂されてますし、彼らはそこまで辿り着ける程の実力の持ち主、相当な実力はありますし、暗部という強者は非常に危険です。それも、無敵の亡霊がいると噂され、その実力は世界二位とも言われます。その真相は定かではありません。」
「大丈夫!私達は魔王よ!それなりの覚悟もある。私達は進むわ!!……ね。」
私は仲間の方を見た。
皆、「勿論だ」という顔をしている。
私達は町の人に見送られながら魔王城へと続く道へと進んでいった。
勇者?賞金首狩り?違法者?魔族?ゴーレム?反逆者?暗部?無敵の亡霊?
私達は魔王だ。越えていかなければいけない壁は勿論越えるのみ。そんな覚悟は持ち合わせている。何とかならなくても何とかしてみせる───
私は地面を力強く踏みつけた。
違法者はかませ
ややこしいので一度整理
月華はまだ魔王ではないし反逆者でもない。
月華は魔王と偽る。
王は月華を魔王ではなく反逆者として考えている。




