二十一、 ブーメランを変えて、今度こそは真面目な武器を選びます!!
ため更新もそろそろキツくなってきた
私の能力は"重力"───
重力の技には幾つかの種類に分けられ、現在使える種類は三つである。
一つは『重みをかける』、一つは『重さを軽くする』、一つは『重力を変える』。
『重みをかける』では、円形に広がる重力をかけて敵の動きを封じたりさらに負傷を与えたり出来る。また、攻撃などを真下に落とすことも出来る。範囲が大きくなればなるほど、遠くに重力をかければかけるはほど時間も容量もかかる。弱点として二つ以上の重力の円形を作ることが出来ない。
『重さを軽くする』では、対象の重力を軽くする。簡単に言えば無重力に近付ける。対象の重力を軽くする他に、範囲内にいるものの重力を軽くすることが出来る。弱点として二つ以上の対象を軽くすることが出来ない。代わりに、軽くする範囲を作ると二つ以上の対象を軽く出来るが敵すらも軽くしてしまう。
『重力を変える』では武器の重力を変動させて武器を操ることが出来る。空中の武器を操るという強さがある。また、その武器のスピードを増加させ、攻撃力を上昇させることが出来る。弱点は武器のような小さなものにしか出来ない。大きなものになると変動出来ない。
そして私は、二種類までしか同時発動が出来ない。
これが私の能力だ────。
能力と武器を組み合わせることで最大の効能を得られる。
武器を使うことは強さを上昇にする、能力と組み合わせれば強さを倍増にする。ただ、武器との相性によっては、その桁も変わっていく。
武器選びは慎重に────。
私達は神宮城から南に下り、カイル一押しの町であるトンミールへと来た。
まず、私は美容室に行って髪を整える。流石に、乱雑と切られた髪では少し違和感がある。だから、中髪で似合う髪にして貰った。
その間に、カイルは知り合いの武器屋に出向き、リリスは衣服、カルトは食、日野は野宿用品を見に行った。
そして、私達は昼頃には集合した。
「似合うっすけど、やっぱ短髪が……」
「だから、、気が向いたら…ね!」
「まあ、その笑顔を見たら許しちゃいますよ!最高っす!!」
許されるとかそういう問題だったのか?
「さて昼にするか───。そういや、俺らって料理出来る奴っているのか?」
カルト、日野は素早い反応で首を横に降る。リリスは首を傾げ、私は「少しだけなら」と答える。
「なるほどな。サバイバルには料理出来る奴が欲しいよな。勿論、俺は料理下手だぜ!」
なるほど──。そういや、私達で生きるとなると黒足のようなポジションが必要になることは明白。どうにかしなければ……
私達は昼飯を終わらした後、武器屋へと向かった。武器屋は地下の中にあり、私達はその地下へと続く階段を下っていった。
「そら斧だ。」
カイルは都市で日野と一緒に武器屋に行った時、リクエストボックスにメッセージを投稿した。暗号付きのメッセージを。
そのメッセージを読み取るのはその武器を造る場所。その場所とは竜宮城で、そこの鍛冶場にいる真金郎に届けられた。その人物はカイルと師弟の関係にある。
「メッセージには提携会社に斧を回して貰うことをお願いした。勿論、今ここには斧がある。それも、回転鉄具機能付きのな!!」
そのメッセージには"斧に回転鉄具の機能を取り入れたモノ"とそのデザイン、作り方を書いていた。その通りに造られた武器が今目の前にある。
「ありがとーー!!これで、また斧が使えるーーー!!!」
日野は大はしゃぎで喜んだ。
店内には売られていることが珍しい斧が売られている。日野はその斧を神宮城からくすんだお金で支払い手に入れた。
まだまだお金は余る程ある。流石、王の別荘的存在の神宮城という感じだ。それも、そのお金をくすんだ日野に対しても"流石"と言わざるを得ない。
「悪ぃが、回転鉄具の申請はし忘れてたからここにはねぇな。」
つまり、私は回転鉄具とは違う新たな武器を使うことになる。私は武器屋に並ぶ武器を眺めていった。
剣は武器屋の中の淡い光を反射し銀色に輝く。鋭くギラギラしている刃はまさに斬滅の刃を魅せる。だが、剣使いはカルトがいるので止めておこう。
弓は木で出来ていてとても軽くで使いやすそうだ。しかし、所々鉄でコーディングされて丈夫さも伺える。矢の先端は鋭く磨かれ、殺傷力も高そうだ。一応保留にしておこう。
銃は手軽に持てるデザインと機能性で素人の私でも使いやすそうだ。ただ、重力を操ればどんな武器でも何とかなるから素人でも使いやすいかどうかはどうでもいいが。
うーん……
何かもっと殺傷力の高い武器が欲しい───
一撃で倒せるような……
そして、武器の棚に並ぶ端にポツンと床に置いてある武器。そこには、巨大で見ただけで殺傷力が高いことが分かる武器が。
棚には置けず床に置かなければならない程、大きくて重量がある。大きさは私の慎重より少しあるぐらい。真っ黒な巨体はツルツルと丸みを帯びている長方形型のもの。先端には発射するための穴がある。また、その武器には取手が二つあり、その内一つには引金がある。
「私、この《重火力銃》がいいかも!!?」
私はその銃に向けて指を指した。
仲間は全員目を丸くして、さらに驚いた店主が近寄って来た。
「おいおいおい、そこの姉ちゃん!その武器を使うっていうのかい?」
驚ろきすぎやしないか?
「それ、三百キログラムあるんだぞ!!それを、そんなヒョンとした姉ちゃんが使うんか?」
「ええ……」
「『ええ』って、二百七十キログラム以上はあるのは確かだぞ!!扱う前に持てるのか?」
私はその武器の前に立つと、それを軽々と持ち上げた。
それを見て尻餅をつく店主。
「ちょっと、どんな身体してんだい?それとも、能力かい?」
「私は能力で重みを出来るだけ無くすことが出来るから。まあ、常時『重さを軽く』するせいで技は一種類しか使えなくなるけどね」
「そうか、能力か──。心臓に悪ぃわ!姉ちゃん。そりゃあ、誰もが買わない商品で結局ここに回ってきたのに誰も買わない欠品品なんだよ。そりゃあ、そもそも誰もそれを使える奴がいなかったっていうだけだけどな」
「へぇ────」
「正直排除したかったけど重すぎて出来なかったんだよな。だからそれは排除品として無料で持ってけ!!」
私は新たな武器を手に入れた。
重火力銃───だ。
引金ではない方の取手には何故か回せるダイヤルがある。そこには、黒い背景に白い文字で"普"と書かれている。
「何これ?」
私が呟くと後ろから店主が話しかけてきた。
「そりゃあ、そいつの最大の長所さ!ダイヤルを回してみ!」
ダイヤルを回した。
"普"の次は赤い背景に白い文字で"火"と書かれ、青い背景に白い文字で"水"、緑の背景に白い文字で"木"、黄色の背景に黒い文字で光、藍色の背景に山吹色の文字で土、この六つのダイヤルがあった。
「最初のは普通の大砲攻撃だ。そして、回せばそれぞれに書かれた属性の攻撃が出来る。それを使いこなせば敵がどんな属性でも有利に戦えるだろう」
私は武器を背中にかける。
そして、私達は町に出た。
私達は新たな衣服に身を包む。
大人の女性らしさを醸し出しながら女の子っぽさも残した私に、動き易い服装で赤を貴重としたカイル、子どもっぽさを残しながら少しカッコよくキメた日野、ちょっぴりダークっぽさを取り入れたピシッとキメた明柄のカルト、可愛さを強調した黒っぽい服装のリリス。
最低限の食料を手に入れたし、野宿出来る品も手に入れた。
私は武器を背負っていて荷物を持てないので、他の四人で上手く分けて荷物を持った。
……。…
私達が町を歩いていると何故か視線が集まるのが分かる。それだけでなく、人々が私達から離れているのが分かる。
運び屋が町中に紙を投げ撒き散らしていた。カルトはその紙を拾う。カルトが手に持った紙を覗くと、そこには──
私の顔が載っていた。
「反逆者 月華……。犯罪者で、賞金首になってるっすよ!!?」
そう、私は王に歯向かう組織反逆者の一員と間違われ、さらに私を捕まえるか殺すと王から賞金を得られるという賞金首になってしまった。
「そうか───、丁度賞金首が歩いているのか!こりゃあ、違法者の出番じゃないか」




