十一、 五つ目の影
アマリリスとリリスの間にふと現れるゲイル。
「まずは、希望を託された奴が消えたらどうなるかな」
素早い小刀捌きでリリスは何も出来ずに消えてしまった。
「お姉ちゃん────!!!」
虚しく叫ぶ。
「次は、ボスだな。素早く摘んでやるよ。」
アマリリスもなす術なくゲイルの技の餌食となる。そして、灯火は一瞬にして消えた。ヌアゴスでの負傷も重なったせいか早く消えてしまった。
残されたリリスは憎しみからか飛び出して行くが、カイルに止められた。
「逃げるぞ!カルト、光灯」
眩い光がゲイルの目を奪う。
「これで、俺は追えねぇ。まあいい。もしこのペンダントを返して欲しければ神宮城に乗り込むといい!!!」
ゲイルは見にくい目を隠しながら自陣へと逃げた。
眩い光が私達と勇者達を切り離したのだ。
◆
「皆……。それに、形見までも奪われて────。残された自分はどうすれば」
神宮城の外れにある人気の少ない住宅街で泣きじゃくっているリリス。家族や仲間、その種族は彼女以外全員葬られ、彼女だけが取り残されたのだ。
今や親の形見であるペンダントさえ敵の手にある。
涙が溢れて止まらないリリス。地べたに体操座りになって顔を隠して泣いていた。泣く声や涙を啜る音が私達にも聞こえる。
「取り返そう。ペンダント……」
私はリリスに提案した。
「けど、そしたら殺されちゃうよ」
「大丈夫。元々、神宮城を攻め落とす予定だったし。」
そう、王の式典を狙って神宮城を攻め落とす予定を前々からしていた。
「そうだ、私達の仲間にならない?勇者を狩りにね!!」
ついでに、私はリリスを仲間に誘った。
「ありがとう。リリスには何にも……居場所も残されてないから。リリスの居場所となって有難いかも!?けど、入ってもほんとに大丈夫?」
涙声で噦りながらリリスは上目遣いで私達を見た。
「安心しろ!大丈夫だ!!」
カイルがやって来てリリスの加入を勧めた。
「ありがとう。よろしく……」
「よろしく。リリスちゃん!!」
元気よく日野が飛び出してきた。
「あれ?名前呼びなんだ?」とカルトは不思議そうに聞いた。
「だって、妹だもん!」
そうか、父はカイル、母は私、お兄ちゃんはカルト、妹はリリスってことか。なんか楽しそうだ。
だけど、今からは波乱と狂騒に充ちた勇者達との戦争だ。
「今から作戦を言うから。良く聞いてね。」
「勿論────」
「私は三日後、正式な儀式で沢山の勇者がいっぺんに集まる時があるから、私がそこをいっぺんに消す。だけど、そこに王の参加はないから、七色の勇者はいないし、他にも何名かの勇者はいると思う。本格的な作戦実行はその次の日になるわ。」
「カイルとカルトは七色の勇者の情報を集めて欲しい。」
「任せろ!」カイルの了承に
「りょ!!」カルトの了承。
「勇者達が消えてから果し状を届けて城内を混乱させるの!その果し状を書くのと見つからずに届けるのを日野とリリスにお願いしていい?」
「分かったーー!!」日野の了承に
「任せて!」リリスの了承。
「そして、本格的な作戦はその次の日に城内に突入して、残る勇者を斃してペンダントを取り返すことよ!」
着実に争いへの歯車が動いていた。
魔王対勇者まで残るは三日────────
◆
「すみません。逃しました───」
「気にすんな!正直、残るは一匹のみ、それも普通のリリスだ。お前の手柄だぜ。で、こっちの被害はどうなってる?」
「やられましたね。死亡者十八名。その内の一人にヌアゴスさんも含んでます。」
「そうか。あいつも歳だしな……」
疲弊した勇者達が道や村で休んでいる。
「俺らは奪ったが、奪われててもいたんだな」
………。…
「奴らは必ず神宮城に突っ込んでくる。リリスらにとってあのペンダントの重要性は高いからな。密かに侵入して奪いに来そうだな。」
「神宮城にですか?そうかあそこなら勇者も沢山いる。どんなにひっそりと行っても死に逝くと同然だなぁ。」
◆
三日後────
大量の勇者がごっそり消えた。
改善点などがあれば教えて下さい。お願いします。




