九、 殺す理由も分からないし、根絶やしにする理由なんかもっと分からない!!
毎日定期更新するように頑張ります。
騒がしい団体客は宿を出たので凄く静かになった。
数時間後に私達も宿を出ていく。淡い光が私達を包み込み、気分を高揚させる。いい天気だ。
私達はキャニモンターニュを出て壱宮村に向かって進んだ。そこまでの道は一本道で進めば早く着く。
途中で森の中に進んでもいいが、霧が深いし時間も食うしあまり利はなさそうなのでやめておいた。
何もなく壱宮村に着いた。静寂の森を抜け、静寂の村に来た。あまり雰囲気が変わらないように感じる。
古びた家や空き家、古巣などが立ち、廃業したと思われるぐらい寂びた鍛冶場などが見える。
小鳥の囀りが聞こえる靜かで情緒ある村だ。
私達はこの静寂を満喫していたが、その中で騒がしく忙しいトラックがこの村にやって来た。この村の静けさとは正反対の騒々しさだ。
危なかっしい運転に違和感を覚えた。
「なんだろうー?行ってみよーー!!」
「そうね。気になるわね……。行ってみようか」
行った先には勇者に襲われる魔族と一人の男。
「助けよう!」
カルトの光灯を先頭に勇者を攻撃した。私達は勇者を全て倒し、襲われていた魔族と人間を救った。
…………。……
「ありがとうございます。」とアマリリスの礼儀作法。
その礼儀作法が上品さを醸し出している。そのせいか悪い感じには見えない。
「何があったの───?」
「ここは危険だ。一旦、マイ隠れ家に行ってから話をしよう。」
事情の前に避難を余儀なくされた。彼の提案によって私達は廃れた鍛冶場へと入っていった。
「素材もあるし、まだ使えるだろ?これ……」
廃れた鍛冶場でもそこが使えなくなった訳でなく、少しだけ手を加えれば今でも鍛冶場としての役割を果たせそうだ。
「そんりゃあ、収入が出なくなったから廃業として放置してしまったんだ。ここは廃業時のそのままなんだ。んまあ、鍛冶場の有名な竜宮町が近くにあるのにここで鉄を打っても儲からないからな」
高笑いをする魔族の恩人。
「すまねぇ。俺は最近まで竜宮町で鍛冶職人してたんだ。なんかな……」
「いいんだよ!そっちに非はねぇんだから……。この町の実力不足だ。」
「お願いなんだが、この鍛冶場を貸して貰っていいか?」
「もちろんだ!」
カイルは鍛冶場を軽くいじり始めた。
鉄を溶かし、その溶鉄の塊を外気に出し金槌で打ち始めた。武器を作っている。
「その間に聞くわ……。事情って奴───」
「私達サキュバス、リリスらは人間によって全滅させられかけたの。その時にこの人が助けてくれて今に至ります。」
「まあそういうこった。何名かの優秀な勇者達が集められサキュバス、リリス掃討作戦が行われたんだ。確か何とか殲滅作戦とか言ってたな。」
宿に泊まった人達の言ってた"サキュバス、リリス殲滅作戦"ってこのことだったんだ……。
「まあ、それなりに強い勇者が滅ぼしに来てんだ。普通だったら全滅だったが、作戦を知って、前々から助けようとした。助けれたのは少数だったんだけどな」
どうして、そこまでして魔族は排除されなければならないのか?少しヤリスギな気がするのは気の所為だろうか?
「おい、太陽!!完成したぜ!最高のオーダーメイドの斧が」
カイルは手に持った斧を日野に渡した。
斧は薪割りの斧とは違って様々な工夫がされている。
持ち手は正方形型というより長方形型で丸みを帯びている。刃物の部分は少し広く大きくそして平たい。そして、滑らかな形状。横側から見ると美しい直線を描いている。
「お父さん!!これってもしかして」
「回転鉄具の要素を取り入れた斧だ。勿論、太陽も使い易いやすい風に作られているぜ!」
「やったーーー!お母さんの武器も取り入れた僕だけの武器だーー!!!」
日野は無邪気に飛び跳ねた。
それを見て私達は優しく顔が綻ぶ。
「カルト、お前はどうする?俺特製の剣を作ってやろうか?」
「いや、大丈夫っす!コレ伝説の勇者が最初に使ってたとされる剣と同じ種類!だから、使ってるって感じっすわ」
「ああ、そうか。じゃあお前らはどうする?作ろうか?」
カイルは魔族に対して聞いた。
「私はいらないです。武器じゃなく、水属性の能力霧で充分足りますので……」
アマリリスは丁寧に断った。
「それでは私はいらないです。」
他の三匹も同じく断ったが、一匹のリリスだけ強請った。
「欲しい!!飛びっきり可愛くて、けど戦闘に使える銛を!」
「ねえ!ワガママすぎない?今ある銛じゃ駄目なの?」
「気にすんな!可愛くて高性能な銛な!勿論、作るぜ」
カイルは遠慮する魔族に水を指し優しく笑った。そして、再び鉄を溶かし武器を作り始めた。
「私はそれでもいらないわ」
銛の先端が三つともハート型の突起となっている。持ちやすいように銛の取手には同じ鉄で取手に巻きつけている。渦を巻いている鉄は先端の三つに分かれる場所が尾の先となる。尾の先には少し大きな可愛いハートが付けられている。
「ありがとう!!可愛い~♪」
そのリリスは飛び跳ねるように喜んだ。
「そんなに嬉こんでくれると作ったこっちも嬉しくなるぜ」
至福の時間を過ごす───────
ただ、それがずっと続くとは限らない。
幸福が来れば絶望も来る可能性もある。絶望への入り口はいつも突然的だ。
「こんな所にいたのか。昨日の客にカルトもいるじゃねぇか。お前ら全員重罪だぜ!」
ゲイルが勝手に入り込んできた。私の裸体を勝手に覗き見た外道の人間だ。
「逃げ場はないんだよな……。出入り口は一つしかなんから。」
まさに、絶体絶命だ────。──
ゲイルは懐から小刀を二つ取り出した。小刀を上に投げて回転させ、二回転した小刀を手に取る。それを繰り返してカッコつけている。
「さて、仕事といくか」
ゲイルは音速のスピードでアマリリスの目の前に移動した。
速い────────!!!
何回か斬られるアマリリス。だが、アマリリスも負けてはいなかった。
「 Steam 」
霧をジェットのように口から発射した。それが、ゲイルを吹き飛ばす。さらに、全体的に霧がかかった。
「今です!逃げましょう!!」
私達は霧に隠れ外へと出た。
「ちっ、火属性の俺には意外と霧での複雑作業は出来ねぇんだよ」
この村にはいられない。だから、他の所に逃げるだけだ。
逃げるなら神宮城。キャニモンターニュに逃げるとさらに逃げる時に都市へと逃れる必要がある。そしたら、完全なる詰みだ。
だが、神宮城なら人間の少ない森へと逃れる可能性も出てくる。
村には何名かの勇者が待機していた。私達に気付いた勇者が突撃してくるが、それを消しながら進んで行った。
ついに、村を抜ける。その時には完全に気付かれていた。
「一番の狙いは私だと思われます。なので、私は囮として森に入って外回りから回って行きます!その一本道を通って下さい。すぐに追いかけますので……」
アマリリスは囮になるために森へと進むことを決めた。
「リリスも行くわ!銛を作って貰ったお礼もあるし」
「私も行くよ。カイル、そっちは任せていい?」
アマリリスの囮作戦に私と銛を作って貰ったリリスも同行することにした。
「勿論だ。また落ち合おう。」
私達は二つに分断して進むことになった。必ずまた生きて会おう。誰も失いたくない……
◇
勇者が追って来る。
真っ直ぐ歩けば大木に当たる。至るところに大木があり、ジグザクに動いて進まないといけない。
「ここまで来れば大丈夫でしょう」
アマリリスとリリスは白い霧を口から吐いた。霧が勇者達の視界を奪う。
その間に私達は道へと戻ために進んで行った。
「リリスの能力は水属性の能力霧なの。自分は広範囲に白い霧を出すことと毒の霧を出すことが出来るんだ。まあ毒に関しては、後遺症が出ないから霧から出られると困るけど」
勇者は撒いた。私達は道に戻るために進んだが、大木の数が減少した場所となった。そして、そこには一人の老人がいた。
「こんにちわ。ワシゃあ、勇者の仲間の賢者、いや勇者のヌアゴスじゃのう。残念だが、消えて貰おう。」
「何故ここに!?」
「先読みしてきた。残念だが、行かせはしないよ!!」
私達はこの賢者と戦って勝つしかなさそうだ。
◇
追ってくる勇者を薙ぎ払いながら進んでいく。
「残念だが、先には行かせない」
三人の男が立ち塞がる。一人は巨大な盾を持っている。
リリスが銛でその男に攻撃仕掛けた。その銛は必然的に盾へと進路を変え盾へと直撃する。
銛が盾に直撃すると、銛は勢い良く後ろに飛んでしまった。
武器が手から離れたリリスを斬る後ろに構えた勇者。攻撃しに行ったリリスは消えてしまった。
今この道に残るカイル側は、カイル、日野、カルト、サキュバス、リリスが二匹とおじさん。
突如背後から銃弾がおじさんを貫く。おじさんは一撃死で消えてしまった。
「まずいな……。前方の盾に後方の銃か。何とかしないとな」
「さあ、勝負といきましょうか────────」
フィールド森
勇者side
ヌアゴス
魔王side
月華、アマリリス、リリス
フィールド道
勇者side
ザーキ、ケアン(遠距離)、勇者×……
魔王side
カイル、日野、カルト、サキュバス、リリス、リリス




