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八、 始まる殲滅殺戮作戦

アドバイス、プレビュー、評価、などなどあれば是非お願いします。ウチの糧になりますので、改善点などがあれば是非書いて下さい。

 魔族───────

 人間に嫌われ殺される存在。

 強い魔族なら人間にも殺されないですむのだろうが、リリス達の魔族にとっては人間に怯えて暮らすしかない。



 人間と同じく属性に応じた特殊能力が使える。ただ、人間とは違う異形を持つとかそんなことぐらい。


 リリスなら人間とは違う部分は尻尾があることや羽が生えていることぐらいが目に付く異形で、他は気にならない。それでも人間に嫌われる魔族であることに変わりはない。




 どうして───人間達に殺されなきゃならないの?





 薄暗く静けな森に立ち込める霧。

 サキュバスとリリスらはこの霧を操ると言われている。そして、その霧で身を隠しているとも人間を迷わすとも。


「準備はいいか?」


 銃を手入れし始める

 銃の手入れをする隊長のケアン。両手に小刀を持ち振り回して手に馴染ませるゲイル。盾を磨くザーキ。それぞれの武器を準備(スタンバイ)する勇者達。それを穏やかに見るヌアゴス。


「もちろんさ」


「行くか……」



 彼らは霧に向かって進んで行った。



 ────。─



 人間の三分の一や四分の一程度しかない小ささ、そんな体に生えた小さな黒い翼や細長く巻いた黒い尻尾。尻尾の先端は桃色の逆ハート型突起。人間の幼い顔立ちに似ていながら何処か異形さを感じさせる。

 その魔族は《サキュバス》。



 人間の襲撃に逃げ惑い姿を消すサキュバスや人間に歯向かい消されるサキュバス。霧の中で戦闘が行われていた。



「ベティがいりゃあこの霧も何とか出来るのに、カルトがいりゃあ明るくして見やすくしてくれるのにのぅ」

「いないやつのことを嘆いても意味がないだろ、ヌアゴス。自由人に馬鹿のことなんぞ頼らずに今は俺らだけで何とかすんぞ」


 地の利は魔族にあった……

 サキュバスとの戦闘にリリスが加わる。それも戦闘に慣れたリリスが増援しているのだ。

 魔族側に有利かと思われた。



 リリスの持つ銛を盾で防ぐザーキ。ザーキを殺しにかかるサキュバスやリリスの武器は全て盾を狙うように進んでいった。


「残念だが、金(光)属性の能力()()で武器の極を自由に変えるたり強めたりすることが出来るんだ。S極のその武器にN極の盾がくっつくのは当然だろ?」


 上から横から狙おうが盾に阻まれる。背後は他の勇者が守り狙えない。意図せず盾を狙ってしまう。

 盾に直撃すると弾かれる銛。そこを後ろの勇者が狙い消されていく。


「それと触れたモノとそのモノに接するモノをN極にしているんだよな。触れてないモノをS極に……。だから盾はN極でお前らの武器はS極だった……。だが、その武器が盾に触れればN極になる。弾かれるのは至極当然だろ?」


 圧倒的な実力差と勇者のコンビネーションが無敵を醸し出し魔族を苦しめる。




 さらに霧の内部には……ゲイルが凄まじい勢いで魔族を消失させていた。

「弱ぇーなぁ。相手になんねぇよ」

 火属性の能力()()()()。体内にエンジンをかけることで一時的にパワーとスピードを上昇させることが出来る。


 素早い速さで魔族の懐へと入り潜り振り回す小刀で速やかに消失させる。その姿、まさに鬼のよう──




 そことは違うまた別の霧の中では……


 逃げ惑うサキュバスとリリス……。その魔族は急に水浸しとなる。そして、地面は水溜りだった。

 突如襲う電撃───────

 紫と白の公電が魔族の灯火を一つまた一つと消していった。


「わしゃあ、水属性の能力()()()で対象の敵を全体的に濡らしたり水溜りを作ったり出来るんよ。それにこの電撃(スタン)(ロット)とこりゃあもう勝ち目はないじゃろ」



 恐怖の電撃を(かわ)して進んでも……

 弾丸が刺さり消えてしまう……


「逃がしはしない。対象は既に包囲され逃げるとしたらこの道のみ。そこを狙えばいい。それでも逃れるとなれば我が銃で葬るだけだ。」


 やっと逃げれても銃弾の餌食になり死ぬ。ケアンの必中率はほぼ命中した。



 どこへ逃げてもどんなに抵抗してももうサキュバス、リリスは絶滅一直線。

 逃れる道は……。 " ない " ?





 突如霧の中に現れるトラック。運転席には人間が一人いて運転している。



「何だ?あのトラックは……。あいつはキャニモンターニュと壱宮村にこの作戦のことを知らせたのか?人間は殺せねぇから、トラック(こいつ)すげぇ邪魔だ」


 トラックから一人の男が顔を出した。

「何かやってんのか?」

 この作戦のことを知らないようだ。


「ああ、勇者の仕事だ。」

「そんなんか?そりゃあ知らんかったぁな」

「分かったら、危険だし邪魔だ!早く南から帰れ!!」

「すんませんなぁ、ほんと。そりゃあすぐ去るから赦してくれ」

「赦すから早よ去れ!」


 トラックは霧の中を進み帰っていった。

 ゲイルは面倒くさそうに仲間に連絡しこのことを伝えた。



「さて、再び殺戮に戻るか────」



 ゲイルは強く小刀を握った。





 魔族リリス及び下等種サキュバスのトップに君臨するモノがアマリリスだった。そして、次期トップになるのはその血統を持つリリスが成る。

 自分はその血筋を持つがトップになれない。自分には姉がいて妹である自分にはトップにはなれない。

 だからと言って姉を怨んだりしていない。平和に過ごせればそれでいい。勿論、心の平和も必要だ。


 最近は人間に狩られるせいでいつ死ぬか怯えながら生きているのが辛い。



 何故、狩られなければいけないの?




「───私達はもう……」


 普通の日常に突如襲われて死を間近に感じた。人間の襲撃。圧倒的な強さと戦略で攻めても死に、逃げても死ぬ。リリス達はもう逃げ場はない。



 一つ一つ消えていく命。こんなにも儚いものなんだと今頃気付く。もっと自由に生きたかった……



「あたしが命にかえて護ってきます。」


 逃げれもしない、進むことも出来ない。だから立ち止まって死を待つのみ。

 心の中で「いかないで……」と叫ぶけど、それは聞こえない。

 目の前で大切な家族や仲間が死んでいく。こんな時、悲しくて哀しくて涙が溢れてくるはずなのに、自分も死ぬとなると涙も声も出ない。



  何も───出来ない。




「死んたくなければ……乗れ!とやかく言う場合ないんやろ?」

 そこに現れたトラック。とそれに乗るおじさん。それが地獄から救う希望の光に見えた。


「どうせ死ぬかもしれない。だから賭けてみましょう!」


 アマリリスのその一声で、自分と姉、他に二匹のリリスと、サキュバス一匹。トラックの荷台に入り、外の景色を消した。真っ暗になると不安になるが、もしもこれで生きることが出来るのなら。


 ブゥォン───


 大きな運転音をキッカケに揺れていく。

 恐怖を胸にしまい声を押し殺した。ただただ失うことがないことを願って……





「殲滅率ほぼ完璧(100%)だ。これにて、、、」

「いや待て……」


 勇者らは外側から徐々に居所を狭めていき、今勇者達が中央に集まった。その間に逃げようとする魔族は殺されている。つまり、殲滅したのだ。だが……


「お前ら、アマリリスは殺したのか?」


 誰もいるはずのサキュバス、リリスのトップであるアマリリスを斃していないのだ。


「じゃあ、まだ残っているというのですか?だが何故?近日でもトップに動きもなかったし、動いていないのは確実なのに」

「一つだけ心当たりがある───」

「何っ?」

「トラックだ……。人間が邪魔をした。まっ、一応そのトラックを追ったそこそこ強い勇者が何名かいるし何とかなりそうだな」


「取り敢えず、そのトラックが向かったとされる壱宮村に向かいましょう!!」





 この作戦はキャニモンターニュと壱宮村の間にある道から逸れた森の中で行われた。

 トラックとそれを追う勇者は今壱宮村にいる。



「おい、降りろ……。一先ずは安心だろ。消されている存在なんだからな……」


 運転手は荷台の扉を開け魔族を外に出した。

「ありがとうございました……」

「流石知能ある魔族だ。礼儀作法も出来るとは驚きだ。だがそれより早く逃げろ!勇者が来るかもしんねぇ」


 運転手の男は早く逃がすように急かした。

 魔族はその通りに森に身を隠そうとした時、勇者(かれら)が現れた。


「やっぱり、隠していやがったか。お前、魔族を庇った罪で死刑な。それと、魔族に生きる権利なんかねぇからな」


 何名かの勇者が挟み込み、運転手と魔族らはトラックへと追い込まれた。

 背後はトラック。それ以外の方向には勇者。



  詰み───────



 自分はもう死ぬのだと……。諦めた。もう無理だ。怖くて瞼を閉じた。




 眩い光が包み込む。



 勇者の能力だろうか?強く目を瞑ったが何にも起きなかったので、目を開けてみたら、そこには……


 圧倒的な力で勇者を()じ伏せる四人の姿。力強そうな男性に若い男の人、腕白な子ども、何処か可愛らしい女性。


 いつしか勇者は消えていた。



「勇者も酷いことするよね。まっ、私達も酷いことをしてるけど……」


 誰だろう。命の恩人に誰なのか聞いてみた。





「私達は──魔王──(達)よ!!!」

今回は全く主人公’sが出てこなかった。

次回は勇者メンバー対魔王(主人公)達。もうすぐ仲間集めの旅(其ノ壱)も終わり次章へと駒が進む!?

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