そうだ、食べに行こう!
俺が知り得る限り、魔女っていう生き物はかなりの美食家だ。
まぁ魔女ってのはかなり長生きするからな。やっぱり美味いもんでも食わないと退屈なのかもしれない。
だから、
「ねぇ、サールちゃん。何か美味しいもの食べに行かない?」
なんて言われたら、一体どんな美味いもん食わしてくれんのかと、よだれもだらだらよ。
ただ、彼女らはとにかく味さえ抜群に良ければ見た目がどうでも構わないわけで、イクウィップスオオウミウシの臓物やら、まだ半分生きてるデンゴロスジャンボザルの脳なんていうのも、美味いと聞けば何の抵抗もなくぺろりと食べてしまう。
だから、普通なら『NO!』なんだろう。でも俺は一も二もなく『OK!』だ。
だって俺は彼女のことが大好きだし、彼女の方でも俺はなくてはならない存在なのだ。
だからこの場合の、
「食べに行かない?」は
「食べに行きたいから連れてって」なのである。
これはこの世の美味しいもののすべてを食べ尽くさんとする若い魔女オリヴィエ・ファ・ユランティ・ヨランカ・グズムンラナガン・ノーヴァ・レーニヒ……(以下略)と、この俺、サルメロ=サルバルの食道楽旅行記である。
それでは、ゆるりと。いただきます。……じゃなかった、行ってきます。