No. 02 ショタから始まる半陰陽
第二話です。これも半日で書き上げたので、読みにくい物となってるかもしれませんが、次話を書き上げる前に読み返して修正していきますのでご了承下さいませ。
※そういえば、お知らせするのを忘れてたことがありました。この作品はしばらくの間、毎日0時に更新していく予定です。
明希ちゃんのカミングアウトから約三ヶ月が経ったある日のこと。私のスマートフォンに、明希ちゃんからのメッセージが届いた。
『晴香さんにお願いがあるんだけど。実は、大学卒業したら上京して服飾系の専門学校に通おうと思ってて、それで来週そっちで住む所と仕事を探したいんですよ。出来れば一週間ほど晴香さんの所に泊めてもらえませんでしょうか?』
そういえば、明希ちゃんは服飾関係のデザインの仕事がしたいとか言ってたのを思い出した私は、特に問題は無いだろうと考え明希ちゃんに了承することを伝えて、その後は冬のイベントの話で盛り上がった。
そして次の週末、上京してくる明希ちゃんを迎えるために、私は最寄りの駅で待ち合わせをすることになったのであるが…この時、再び私は明希ちゃんの言動に衝撃を受けることになる。
明希ちゃんからのメッセージがスマホに届き、間もなく駅に電車が到着すると、改札口には人が溢れ始める。恐らくこの電車に明希ちゃんが乗っていたのだろうと考えた私は、向かってくる人混みの中に彼女の姿がないかと視線を巡らせる。
「あれ?この電車じゃないのかな?」
人混みの中に彼女の姿を確認できなかった私は、スマホのアプリを開いて明希ちゃんにメッセージを送ってみた。
『明希ちゃん着いた?改札口に居るから着いたら教えてね』
メッセージを送信するとすぐに既読のマークが付き、明希ちゃんからのメッセージが私のスマホに受信される。
『着きましたよ。晴香さんの目の前に居ます』
手元のスマホから視線を上げて明希ちゃんの姿を探してみるが、彼女の姿が何処にも見当たらない。首を傾げた私が再びメッセージを送ろうとスマホに視線を落とした瞬間、目の前に立つ人物に話しかけられた。
「ちょっと晴香さん、無視しないで下さいよ!さっきからずっと目の前に居るのに、知らんぷりなんてあんまりです!」
顔を上げた私の視線の先には、私よりも背の低い童顔のショタっ気たっぷりな男の子が立っていた。
「晴香さん、久しぶり!いやぁ、やっぱ東京は人が多いですねぇ。それに、ごちゃごちゃしてて迷子になりそう!」
「えっ!?あ、明希ちゃんなの?」
目の前に立つ人物はどう見ても男の子にしか見えない。
肩口まで切り揃えられた髪を後ろに縛り、化粧っ気の全く無いその素っぴんの顔は幼さの残る少年のようである。
服装は水色ストライプのシャツに紺のネクタイを絞め、ブラウンのジャケットに黒のスリムなパンツスタイルで、全身が男物のコーデでまとめられている。
そして何よりも、目の前の人物を明希ちゃんだと認識出来なかった一番の理由は…
「ねえ、明希ちゃん!おっぱいはどこにいったの?あの、BカップからCカップの間くらいの、丁度良い感じのおっぱいは!?私、明希ちゃんの形の良さそうなおっぱい大好きだったのに!」
「ちょっ、晴香さん!?こんな人の多い所で何を言ってるんですか!おっぱいおっぱい連呼しないで下さいよ!?」
「だって、私のおっぱいが…」
「なに言ってんですか!?私のおっぱいは私の物です!それに、おっぱいなら晴香さんの方が大きいでしょうに、まったく!」
「明希ちゃんのおっぱいは、私の理想なの!」
「だから、やめて下さいってば!晴香さんのおっぱいの方が、世の男達の理想なんですよ!私の小ぶりなおっぱいよりも、ドーンと存在感を放つ晴香さんのおっぱいの方が、ベスト・オブ・ザ・おっぱいなんですって!」
「あの、明希ちゃん?わかったから、周りをよく見て。ちょっと声が大きいよ?」
明希ちゃんが周囲をぐるりと見渡すと、私達を遠巻きにする人混みの輪がいつの間にか出来ている。
ピシリと急に石化したかのように、固まってしまった明希ちゃんを小脇に抱えた私は、疾風の如く走り去るのであった。
「だからですね、半陰陽だと判明したことで私は考えたんですよ。男性ホルモンが多い時の私って、男の子の格好したらどうなるのかな?って。そしたら意外と似合ってて、晴香さん好みのショタになったから是非とも披露しなきゃ!って思った訳なんです」
駅の改札口から逃亡した私達は、脇目もふらず一目散に私の住むマンションへと逃げ込んだ。一息ついて落ち着いた後、明希ちゃんにめちゃくちゃ怒られたのち、現在はリビングで向かい合っている。
「確かに見事なショタっぷりだけど、その胸はどうなってるの?」
「あぁ、これは矯正下着で潰してるだけです。インターネットで半陰陽のこと調べてたら、性同一性障害の人が愛用している下着の広告を見つけたんですよ。それで思わず通販で買っちゃいました。ちょっと見てみます?」
そう言いながら上着のボタンを外し始めた明希ちゃんの手を、私は慌てて掴んで制止した。
「わ、わかったから!その格好でいきなり脱ぎ始めないで!なんか、凄く背徳的な感じがするから!」
動きを止められた明希ちゃんは、一瞬よからぬ事を考える悪の首領みたいな顔をした後、瞳を潤ませながら弱々しい声でこう言った。
「いや、や、やめてお姉ちゃん。何でもするから、痛くしないで…」
「ちょっ、マジでやめて!今の明希ちゃんマジでヤバいんだからね!?」
いたずらが成功した明希ちゃんは、少年のようなその顔を崩してケタケタと笑い声を上げている。本当に凄いショタっぷりであると関心してしまう。
「あはははははっ!はぁ、ごめんなさい晴香さん、こんなに効き目があるとは思わなくて」
「ホントやめてよね!さっきの明希ちゃん、私に対して『こうかはばつぐんだ!』って感じだったわよ」
「『年上のお姉さん属性』の弱点は、やっぱり『ショタ属性』だったんですね。でも『ショタ属性』の弱点も『年上のお姉さん属性』じゃないのかな?晴香さんはどう思います?」
「そんなの、どうでもいいわよ!ねえ、ポケ〇ンの話はもういいから、明希ちゃんいい加減着替えてくれない?その格好の明希ちゃん見てると落ち着かないのよ」
そう言って、明希ちゃんが着替えやすいように部屋の外に出ようと立ち上った私に対して、明希ちゃんは申し訳なさそうな声で返してくる。
「えーっと晴香さんあのですね、さっきも言ったように今の私は男性ホルモンが多い時期なんですよ。それで、この時期の私は男の子っぽい雰囲気になるのは話しましたよね?」
「ええ、それがどうしたの?」
「それが、その…に、似合わないんですよ」
「似合わないって何が?」
「お、男の子の時期の私は、その、女の子の格好すると、女装した男の子な感じになるんです。男の娘っぽくなるならまだマシなんでしょうけど、どう見てもオカマっぽくなるから見苦しいと言うかなんと言うか…」
「…マジで?」
「マジです。マジ卍です」
「マジ卍かぁ…でもさ、明希ちゃんの思い込みって可能性もあるからさ、ちょっとだけ私に見せてみない?」
そう言いながらにじり寄る私に対して、座ったままの姿勢で後ろに下がる明希ちゃん。
「いやいや、今日は女の子っぽい服は一着も持ってきてないですから無理ですよ?」
「大丈夫、私の服を貸してあげるから」
明希ちゃんの進行方向に回り込み逃げ道を塞ぐ。
「は、晴香さんと私じゃサイズが違うじゃないですか。晴香さん身長高いし、胸だって大きいし」
「大丈夫、コスプレ用の小さめの衣装があるのよ」
「いやいや、本当に無理ですってば!や、やめてお姉ちゃん!痛くしないでえ!」
「それはもう、通用しないから。さあ、お着替えしましょうねぇ♪明希ちゃんはどんな男の娘になるのかなー♪」
「や、やめて晴香さん!アーーーーーッ!」
その日、都内から少し離れた郊外にあるマンションの一室に、一人の男の娘が、響き渡る声と共に誕生するのであった。
…つづく
リアルの明希ちゃんは、ホントにショタっ気があります。これを言うと怒られてしまうのですが、良い物は良いだと胸を張って言いたい今日この頃。
二話目をアップする前になんとなく小説情報を見たのですが、こんな駄文な物語にもPVがちゃんと上がるのに驚きました。
わずかにでも読んで頂ける方達がいると思うと、嬉しいものですね。これを励みにして、今後も頑張っていきたいと思います。