No. 08 ショタっ子もどきは暴走するようです
色々と諸事情があり、更新が遅れました。
不定期すぎてごめんなさい。
これまでのサブタイトルが意味不明すぎたので、全て変更しました。
「そうかぁ、晴香にやっと彼氏が出来たんだねぇ」
明希ちゃんのとんでもない嘘を真に受け、真珠は感慨深そうな様子で缶チューハイをぐびぐびと飲み干して私の方に厭らしい視線を向けてくる。
真珠との付き合いは社会人になってからなので、そんなに永くはないのだけれど、お互いに気が合う同僚というか、何でも話せる友人でるもある。それだからか、私に彼氏が出来たと聞いて心から喜んでいるようだった。
真珠に本当の事を話したいど、ここで私が違うと言えば明希ちゃんの身体のことを話さなければ為らなくなりそうだし、それは明希ちゃんの了解が無いうちに私が勝手に暴露していいような事じゃない。
どうすれば良いのかと思案する私を余所に、明希ちゃん達の話は盛り上がっていく。
「佐藤さんってば、だからこの前の合コン乗り気じゃなかったんですね!?もぅ、ラブラブじゃないですか」
祐実は盛大な勘違いをしながら、前月行った取引先の男性数人との食事会の話をし始める。
えっ!?あれ合コンだったの?
あれは確か、都内の商社に勤めるエリート然とした、いけ好かない男達との面白くも何とも無い食事会だった。
矢鱈と胸ばかり見てくる自称幹部候補生のお坊っちゃんや、興味のないアウトドア趣味を押し付けてくる筋肉男。横文字の単語を会話の中に無理矢理入れてくる意識高い系を気取ったキザ男や、全く会話してなかった筈なのに二人で抜け出そうと提案してくるチャラ男とか、翌日のイベントで頭がいっぱいだったから適当なところで切り上げて帰った記憶しかないんだけど。
「ハルちゃん、若い子はすぐ飽きられちゃうわよ?ちゃんと先の事とかはなしあってるの?大丈夫?」
朱美さんは朱美さんで、何やら明後日の方向に心配してくる。
そういえば朱美さんはバツイチだったっけ?
以前、二人で朝まで飲み明かした時に聞いた話だけど、朱美さんには学生時代から付き合って社会人になると同時に結婚し、三年という短い結婚生活の末に別れた元旦那がいるという。
離婚した理由などは聞きそびれてしまったが、私と明希ちゃんの様子を見て何か思い出してしまったのだろうか?
「いやぁ、晴香さんとはラブラブですからご心配なく!」
明希ちゃんは調子に乗って有ること無いこと、というか無いことばかり話し始める。こっちは色々と気を使っているというのに。
「明希ちゃん、ちょっといいかな!?」
私は誤解したままの三人を置いて明希ちゃんを廊下まで引っ張っていった。ここは確認だけでもしておかないと。
「ちょっと晴香さんってば、まだみんな居るのに大胆なんだから!」
明希ちゃんは体をクネクネとしながら頬を染める。
この子は余計にややこしくしようとしてないか?
私は廊下とリビングを繋ぐ扉を閉め、三人に聞こえないように声を落として明希ちゃんに詰め寄った。
「ちょっと、ふざけないで明希ちゃん!あのね、明希ちゃんの身体のこと三人は知らないのよ?それに今の明希ちゃん男の子っぽくなってるから、みんな本気にしちゃってるじゃない!」
憤る私に何処吹く風といった様子で笑顔を見せる明希ちゃんは、悪戯が成功した小学生男子といった雰囲気である。
このショタっ子、本当ダメダメだわ。
「まあまあ、落ち着いて下さい晴香さん。どうせ同僚さん達とはもう会わないだろうし、私が帰った後にでも『ドッキリでした!』とか言って、弟さんと私のツーショット写真でも見せれば大丈夫ですよ」
そんなんで本当に大丈夫だろうか?と心配する私に、明希ちゃんはニタリと嫌な笑みを浮かべて続ける。
「私は晴香さんと本当に付き合うのも良いかと思うんですけど。ねぇどうです、晴香さん?もう付き合っちゃいます?」
私に体を寄せながらアホな提案をしてくる明希ちゃん。
「あのねぇ、いくら明希ちゃんが男の子っぽくなったからって、付き合うとか無いからね!?それに明希ちゃんは弟の元恋人だし、私の友達でもあるんだから」
やんわりと拒絶したつもりの私に、明希ちゃんは意外そうな顔で私にこう尋ねてきた。
「あれ?女の子同士だからとか言わないんですか?」
明希ちゃんに言われて私は初めて気が付いた。元々明希ちゃんと私は女の子同士の友達で、その明希ちゃんは弟の元カノだったのだ。
ずっと女の子として付き合いのあった明希ちゃんのことを、私はいつの間にか男の子として見ているのだ。
「晴香さん?もしかして、私のこと男の子だって認識してません?それとも女の子同士もアリだと思ってるとか?」
「いやいや!?確かにこの前ヒカルさんと知り合ってから、女の子同士の恋愛を否定出来なくなっちゃったし、明希ちゃんのこと最近はショタっ子みたいに思ってたけど…私と明希ちゃんが!?そんなの考えたことも無いからね!?」
あたふたしながら必死に否定する私に、明希ちゃんは更にとんでもない事を言い出す。
「だったら試してみませんか?」
「た、試すっていったい何を!?」
後退る私の胸にそっと手をやり、明希ちゃんは頬を染めながら見上げてくる。ナニコレ?ちょっとヤバくないか?
「何って、ナニですよ?セ○クスです」
あ、言い切っちゃったよこのショタっ子もどき。
「いやいやいや!?ちょっと待って明希ちゃん!?あっ、痛っ!」
何とか明希ちゃんから距離を取ろうとして焦った私は、後ろにやった足を縺れさせてその場に倒れ込んでしまう。
慌てて私を支えようとした明希ちゃんも一緒に巻き込み、ドスンと大きな音を立てて床に尻餅を着いた私の上に、明希ちゃんが倒れ込んでくる。
「晴香!今すごい音がしたけど大丈夫!?」
「佐藤さん、何があったんですか!?」
「ハルちゃん!私達のせいで揉めてるの!?」
最悪のタイミングで廊下に雪崩れ込んで来た三人の目には、床の上で重なり合う私と明希ちゃんの姿が映り込む。
あーあっ、これ駄目なパターンじゃない?
「ちょっと晴香!?いくらなんでもアタシ達が居る時に、そんな所で!?」
「佐藤さん、我慢出来なかったんですね?」
「あなた達、駄目よ!ここはそっと帰るのがマナーでしょ?ハルちゃん私達帰るから、どうぞごゆっくり」
朱美さんの言葉に他の二人もそそくさと帰り支度を始める。
「ま、待って!誤解だから!真珠も祐実も朱美さんも、そんな暖かい目で私を見ないで!?」
「晴香、アタシら友達でしょ?言わなくても判ってるからさ。明希くん、晴香を大事にしてやってね」
「佐藤さん、我慢しちゃ駄目です。私達は帰りますから、後は仲良くして下さいね?」
「ハルちゃん、避妊はちゃんとするんだよ?」
誤解を解こうとする私の言葉に聞く耳を持たずに、三人は穏やかな顔で祝福の言葉を残して部屋から出ていくのであった。
「もぅ、何なのこれ…」
ガクリと肩を落とす私に、明希ちゃんは笑顔で告げる。
「皆さん帰ったことだし、ヤりましょうか晴香さん!」
「ヤらないからね!?」
笑顔の明希ちゃんに拳骨をひとつ落として、私はリビングに残された料理の片付けに取り掛かる。
その横で明希ちゃんも涙目になりながら片付けを手伝うのだったが、その顔に諦めた様子は微塵も感じられなかったので、私は自分の部屋に鍵を掛けて寝ることにするのであった。
あれ?これ明日から大丈夫かな?
うん。大丈夫じゃないかも…
…つづく
この本編八話ですが、最初に書いた物がR18になりそうだったので全部書き直すことになっちゃいまして、八話を書き直したら九話以降が繋がらなくなったので、下書き全て書き直すことに。
無計画に始動した連載だったもんで、読者の皆様には、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
今後も頑張って更新していきますので、暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。




