3.真夜中の来訪者…女神様?どうでもいいけど元に戻せコノヤロー
お姫様しか寝れないようなふわっふわの大きなベットに横になりさぁ寝ようと目を閉じた時だった。
―ついてきて…―
声が聞こえて目を開けた。
声の主を探して当たりを見渡すと体が透けた神々しいくらいに綺麗な女の人が立っていた
「誰?」
―私?私はこの世界の女神アリアティナ―
「女神様?私をこんな体力のない体にした人?戻してください。」
―あれ?怒ってる?そんなに嫌だった?ごめんなさい悪気はなかったの…面白そうだったからつい出来心で…ね?―
「出来心って…そりゃ今までの苦労を勝手に無くされたら怒りますよ。運動嫌いの私が歌のためにどれだけ走り込みさせらr…ゴホンッ…したと思ってるんですか。元に戻してください。ついでにお詫びでちょっと良くして返してください。」
言いたかったことを言い終わって少しスッキリした。
女神様の方を見ると…涙目だった。
―ご、ごめんなさいね…ちゃんと良くして返してあげるから許して、私あなたの歌が好きだったの―
「そうですか…ありがとうございます。」
女神様に褒められるとは、真面目にレッスン受けててよかった。
―じゃあ、元に戻して上げるからついてきて。―
「はい?」
半信半疑でついて行くとそこは城すぐ横にみえていた海辺の砂浜だった。
「海?私のよく行ってた砂浜みたい」
―ここは、海みたいだけど湖よ。大きいからここからじゃ海みたいに見えるけど―
「これで湖?大きいのね…静かでいい所ですね」
―ここでいつもみたいに歌ってちょうだいそしたら元に戻れるわ―
「えっ、でもこの体じゃああんまり上手くないですよ?」
―大丈夫よ。あと、戻ったあとの洋服はちゃんと私が用意しておいたわ。洋服破けて裸になったりしないから、安心して歌ってね。―
「分かりました。」
―じゃあね―
「えっ、ちょっ、行っちゃった…。
夜にこんな所で1人で歌って攫われたりしないのかな。まあ女神様がついてこいって言ってたんだし大丈夫かな。」
さて、何を歌おう。
よし、さっき女神様にもあったしアメイジンググレースにしよう。
神への感謝を歌った歌。
前にコンクールで歌ったのでよく覚えている歌だ。
息を吸って深呼吸する。
「あー、あー、あー、うーん、やっぱりあんまり声出ないな…女神様聞いてますかー?下手でもいいって言ったのは女神様ですからね!」
念の為に女神様に一言文句を言ってから、大きく息を吸い、歌い始める。
歌い始めると、元の姿に戻り始めたのか目線が高くなっていく。
髪が伸び、身体が元の姿に戻っていく。
後ろから、誰が息を呑む音が聞こえた気がした。
姿が戻ったおかげで声も戻った。
前よりも声の伸びがいい気がする。
歌うのが楽しくなってきた。
私は、女神様に招待された観客が1人脇で見ているとはつゆ知らずアメージンググレースを歌いきったのだった。