“マリゼリー”
それから更に水辺を散策していると水際に小さな草があって、そこに四つほど丸い果実がついているものが見える。
変わった草だなと思って僕がみているとそこでマリーが、
「“マリゼリー”です。これも美味しいですよ」
という事で食べてみることにした。
果実は丸い形をしたあずき色の球状で、手毬のような鮮やかな色がいくつもついている。
その周りには透明なゼリー状のものが包んでいて、和菓子の“水まんじゅう”の一口サイズ版、のような見た目だ。
一つ口にすると、透明なゼリーの部分に、
「ハッカのような香りがする。このゼリーの部分」
「未熟な果実は、そういったゼリーの部分に香りがあります」
とマリーの説明を聞きながらかじってみると、中の球状の物は“羊羹”に味が似ていて、しかもその“羊羹”にはドライフルーツのようなものが入っている。
意外に美味しいと思って、別の物を食べてみると、そちらにはハッカの香りはせず、代わりに胡桃のようなナッツが入っていた。
「僕の世界にある“羊羹”に、ナッツやドライフルーツ、後は香りがついているように感じます。変わっていておいしいかも」
「なるほど、変わっているのですか」
とマリーが言ったのだった。




