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“七色のパイ”
そうして歩いていくと今度は普通にパイを売っているようなお店に遭遇する。
だがよく見ると、後ろの方で蔓から大きな丸いパイを切り取っているらしい。
異世界の食べ物はやはり何かがおかしい、そう僕が思っていると、気づけばマリーがそれを購入していて、
「“七色のパイ”です。中にいくつもの果実が入って一路鳥がきれいなんです」
「真ん中にイチゴがあって、その周りを囲むように全部で七つのフルーツが……こういった物は僕の世界でもありそう……」
そう呟きながら食べると僕は、
「カスタードクリームが入っている。そしてフルーツもいくつもゴロゴロと……でもこれ、木になっているんだよね?」
「そうですが、それがどうかしましたか?」
「不思議だなと思って」
「? 私達の世界ではこれが当たり前なのです」
「うん、そうだよね……」
僕はそう答えながら、パイを完食したのだった。




