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“シャボン玉ゼリー”
そうしてしばらく歩いていくとシャボン玉のようなものが見えてくる。
見ると井戸のような場所からふわふわと浮いていて、子供たちがそれを掴んで食べている。
「“シャボン玉ゼリー”の井戸ですね。そういえばそんなものもありましたね」
「どんなものなのですか?」
「薄く膨らまされたゼリーで、見かけもいいのですが……すぐに消えてしまうのが難点です。でも、美味しいですよ? 無料で食べられるおやつなので行ってみましょう」
マリーに言われて僕たちもその井戸に行き、その“シャボン玉ゼリー”を掴むけれど、
「割れちゃった」
「優しくつかまないといけないのです。ほら、こうやってそっと手を添えるように」
「う、うん」
マリーがシャボン玉を包むようにつかむ。
なので僕も同じようにして掴んでみると、どうにか手に入る。
「取れた! ぱくっ」
そこで僕がかぶりつくと、それははじけてしまう。
でも味はというと、
「麦芽水あめで味付けされたゼリーのような優しい味がします。甘くて美味しい」
「……薄く甘みがついている所が、私も結構好きなんです」
そうマリーが僕に返したのだった。




