演技!?それとも仲間割れ?
ゼロは目を細め近づいてくる警備隊を見つめながら溜め息をついた。
「ソノラさーん。警備隊きてますけど?」
ゼロのその言葉を聞きソノラは慌てて片手を横に動かすと、全ての画面がその場から消えた。
ソノラは「バレちゃったなか?」とゼロに言う。
ゼロはさぁという意味を込めて肩をすくめ両手を上げた。
「逃げた方がいいかな。やっぱり。でも全て抜かりなくシステムに入ったんだけどなぁ…」
「そもそもハッキングが犯罪ですよソノラ。…にしても警備隊の動きが早すぎますね。あの人数で此処に来ること事態異常ですし。ソノラ、君つけられてた?」
「え!分かんないよ!?普通にいつもと変わらないと思うけど…ゼロ君かもよ!最近家賃払ってなかったとか、税金納めて無かったとか!」
とソノラはゼロに言い返す。
ゼロは突然このグリーンハートにやってきた。12~3歳くらの見た目の少年。身寄りもない彼はお金もなく洋服もボロボロで自分の名前と歳だけは確りと覚えていたが、それまでの記憶がないと言う。
そんな彼にソノラの両親は手を差し伸べた。
ソノラは弟が出来たと喜んでいたが、実際はソノラより一つ歳上な事が判明するのに時間は掛からなかった。そんな事情もあり幼馴染みの彼らではなるが、一年ソノラ家で過ごしたゼロは何時のまにやら自ら部屋を借り暮らし初めていた。
そんな他愛もない会話を交わしながらゼロは考えていた。
ソノラのハッキングが発覚したとしても、警備隊の人数は多過ぎるのだ。ゼロとソノラを囲むように近付いてきている。警備隊と距離があるこの状態で逃げたとしても効率が悪い、変に動けば分が悪くなるのは自分たちだ。
「ねぇソノラ。今から僕が言う事に頷かずに聞いて、実行宜しく。」
ゼロはそう言うと徐々に近付いてくる警備隊を見ながらソノラに伝えた。ソノラはゼロに言われたように頷かず表情も変えずに答えた。
「私がいなくても大丈夫?」
ゼロは苦笑しながら言った。
「多分、僕は大丈夫だと思うよ。相手は知りませんけど。」
ゼロはニッコリとソノラに答え、其を聞いたソノラが溜め息をついた時だった。警備隊が彼らを囲んだ。
「我々はグリーンハート国第二部警備隊の者である!君たちはゼロとソノラ・フォンで間違えないですね。」
黒軍服に黒のコートをきた腰辺りまである赤い髪を軽く束ねた女性がゼロ達の前に立ち訪ねる。
「間違え無いですが…何のご用でしょうか?こう見えても僕ちゃんと税金納めてますよ。」
とヘラっと笑ながらゼロは答えた。
「貴様!我々を馬鹿にしているのか!」
女性の隣にいた男の警備隊員が叫んだ。
「馬鹿にするにも何も、僕は特に何もしてないですし~。どちらかと言えばソノラの方がねぇ。」
とゼロがソノラに話を降る。
「何!ゼロ君!私の事売るき!」
と二人は掴み合いの喧嘩を始めるのだった。