ゼロと言う少年
「どうしたんですか?中佐?」
ゼロは微笑みながらリズの前に行く。
「すみません。とても良い拳銃だったのに壊してしまって。僕、苦手なんですよ魔術のコントロール。」
ハハっと笑ながらゼロはリズに壊れて使い物にならない拳銃を渡した。リズは銃口をゼロに向け撃とうとするが指が動かない。
「どうしたんですか中佐?撃たないんですか?」
リズは後ろに下がろうとするが、倉庫内から火の手が上がり始めそれ以上下がることが出ないでいた。
「僕の魔術にあたちゃいましたかね?どうも、近くの相手の脳内信号に微量に影響が出ちゃうみたいで。困り者ですよね~。」
とゼロは張り付いた笑顔のままリズに言う。建物が燃え始めているせいなのか、はたまたゼロの魔術の影響なのかリズはその場に座り込んだ。大丈夫ですか?といいながらゼロもリズの前に座り込む。
「とても苦しそうですね。リズ中佐。僕正直に言いますと、貴女が死のうがどうでも良いんですよ。自分含め男でも女でも赤ん坊でも子供でも、他人に興味が無いので。」
ゼロは笑ながら言った。
「最低だな君わ。」
「僕もそう思います。」
ゼロはリズの言葉に直ぐに答えた。
「……」
「助かりたいですか?リズ中佐?」
薄れそうな意識のなかでリゼは頷いた。
「分かりました。助けてあげます。ただし、今後一切ソノラ・フォン一家に変なことをしないで下さい。約束して頂けますか?」
「わかった。約束しよう。」
リゼがそう言うとゼロは徐にズボンのポケットからライターを取り出した。それは、リズに追われているときに拾ったライターだった。ゼロはライターを付けただ一言呟いた。
「集まれ」
すると至るところから燃え盛っていた炎がライターへと入っていく。
「約束、忘れないで下さいね。もし何かあったらこの国焼き付くしますから。」
暗い暗い目でゼロはリズにいった。リズただ頷くしか出来なかった。
「あ!そうた、中佐!一本くれません?」
「何をだ?」
リズは眉間に皺を寄せ答えた。
「タバコです。ソノラには内密にしてくださいね!五月蝿いので。」
ケラケラと年相応な顔付きでゼロは笑いリズを立たせた。リゼはしぶしぶ一本ゼロに渡す。
「子供が吸うものでは無いんだぞ。」
「女性も同じですよ。」
そうゼロはいいタバコに火を付け吸い始める。
やっぱり美味しく無いですねっと言いながら。
いったいこの少年・ゼロとは何者だろうかとリゼは思った。
「さてと、ソノラの居るところに案内を宜しくお願いします。」
タバコを吹かせながらゼロはリズにいった。その姿は15歳の少年が出すような雰囲気ではなかった。