小さな悪魔
「意外と遅かったですね。中佐殿。」
ゼロは顔を上げリズを見た。
「ついつい楽しんでしまってね。」
銃をかざしながらリズは答えた。
「ゼロ、私と来て貰おうか。君に否定件は無い。君のお友達もこちら側にいる。」
「ソノラが貴女方の所にいる根拠は?僕こう見えて疑り深いんですよ。」
拳銃を向けられているいも関わらずゼロはリズの目を見ながら冷静に答えた。
肝が据わるガキだなっとリズは思った。
「いいだろ。少し待て。」
コートの内側からインカムの様なものを出す。リズは音量を上げるとガーという雑音が続くと人の声が聞こえてきた。
「…こ…こ…こちら第二部隊!中佐オートーを願います!」
「こちら、リズ。ゼロを見つけた。そこにいるソノラ・フォンを出せ。」
「畏まりました。」
無言でゼロはリズを見つめる。リズの銃口はゼロから外れる事は無い。
「もしもーし。ゼロ君?ごめんね掴まちゃった。」
意外と元気なソノラの声が聞こえた事に、少しほっとしたゼロ。
「怪我とか無いですかソノラ?」
「ん~。ちょっと擦りむいたぐらい。抜かりなく大丈夫だよ!…って拳銃突き付けないでくれる!おじさん!」
「誰がおじさんだ!抜かり無いとはどういう事だ!」
「言葉のあやでしょう!!」
とガヤガヤと騒がしくなりプツリと音が切れた。
「電波が悪いようだね。さてと、ソノラ君が此方にいるのは分かって貰えたかな?」
「それは勿論。ですが、ずいぶんと手荒な感じですね中佐殿。まるで、どこぞのヤクザみたいですよ?」
するとパンという拳銃の音が倉庫内に響いた。
「余り調子に乗らないで欲しいな?ゼロ君。私は温厚じゃないんだよ。」
リズはゼロの右頬ギリギリに発砲した。撃った弾はゼロの後ろに当たり白い粉がサラサラと流れていた。
「そう、見たいですね。子供相手に発砲とか冗談でもキツイですよ。」
とゼロは頬を掠めて血が出た右頬を袖で拭き取った。
「ソノラも捕まってしまった事ですし、この拳銃返しますね。」
ゼロはリズに擦った拳銃を渡そうとする。リズは眉間に皺を寄せながら拳銃を凝視する。
「嫌だなぁ中佐殿。なにも仕掛けなんてしてませんよ!僕こう見えて魔術苦手なんです。」
ゼロは微笑みながらリズに言った。
「でも、良い拳銃ですね。魔術式も銃の手入れも素晴らしいです!ただ、僕が使うには難しそうですね。」
そうゼロが言った瞬間リゼはゼロから距離をとった。
ゼロは拳銃を構え発砲したのだ。凄まじい爆発がし倉庫が燃えた。リズにはいったい何が起こったのか解らなかった。ただ、ニコニコと笑ながらゼロが近づいてくる。まるで悪魔の様な少年にリゼは困惑した。