鬼ごっこの終演
パリっとガラスを踏む音が聞こえてきた。
リズが廃墟に入ってきたようだ。
ゼロは息を潜めその時を待つ。
「しかしまた。逃げ場の無い所に逃げ込んだね。ゼロ君。…何か策でもあるのかな?」
リズは笑ながら、建物内に隠れて居るであろうゼロに問いかける。
「いちよね。君を殺さないで、生け捕りにしろと言うのが上からのお達しでね。私は君に危害を加えるきはないよ?多少の怪我は有るかも知れないが。」
リズは拳銃のストッパーを外しながらゼロの気配を探す。パリパリと足元のガラスが割れる音が、無駄に大きくゼロには聞こえてくる気がした。
「そうそう、君のお友達のソノラ君も中々に面白い子だね。そちらはもう、私達の方で確保させてもらったよ。……少し殺気だったかな?大丈夫、ソノラ君は女の子だから、かすり傷すらつけてないよ。まぁ報告だけだから実際は分からないけどね。」
ハハっと笑ながらゼロを煽るようにリズは言う。
リズは迷うことなくゼロがいる倉庫へと近づいてくる。
「さてさて、何処に入るのかな?鬼ごっこの次は隠れんぼかい?子供はお遊びが好きだね!」
リズの履くヒールの音とガラスの割れる音が近く。ゼロは静にリズがくるのを待つ。
コツン・パリ・コツン・パリ
「……みーつけた。」
リズは銃をゼロにかざしながら言った。