鬼ごっこ2
裏路地へと入ったゼロであたが、さて何処に行こうか?っと悩んでいた。
狭く複雑に要り組む裏路地は格好の逃げ道では有るのだが、下手に道を間違えると袋小路でゲーム終了。付かず離れずの距離を保つて付いてくるリズにゼロは若干顔がひきつる。チラリと後ろを振り向くとリズがニヤリと笑った。
「あの人、眼が獣ですよ。獣。僕は初めて狩られる側の気持ちが解った気がする。」
と思いながらゼロは走りながら両腕をさすった。
「ゼロ君聞こえているよ?すまないねぇ。子供と遊ぶのは初めてだから。」
どうやら、ゼロの心の声は綺麗に口から出ていた様だった。
「こんな取っ手食われそうな、お遊びしか出来ないなら子供と仲良く出来ませんよ!中佐殿!」
ゼロは追い掛けてくるリズに叫んだ。
「安心したまへ、私はガキが嫌いだ。だが、君たちには興味が湧いたよ!ゼロ。ソノラ・フォン君を逃がすために、わざと私と鬼ごっこをするこを選んだんだろう?」
「……バレてましたか?さすが中佐殿!あいにくソノラだと貴方に直ぐに掴まりそうなので。貴方がイラッとくる方法で僕の方に来ていただきました。」
「だろうな、さっさと私の銃を返して貰おうか?」
リズはコートの中に左手を入れ拳銃を取り出した。
「まさか、中佐が二丁お持ちだとは予想外でした!」
ゼロはリズに本を投げぶつかりながら右側の拳銃を取っていた。リズが自分一人だけでゼロを追う理由はこれであった。政府直属の人間が、しかも中佐と言う地位がついた者が、たかが子供に拳銃を擦られるとは失態でしかない。
ゼロは考える、さてこのままでいても体力的に自分が不利。大通りでもない舗装されていない路地は走りにくい。リズはヒールがある靴にもかかわらずこの早さに付いてくる。魔術でも使ってますねあれは。と冷静に分析をするゼロだったが体力の限界が近いのかバランスを崩した。目の前には少し油が入ったライターが転がっていた。
ゼロはそれをさっと拾うとまた走りだす。
行き先はもう使われていない廃墟。