07 武器を作ろう、その2です。
あれからゴブリンに出くわす事もなく、目的地にたどり着いた。
たどり着いたのは荒野のエリアの端っこで竹が乱立している。いわゆる竹林というやつだ。
俺はボックス内から斧を取り出した。
「じゃあ俺は竹を切り倒していくから副隊長は荒野の方の警戒を頼む。あと集まった竹をボックスに入れてくれ。1号は竹林の奥の警戒を頼む」
「それは構わ無いっすけど……竹なんか切って何に使うんすか?」
「何にいってんだ? お前の武器を作るに決まってんだろ」
「えっ? 竹で? …………! まさか竹槍⁉︎ 俺の武器って竹槍なんすか⁉︎」
「ああ、そうだ」
「隊長! それは詐欺っすよ! 俺はてっきり、貴重な金属だったり、モンスターの牙なんかを武器にするとばっかり思っていましたよ!」
失敬だな。嘘なんて一つもついてない。
「馬鹿か、そんなオーダーメイドを依頼する金なんかないだろうが。竹ならいくらでもあるし、加工も簡単だ。俺にだって作れる。何より斧一つ分のコストしか、かからないからな。現状これ以上お前にふさわしい武器はねえよ」
それだけ言うと俺は竹を切り倒し始めた。1号も仕方なさそうに警戒任務に就いた。
竹を切る。竹を切る。竹を切る。
竹の伐採は思っていたよりも重労働だった。細いが硬い。しっかりと力を入れる必要があったよ。だいたい2メートルから4メートルの感覚で竹を切っていく。竹の長さを一定にはしなかったのは実験の為だ。色々な長さの竹槍を作ってより強力な竹槍を模索するつもりだ。最強の竹槍を作り出してやろうじゃないか。
途中、昼飯を食べたり、休憩を挟んだりしながら俺たちは竹を集め続けた。
そして、仕事終わりの帰り道、ゲートの手間でゴブリン3匹と出くわした。俺とフルルはボックスに、1号は残った。その手には竹槍が握られている。休憩時に手持ちのナイフで3本ほど斜めに竹を削り、竹槍を作っておいたのだ。
「大丈夫なんでしょうか、本当に?」
フルルが心配そうに聞いてきた。
まあ、心配するのは分かる。だって竹だしな。
でもな……、
「まあ、素手よりはマシだろ。それにリーチがあるから下手なナイフなんかよりよっぽど強い…………と思うんだがなぁ」
まあ、竹槍が使えるかどうかは直ぐに分かるはずだ。
そんな期待と不安を抱きながら1号に注意を向けると。
あっさりと竹槍の一撃がゴブリンの胴体を貫いた。
「おお!」
「ひゃ! ど、どうしました?」
突然、叫んだ俺にフルルはびっくりしたみたいだ。
俺はすまんと頭を下げてから理由を伝える。
「いや、竹槍が使える。超使える」
更に1号はもう1匹ゴブリンを振り回しの一撃でダメージを与えた。
でも、そこでゴブリンの一撃を足に食らってしまった。まだ、戦えない事もないが魔力には余裕がある。
リセットしてスタートする。魔力が1ポイント消費され1号が現れた。
「槍! 竹槍が欲しいっす!」
興奮気味に1号は言った。竹槍なんか〜とか言っていたさっきまでが嘘みたいだ。
「ほら、いってこい」
「いょっしゃ! 竹槍戦士いってきます!」
俺が竹槍を渡すと訳の分からないセリフと共に嬉々としてボックスから出ていった。
そして、そのまま残りのゴブリンを竹槍で倒してしまった。
ゴブリン3匹にリセットしたのは一度だけ、間違いなく新記録。やばいな、俺の時代が始まったのかもしれない。
そして、借家に帰ってからステータスを確認したらレベルが上がっていた。マジやばいな、本格的に俺の時代が来ちゃったのか⁉︎
ステータス
ヒビキ=ルマトール
無限術士Lv 2
闘気 0
魔力 104/110
スキル 分身召喚(最大召喚数 2)