70 空間術師の成長です。
大鷲の討伐後もギルドの依頼書を順調にこなしていった。白雹熊、ホワイトタイガー、槍ツノバッファロー。時に思いっきり蹂躙されることもあったが、最後は数の暴力で勝利した。
おかげで今の俺はレベル28である。最大分身数112人。すくすくと成長中だ。
そして、成長しているのは俺だけじゃない。副隊長であるフルルもまた成長していた。
ステータス
フルル=ゼルト
空間術士Lv 20
闘気 0
魔力 0
スキル 亜空間ボックス(保有数20)
選択スキル
インビジブルブレイド
転移
レベル20。空間術師としては前代未聞の高レベルだ。
そして、レベルま20までたんたんと亜空間ボックスの保有数が増えるだけだったがついに選択スキルが現れた。無限術師でレベル10、早い職業でレベル5で選択スキルが現れる事を考えたらそうとうの遅咲きである。
因みにここ最近はギロチンによる攻撃はしていない。
じゃあなんでフルルのレベルが上がっているのかといえば俺もフルルも正確な理由を把握していない。可能性だけでいうなら亜空間ボックス内で育てている紫煙花が俺の分身の強化に繋がっていることが理由じゃないかなと思う。それじゃないかもしれないが何にしても俺の強さはフルルのサポートなしには成り立たないものがある。それを考えるとフルルに経験値が入るのはむしろ順当というものだろう。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・どうしよう?」
フルルが俺にそう尋ねてきた。
どうしようとは無論選択スキルの事である。
フルルが奴隷で俺が主という関係上、こういう時には俺に選択権があるのだ。
因みにどちらのスキルも聞いた事はない。だから、ある程度想像で判断するしかないのだ。
まずインビジブルブレイド。見えない剣。名前からする限り攻撃手段だ。空間術師という事を考えるとすごく強そうではある。もし仮に空間を切り裂く剣とかだったら防御不能な攻撃手段かもしれない。あくまで予想だが相当強力な攻撃手段だ。
次に転移。このスキルについてはインビジブルブレイドよりも想像がしやすい。もし仮に何処でも転移できるのならばそれは凄まじく有用なサポート術だ。
さてどうするか?
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ステータス
フルル=ゼルト
空間術士Lv 20
闘気 0
魔力 100/100
スキル 亜空間ボックス(保有数20) 転移
転移の方をとった。理由は転移が使えそうだというのが一。インビジブルブレイドが亜空間ボックスの中から使用できるタイプ、つまり遠距離攻撃が可能でなければ死にスキルになるというのが二だ。
「じゃあ、早速使ってみてくれ」
「うん」
フルルは頷いて集中した。そして答えた。
「あ、これ僕がいったことのある場所に行くことができる魔法だ」
どうやらそういう魔法らしい。
「えーと、じゃあ・・・氷青鋼のある冬山の山頂まで行けるか?」
俺はなるべく人のいない場所を指定した。
「うん・・・・・・できた」
フルルの前には亜空間ボックスの印とは違った印が地面に描かれていた。
なんとなく使い方はわかるのだが俺は慎重で念には念を入れるタイプだ。
「という訳で一号、行ってこい」
「へーい」
一号を召喚して先に行かせた。印の中央に立つと一号が消えた。
一号と意識を同調させると一号は冬山にいた。目の前にはかつて見惚れた景色があった。
そして凄まじく寒いが周囲に人やモンスター、その他危険そうな物はないみたいだ。
「どうやら大丈夫そうだから行ってみるか」
「うん」
俺たちは転移の印に乗り、かつてあれだけ苦労して辿り着いた雪山の山頂になんの苦労もなく辿り着いた。