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68 初心者の館です。

ヒビキ工房が本格的に稼働した結果、武具は着々と揃ってきた。どれくらいかと言うと俺の分身全員に行き渡るくらいには揃ってきている。

となると、次の目標に向かっていいのかもしれない。

次の目標、それは遠距離攻撃だ。いつか欲しいと思っていたが他に優先する事が多くて後回しになっていた。ある程度、接近戦の戦い方が確立したいまこそ丁度いいだろう。

そして、無限術師の遠距離攻撃となるとほぼ弓一択だ。その他のスキルや魔法は使えないし、魔石を使った魔道具『スクロール』は使い捨てで費用がかかりすぎる。

因みに転生人らしく銃という選択が頭に浮かんだのだが即座に却下した。

銃の内部構造がわからないから試行錯誤しなければならないし、火薬の作り方もわからない。手間がかかりすぎる。そしてそれらの問題をクリアしても、ファイヤーボール一発で火薬に引火してオシャカになるだろう。そう考えると簡素な弓という選択にならざるを得ない。

そして弓を用意するとなると比較的に容易だ。この前取ってきた弾鉱はまだ余っているし(というか、近い内に使うだろうと余分に取ってきた)、ヒビキ工房で精製はできる。あとは『ステラ』の親方に頼むだけだ。ほんの4、50丁ほど・・・・・怒るかな? 怒るだろうな親方。後で菓子折り持ってお願いしにいこう。

そして問題がもう一つ、俺は弓を扱った事がないということだ。

実際に弓を射るのは分身とはいえベースが俺なのだ。職人技とまでいわない。普通の弓使いとまでもいわない。そこまで贅沢はいわないから最低限基本的な事だけでも押さえておきたい。

それには誰かに教わる必要がある。

ヒビキは最近知り合った弓使いを思い浮かべた。

が、直ぐにその考えを消し去った。

あのメガネに教わるとかそれだけはない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺はとある建物の前にいた。駆け出しの冒険者が集まるこの建物は初心者の館と呼ばれている。

初心者の館とは文字通り初心者に基本的な事を教える場所だ。

例えば、魔術師だったら、実際に魔術を使用したり、立ち回りやパーティー編成、危険なエリアなど、まだ右も左もわからないヒヨコ達に基本的な事を教える場所だ。

そして授業料は無料と駆け出しに優しい施設だ。というより駆け出しに簡単に死体になってもらっては困る迷宮都市が運営しているのだ。

ここで俺も弓の事を教わろうとやってきた。

初めて来る場所にしかも中級冒険者になってから入ることに若干ドキドキしながら入り口をくぐり、弓使いの部屋に入った。

ちなみに俺が初心者だったころは、無限術師がマイナーすぎて教える人も教わる人もいないのでここにはこなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


弓使いはマイナー職だ。だから弓使いの教室には誰もいなかった、結果的にマンツーマンで教わる事ができありがたかった。

しかしだ、


「あれだな・・・お前、全く才能ねえな」


初老の教官から呆れられた。


「すいません。初めてなもんで」


俺は反発せずに素直に返事を返した。実際、初めてだという事を差し引いても自分が駄目だという感覚はある。


「シーフなんかが牽制に弓を使う事があるがな、弓使いと違ってスキルの恩恵がないから自力で当てなきゃならんわけだ。つまり、才能と努力次第なわけなんだが、弓にしろ矢にしろ、そこそこかさばるもんだから、よほど上手く使えないとお荷物になるわけだ。そんな事になるくらいなら大人しく本職だけをやっていた方がいいぞ」


教官になるのは、かつて冒険者だった人間だ。長く冒険者として生きて、引退できるまで生き残った人間らしく話の一つ一つに説得力と合理性が感じられた。

もし、俺がシーフだったら大人しく教官の言う事に従ったと思う。

だが、俺は無限術師だ。


「大丈夫です。10回に1回当てられればいいので」


俺は自身満々にそう言った。

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