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64 メガネの弓使い、その5です。

とある不人気エリアの草原で二人の女性が向き合っていた。

片や弓を携え、片や片手用の直剣を携えていた。その雰囲気は明らかに剣吞とした物だ。


「ふっふっふっ。男を誑かす悪女に天誅を与えてやります」

「・・・・・張り倒す」


戦意を隠さない二人の中間にヒビキはいた。審判役である。


「なんでこんなことになった?」

「さあ?」


男二人は首を傾げていた。

因みにだいたいこんな感じだった。


「呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる・・・」

「・・・・・」

「呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる・・・」

「さっきから私の後を・・・なんなのお前?」

「別に。たまたま向かう先が同じだっただけじゃないですか? ちょっと自意識過剰じゃないですか?」

「・・・・」


と、そこで困り顔でついてきたヒビキに尋ねた。


「ヒビキ。これ知り合い?」

「あー、たまたま目標が同じで今日限りで即席パーティーを組んだアストリアさんなんだが、さっきたわわちゃんが投げとばした野郎のファンらしくてたわわちゃんのことが気に入らないらしい・・・」

「ちょっと! なにこの冷血女に情報を流しているんですか⁉︎ 貴方はどっちの味方なんですか?」


それはもちろんたわわちゃんなのだが・・・。


「いやいや、たわわちゃんは一見クールだけど中身は凄く優しい女の子だよ?」

「なるほど、そういう事ですか・・・わかりました。貴方はそうやって周囲の男を誑かして貢がせてきたんでしょう!カイル様にも自分が奴隷である事を利用して、私って可哀想なの。カイル様助けて。とか言ってカイル様の優しさにつけ込んだんでしょう⁉︎」


邪推にも程がある!


「そんなことしてない。あの男は私をパーティーに誘って来て断ったのにしつこいから投げとばしたの」

「ふっふっ。馬脚を現しましたね? 嘘が丸分かりです。カイル様はですねぇ、女性はパーティーに入れないのですよ。そんな嘘には騙されませんよ」

「嘘なんかついていない」

「まったく、どうしようもないですね、ここはひとつ年長者として貴女に色々と教育してあげましょう」

「へー・・・何を教えてくれるの?」

「そうですね、この道をもうちょっと歩くとあまり人気のないエリアがありますから、そこで貴女に戦い方を教えてあげましょう。ちゃんと戦える様になれば人を騙して貢がせる必要がなくなりますよ」

「そう・・・じゃあ教えてくれる?」


とまあ、こんな感じでやってきた。

途中、


「止めなくていいの?」


とフルルが聞いてきたが無理だよ。二人のやりとりがあまりにも寒々しくて、とてもじゃないが口を挟めない。

女の戦いに男は割って入れないのだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そうして、俺たちは人気のないエリアにやってきてたわわちゃんとアストリアさんはごく当たり前の様に決闘をする事になった。

二人は20メートル程離れた所で中間にいる俺の合図を待っている。

因みに20メートル離れるルールを提示したのはアストリアさんだ。弓使いだからな。近距離戦じゃ勝ち目がないし、たわわちゃんも分かった上で承諾したんだろうけど・・・。


きっとこのメガネ飛ぶよな?

そう思った。


飛んでしまえば、さすがのたわわちゃんも何も出来ない。ただ一方的に攻撃を受け続けることになるだろう。

心配ではあるが助言を与えるのは公平じゃない。

悩んでいると、双方から開始を告げる様に求められた。

俺はもう色々と諦めてコインを取り出し空中に投げた。

そして、コインが地面に落ちた瞬間決闘が始まった。

アストリアさんが盾の様に構えていた浮遊板を地面に転がした。


「ふっふっふっ、貴女がどれだけ強かろうと天空を舞う私には叶うはずがありません。ウインドナックぐふ⁉︎」


アストリアさんは20メートルの距離を一瞬で縮めたたわわちゃんに殴られて吹っ飛んだ。

そして、そのまま気絶した。


「うわぁ、空を飛ぶ暇もなかったな」


俺はそう呟いた。

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