23 リベンジオークです。
次の日、俺は亜空間ボックス内に分身7人を一列に並べて演説を行っていた。
「さあ、準備は整えた。今からオークを狩る!」
「おおおおおお!」
今日は朝からオーク狩りの為の準備に動いた。まず武器屋に出向いて、両手持ちの槍と斧を買えるだけ買った。合計42本。家賃の支払い分と10日分の食費を除いて全ての資金を武器に変えた。後悔も躊躇も一切なかった。
「確かに、前回俺たちはオークに負けた。だが一度や二度の失敗で諦める俺たちか?」
「Nooooooooo!」
それから前回と同じ森のエリアにやってきて、いま亜空間ボックス内で演説を行っている。
「そうだ! 俺たちは諦めない! 今日、俺は魔力を絞り尽くしても! 武器を使い尽くしてでもオークを倒す!」
「Yeeeeeeeeesss!」
体の中から溢れ出す戦意が俺に大仰な言葉を紡がせる。恥ずかしいとかそんな気持ちは一切ない。右手を力一杯突き上げ言葉を紡いでいく。
「いいか、このオーク狩りは始まりにすぎない! いつか俺たちが9番目の天位の座を手に入れる、その第一歩にすぎないのだ!」
「おおおおおおおお!」
分身達も力一杯拳を突き上げた。この圧倒的なシンパシー。かつてない一体感が俺たちを取り巻いている。ちょっと前までは、分身を生み出す能力を持っているが故にふと、どこまでが自分と同じでどこからが自分との違いなんだろう? とか哲学チックなことを考えていたが、今ならわかる。哲学なんて暇人の暇つぶしだったのだと。今の俺にはそれこそどうでもいい。今の俺が考えているのはこれからどうやってオークを倒すのか? オークを倒したあとどうするか? それだけだ。
「さあ、武器をとれ! 俺たちの未来の為に今戦おう!」
「いやっはーーーー!」
分身達は雄叫びを上げながら武器を取り亜空間ボックスを出て行った。
そして、静かな空間になった亜空間ボックスで、
「えーと…………どうしたの一体?」
俺たちのノリについてこれなかったフルルが尋ねてきた。
まあ、事情を知らないフルルには理解できないだろう。ここは、ちゃんと説明しておきますか。
「実はな昨日、たわわちゃんに会ったんだ」
「あの、僕の向かいの牢屋にいた魔法剣士の女の子?」
「ああ、そしてだな、俺が9番目の天位になったら結婚して下さいとプロポーズしたんだ」
「えーーーー!」
「更に更に、そのプロポーズをたわわちゃんが受け入れてくれたんだ!」
「えええーーー!」
フルルはとんでもなく驚いた。そして、
「あの、紅茶用意するから一息つきませんか? 落ち着けますし冷静になれますよ」
「………………」
こいつ全然信じてねえ……。いや、確かに一度は断られたし、あの結婚してもいい発言は一種の戦線布告なのだが言ったことには違いないんだ。
「俺は今、最高にクールだ。そして今の話は誓って本当だ!」
力強く断言したのだが、
「そうですよ……信じますよ」
なんか全然信じてない顔で信じてるといわれた!
いや、本当なのに!
俺は昨日あったことを1から説明しようとしたが表で分身達がオークを発見した。もともとエリア内でもオークと出会いやすいポイントだったし、いくらでも待つつもりだったが予想よりも早く接触できた。
さあリベンジだ!