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09 ブレイクスルー、その2です。

 ゴブリン迷宮に挑んだ俺たちだったが、挑む前にフルルに言った通り本当に進まなかった。具体的には曲がり角を二つ曲がった所で延々と狩りをしていた。

 別にこちらから進む必要も無いくらいゴブリンがひっきりなしに現れる。

 そんなゴブリン共とこの世界で唯一かもしれない竹槍使い達が激闘を繰り広げている。まさに殺るか殺られるか、命を賭けた死闘がそこにあった。

 ……。

 ……。

 ……まあ、命を賭けているのはゴブリン達だけなんだけどね。

 例によって例の如く俺とフルルは亜空間ボックスに避難していた。何もしていな訳じゃないよ、俺とフルルは並んで座って竹をシュッシュッと削っている。さっきから竹槍を作っても作っても分身たちが持って行っちゃうから、こちらも延々と作っている。嬉しい悲鳴と言うやつだろうか。それにしてもフルルが使うナイフだけじゃなく、竹クズを処理する箒と塵取りも買って置けば良かった……まあ今後の課題つー事で。

 そうやって竹槍作りにいそしんでいると分身からゴブリンの魔石をゲートの上に置いたと報告があった。俺はフルルに声をかける。


「魔石が取れたから回収してくれ」

「うん」


 フルルは返事を返すと丸テーブルの上の空間にゲートの印を発動させた。次の瞬間コロンとゴブリンの魔石がテーブルに転がった。どうやらフルルは亜空間ボックス内なら何処にでもゲートを出現させられるようで、器用だなと思う。しかも、テーブルを見ずに竹槍削りながらだし……。

 それにしても……と、テーブルを見て思う。魔石はすでに12、3個貯まっている。順調すぎるな、本当に。

 レベル6以上、パーティーメンバー4人以上推奨の迷宮でレベル2とレベル1のコンビとしては破格の成果だと思う。

 まあ、分身が一人増えた事で戦力は2倍に増えたし、竹槍の運用も上手くいっている。そして、それ以上に俺とフルルはそもそも戦っていないという状況が強すぎる。


 実はこの迷宮、危険なのはキングゴブリンよりゴブリンどもだったりする。

 例えば俺と同じくレベル2の4人組パーティーだったらゴブリンごとき圧倒できるだろう。だが、倒し続けられるかというとそうでもない。

 一般的な前衛職の戦士だったら闘気という力を20ポイント持っている。この闘気という力は魔力と違って使っても減る事はない、ネトゲで言うならパッシブ能力で使い方もハアッ! と気合を入れるだけでいいらしい。だが気合を入れるのが簡単でも気合を入れ続けるのは案外難しい。更に常に後衛を守らなければならず、体を張るぶん体力も使う。一度や二度ゴブリンを圧倒できたとしても十、二十と連戦を続ければ疲弊してしまう。

 後衛職はもっと簡単で魔力がなくなればお終いだ。参考までにレベル1の魔術師だと魔力100ポイント、最弱のファイアボールで4ポイント消費する。何ていうか無限術師の分身召喚がいかに低コストかわかるだろ。ファイアボールの4分の1だぜ? チートと呼んでもいい魔法なのに何で皆避けるのかね、こんちくしょうが。

 ……ごめん、話がそれた。つまりファイアボール25発で魔術師の魔力は枯渇してしまう訳だ。それに他人に……前衛職に命を預けるのは常に緊張を強いる。やっぱり長期戦向きとは言えない。こういう連戦を強いられるエリアはレベル2、3のルーキーが入っていい場所じゃあない。

 じゃあ俺たちはというと、正直ゴブリン達を圧倒できる訳じゃない。ぶっちゃけ何回も分身達は全滅している。が、何度だってやり直せるし仮に魔力が枯渇した所で亜空間ボックス内で回復させられる。ちなみに魔力の回復方法は概ね二つで、睡眠をとる事かマナポーションを飲むことかだ。

 継戦能力。それが俺たちの強みだ。


 と、ちょっぴり得意げにウンチク語っている内にまた魔石をゲットした。フルルに頼んで回収する。

 更にだ、前回のレベルアップ時には気が付かなかったが、今回は魔力の容量が増えた感覚があった。

 ステータスをみる。

 

 ステータス

 ヒビキ=ルマトール

 無限術士Lv 3

 闘気 0

 魔力 78/120

 スキル 分身召喚(最大召喚数 3)

 

 うん。レベルが上がった。レベル1から2には半年かけたのに1日でレベル上がっちゃたよ。しかも、まだまだ余裕がある。

 とりあえず、3人目の分身を召喚、竹槍を持たせて前線に送り込んだ。

 さて、レベルが上がった事で戦力が1.5倍に上がった訳だが、何処まで行けるかね。

 俺はドキドキワクワクしながら竹槍を作り続けた。

 

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