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アブノーマルズ  作者: チャプト
1/1

開幕

初めまして。チャプトと申します。至らぬところもあると思いますが、精一杯頑張ります!

僕が目を覚ました瞬間、世界は一変していた。爆炎、衝撃、息苦しさ、普段の日常からかけ離れた光景を目の当たりにして、僕がわかったのはこれだけだった。ああ、いや、まだある。一番大切なものが。とてつもない風を一身に受けても倒れることの無い強い背中。その背中とは裏腹にあまりにも華奢な体躯。そして強風に棚引く雪の様に白く絹の様に美しい髪。

見とれた。その儚さ、強さに。そして美しさに。

そしてどれ程見とれていただろうか。爆風が過ぎ去ったあと、彼女はゆっくりとこちらに振り向き…

僕の顔を思いっきり張り倒した。

「なじぇっ……!?」

それが、僕フロウと、彼女、クルスの最初の出会いだった。

~~~~~~~~~~~~~~

「いやすまんな。てっきり敵の残党かと思ってな!いやー!気持ちのいい一撃を叩き込んでしまった」

そう言いながら軍人と思しき女性。いや、見た目的には少女、が正しい表現になるだろうクルスはグラスに注がれた飲み物を一気に飲み干しつつ、タハハと笑った。見た目は殆ど14~15なのに妙にオッサンくさい。美少女という点と相まって非常に残念な感じだ。いや、謝るだけで済まされないくらいの仕打ちを受けたんですがそれは…。

俺は先ほどの場所からここに連れて来られた。無理やりにである。ここは「ランド州部駐屯地」。我らが祖国のそこそこ辺境であり、辺境であるが故に敵国からも程近い州だ。その軍事基地の食堂という訳だが、当然一市民である僕なんかが来たことは今まで1度たりともない。

「んん?何かまだ不満か?」

クルスはグラスに2杯目を注ぎながらそんな事を言ってきた。こぉんのガキゃぁ…!

「そりゃ不満に決まってるだろ!敵兵と間違われて張り倒されて鳩尾に一撃入れられて気絶させられた挙句!バイクの後部座席にうつ伏せで括りつけられてそのまま移送!3時間の尋問の後だぞ!?お前せめて仰向けでバイクに括りつけろよ!?うつ伏せだと顔のスレスレをタイヤが回転するんだよ!怖いんだよ!わかった!?」

とハァハァ息を荒らげながら詰問。クルスは「そこかよ…」と言いながら微妙な表情だ。

「まぁそんなに怒るな。戦地では度々ある事だ。多分。それにあんな最前線真っ只中にいたし。助けてやったんだから、それでプラマイ0だろ?」

「うっ…。それは…。」

それはそうだ。僕がいたのは戦地のど真ん中もど真ん中。敵の砲撃範囲の中心だったのだ。あの場にいたらきっと今頃粉微塵になっているだろう。

「それに関しては…感謝してるよ。」

「だろう?人間命あってこその物だねと言うじゃないか。存分に感謝したまえ。」

うんうん、と頷くクルス。図々しいなコイツ……!

「はぁ〜…。わかった。取り敢えず移送の件に関してはもう文句言わないよ。それで?君は一体何者なの?どう見てもこんな所にいる人じゃないけど…。」

そう。そこが最も知りたかった。クルスの身長は比較的小柄な僕よりも小さい。筋肉隆々という訳でもないし。軍隊になんているとは思えない程華奢だ。……胸はそこそこあるが……。

「んん?私か。私はクルス・アラノウズ。これでも一応軍人だよ。ほら。」

言いながら胸元の略称を見せるクルス。

「私は特異収集特殊作戦軍遊撃部隊の隊員だ。わかるか?遊撃。攻撃する相手を定めず戦場に飛び出し」

「戦場を荒らすやつだろ?わかるわ!」

ほうほう。とクルスは満足気だ。こいつどこか俺を馬鹿にしてるな……!

「まあそんな所だ。ただのしがない軍人さ。」

と言いながらクルスはグラスに新しく飲み物をつぎたした。

なるほど。恐らく特異収集というのは適正のある者を軍隊にスカウトする事だろう。と言うことはクルスも何かしら特殊な能力を…?

「私の力が気になるか?」

うおっ!?こいつ僕の心を読んだ!?まさかそういう能力なんじゃ…はっ!?やばいさっきおっぱい見てたの気付かれて

「今のは私の力じゃないぞー?ただそんな気がしただけだから。それで私の力、というか一族の…」

と言いかけた所で後ろから若い軍人が近寄ってきた。

「クルス少尉!作戦会議の召集がかかりました。至急本部へお集まり下さい!」

あ、クルスがすんごい面倒くさそうな顔した。

「私の今日の業務時間は終わってるんですけど?」

「緊急の様ですが……」

「はぁーあー了解。すぐ行く。」

そう言ってクルスはこちらに向き直り、

「悪いなフロウ君。このお話はまた後だ。今日はもう遅いから。ここに泊まっていくといい。ほら、この部屋使え。」

と言いつつポケットから取り出した鍵を放ってきた。

「お、おお…。」

クルスは瓶に残った飲み物をラッパ飲みで飲み干した後、椅子から降りて背中越しにシュッと手で挨拶してから若い軍人と共にどこかへいってしまった。

「……。」

まずい、あー、ちょっと心細くなってきた。そもそも軍事基地なんかに僕みたいな奴がいるのがおかしいんだ。さっさと鍵の部屋に行こう…。取り敢えず、おっぱい見てたのバレなくて良かった…。

~~~~~~~~

「ここだ……。」

基地内をウロウロしながら数人に道を教えて貰いつつやっとの思いで目的の部屋に到達した。30分もかかってしまった。だってここ広いもん……。でも道を教えてくれた人が皆驚いてたな。もしかしてスパイ扱いとかされてないよな……?

そんな事を考えながら鍵穴に鍵を差し込み左に回す。手応えがなかったので右に回す。するとガチャリと音がして施錠が解けた。

「…おお……。」

中は中々広かった。だが暗くてよく見えない。電気のスイッチを探して一二歩中に足を踏入れると何かを踏んだ。

「ん?」

なんだろこれ。布みたいな。

ヒョイッ←女性用の下着をgetした音。

ポイッ←女性用の下着をoutした音。

パタン←扉を後ろ手に閉める音。

ほぉここクルスの部屋だな。あっ、気づけばちょっといい匂いする…じゃなくて!何故気づかなかったのか。あいつポケットから鍵を投げ渡して来た。常に空き部屋の鍵なんて持ってるわけないから当然自分の部屋なわけだ。おかしいだろあいつ!なんで見ず知らずの人に自分の鍵渡すの!?それ鍵の意味無くない!?もぉぉぉぉおおお!そりゃ道聞いた人驚くわ!

こうして、僕はクルスが部屋に戻るまでドアの前で体育座りを敢行するハメになった。

~~~~~~~~~~

「なーにしとるんだ?君は。部屋を使え、といったのであって、番犬よろしく部屋の前で座れなんて言ってないぞ?」

…帰ってきた…。

「まあそういうのが好きな人もいるか?人間人それぞれだしな。」

クルスは唇に指を当てながら何か言っている。こいつは…!

「まあ入りたまえ。何も無いところだが。って鍵は開けてるのか?変な奴だな。」

お前に言われたくない。そう言いたかったがもう疲れて何も言えなかった。僕は言われるままに部屋に入った。

カチッという軽い音のあと電気がつく。鏡やベット、その他生活用品は殆ど揃っている。ただ、散らかっている。洗濯物が散乱している。先ほどの下着はその尖兵だったようだ。

「~~♪」

クルスは鼻歌を歌いながら部屋に入っていった。男に汚部屋を見られるのに何も感じない様だ。

「何してる?それとも玄関が好きなのか?」

言いつつ足元の瓶だとか書類だとか洗濯物だとかを避けるためぴょんぴょん飛び跳ねながら奥に進むクルス。こいつ大丈夫なのかホントに……。取り敢えず奥に進む。暫く足元と戦いながら歩くと丁度僕1人くらいは座れそうなスペースを見つけてそこに腰を下ろした。

「さてと、私はシャワーを浴びるが君は?」

この部屋にはシャワーがあるのか。なかなか贅沢な様だ。

「ああ、後で入らせてもらうよ。お先にどうぞ。」

「お?レディーファーストという奴かー?良い心掛けだな。それではお言葉に甘えさせて貰うとしよう。よっと。」

といいながらクルスは服を脱ぎ始めた。……おお……ビューティフル……。違う!そうじゃない!

「なななっ何してんの!?」

「は?いや君は服着たままのシャワーが普通な文化で育ったのか?」

「ちがっ!あっ!下を脱ぐなってああもう!!くそぉ!!」

クルスの脱衣からシャワーが終わるまで、また俺はドアの外で体育座りをするハメになった。

~~~~~~~~~~

「さて、それでは君が何者かを聞かせて貰えるかな?」

お風呂上がりクルスは聞いてきた。元々白くて美しい髪が水を吸ってツヤツヤしてまるで白魚の様だ。今はベットの上で足を組んでこちらを見下ろしている。僕はというとさっきの小さな隙間にすっぽり収まって座っている状態だ。

「何者か?といっても、尋問で話した通りだよ。たまたまあの場にいたただの一般人。家に帰る途中だったんだってば。」

「それ、本気で言ってるのか?というかそれで尋問終わったのか?」

クルスは厳しい顔をしている。

「そうだけど…。なにか変か?皆家に帰るなんて普通だろ。」

「いいや、普通じゃない。君は分かっているか分かっていないか知らないが、君がいたのは敵の砲撃範囲だ。ど真ん中でな。君はそこで短時間とはいえ生き残っている。五体満足で。かすり傷一つ無くな。そんな事が有り得ると思うか?」

「……。運が良かったとか。」

「それも無いな。山賊じみた奴らの無差別砲撃ならあるかもしれないが、敵は訓練された兵士だ。狙いの真ん中だけを外すとは思えん。」

それは…。

「付け加えるなら、君の下の地面。これも無傷だった。まるで何かに覆われた様に、だ。」

「覆われた……。」

「私が君に攻撃を加えたのはその異常性からだ。決して無差別なんかじゃないぞ?」

あ、それは嘘な気がする。ダウト。

「まあなんだ。それで私はだな。とある考えを持った。もしかすると君は私の同類では無いのか、と。」

クルスの同類。それはつまり

「僕に、何か力あるっていうのか?」

「まあ、端的に言えばそうだな。あ、一応言っておくと力という言い方は私達はしない。私達はその力の事を〜」

とクルスが言いかけた瞬間、けたたましい音でドアがノックされた。

「クルス少尉!クルス少尉!いらっしゃいますでしょうか!?」

「ああ、中だ!どうした?」

クルスは割と落ち着いている。

「て、敵です!基地の北西50キロ地点にて、敵軍隊を確認!戦闘員は総員戦闘準備に移って下さい!」

僕は状況を理解するのに少し時間がかかった、クルスは溜息をついて、

「君との話ではいつも邪魔が入るな。さて、では私は行ってくる。君はここにいたまえ。」

と言って。出ていった。


ここから、僕の初めての戦争が始まる。

第1話 開幕 完

ーーーーーーーーーー

登場人物

フロウ(19?)

主人公。少しなよっちい性格。でも思ったことは割とキッパリ言います。見られてまずいものはベットの下によく入れる。

好きな物は機械弄り 嫌いな物はナマコ

身長167cm 体重57キロ


クルス(15)

特異収集特殊部隊 部隊員。 階級は少尉。

見た目は子供、内側はオッサン。スカートであぐらとか余裕。でもちょっと女の子っぽい所もある。なにか力がある模様。

好きな物は恋愛小説。嫌いなものは残業。

BLとかもいけるくち。

身長154cm 体重40キロ

軍内に秘密のファンクラブがあったりなかったり…

皆様、如何だったでしょうか。アブノーマルズ第1話でした。

補足しておきますと、この世界に置いては機械も使われますし、魔法系統も使われます。そういうお話なのです。


ps.おっぱい見たのはバレてる

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