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真名解放の奴隷使い  作者: レルクス
裏切者の序列一位編
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第九十五話

 必死になっている時ほど、時間の経過が早いと思うものだ。

 今のミチヤの状態はまさにそれである。

 で、結果的に何がいいたいのか。

 答えは簡単。

 対校戦がもうすぐ始まるのだ。

 ちなみに、アドニスに関してはもう直々に説得した。

 表から無理そうなら裏から頼めばいい。というのがミチヤの持論である。

 ……リリアに頼んだだけだが。

 現在。ミチヤたちは空の旅である。


「先生って……一体何者なんだ?」


 イカロスが聞いてきた。


「……パワーインフレした友人の多い通りすがりの臨時教師だ」

「まあ、妥当だな」


 イカロスも苦笑した。

 イナーセルは爆笑している。


「しかし、こんな手段があるとは……」


 セイルも眼鏡をかけ直しながらつぶやいた。


「まあ、馬車は全部ヨシュアが作って、あとは、フルーセの馬竜としての種族スキルで跳んでいるんだ」

「先生も十分ヤバい領域だと思うけどな……」


 否定はしない。


「というか……これから対抗戦か……アドニスが来てくれてよかったぜ」


 イカロスはホッとしている。

 そのアドニスは、孤児院にいた子供たちが乗っている馬車で子供たちの相手をしている。

 まあ、馬車同士も行き来可能だが。


「リリアに頼んでアドニスに出場させるように言った」

「先生が裏でいろいろやってただけかよ……」


 仕方がないだろ。そうするくらいしか方法がなかったんだから。


「そう言えば、イカロスは魔法切断はできるようになったのか?」

「限度はあるけどな……」


 イカロスが遠くを見る目でいった。


「まあでも、10発程度なら問題なく切れるぜ。魔法の軌道は頭に叩きこんだしな」

「その頭に叩きこんだっていう言葉に対してクラスメイトがドン引きしているのはどういうことなんだ?」


 ミチヤはそう突っ込まずにはいられなかった。

 魔法を主に使う生徒も、イカロスのような近接系統の生徒も、どちらもその『頭に叩きこんだ』という言葉に対して少なからず思うところがあるということだ。


「ん?とにかく使ってもらって回復してもらってを繰り返して頑張っただけだぜ」


 頭じゃなくて体に叩きこんだのか。

 ということを生徒がいいたいのだということをミチヤは理解した。

 ミチヤはマキナをチラッと見る。

 マキナはビクッと震えて、目を逸らした。

 何があったんだ?まあいいけど。


「それにしても、空の旅か……まさか体験することになるとは思わなかった。しかも集団で」

「まあ、普通は無理だわな」


 人に翼はないからな。


「先生はよくやってるのか?」

「長距離移動ではよくやってるぞ。フルーセも、走るより飛んだ方が早いし。それに、空を飛んでいた方が、揺れることもないしな」

「思うとそれが一番疑問なんだけどな」

「こればっかりはフルーセのセアルハーグとしての種族スキルだからわからんよ」


 さすがにそんなことまで分かるわけではない。

 フルーセも説明へただし。


「あ、見えてきた!」


 下を見ると、コロシアムがあるのが分かる。

 あそこで戦うのか。

 まあトーナメントの方だろうけど。


「さて、着陸地点は、あそこだな」


 広場に降り立った。

 周りにいるもの達のほとんどが驚愕しているが、そんなことは気にも留めない。


「さて、俺はちょっと会場の下見に行くけど、お前らはどうする?」

「俺達もついていくぜ」


 そう言うことなら別にまあ問題もないだろう。

 ということで、全員で行くことになった。

 行ってみたが……一言で言うと……大きかった。


「こ……これはすごいな……」


 見世物小屋にしては大きすぎる気がするがな。


「客席ってはいれるっけ」

「そもそも俺らの分はなかったはずだぜ」

「……どういうことだ?」

「三方向にはあるけど、一つのエリアには客席と呼べるものがないってことだ。椅子を置くとかそれ以前に、本当の意味で何もないんだよ」


 言っていることがよくわからないので、とにかく回り込んでみた。

 すると、簡単な柵があるだけで、本当に、そのエリアには何もなかった。


「逆にこういうふうに設計できるその発想力がすさまじいな」


 建設における文明レベルはそこまで高くないはずなのだが……。

 逆に何かのすごさを感じる。

 何を言えばいいんだこれ。

 ていうか見栄え悪!


「作られなかった理由は?」

「予算の無駄。見たいなことを言ってたぜ」

「建前にしろ本音にしろ、そう言う事情なら、俺が自腹でやればいいだけの話か。ヨシュア」

「任された。半日で仕上げる」

「まあ一応、国王には許可もらった方がいいかな」


 そんな感じにつぶやいた時だった。

 ふと気配を感じたので見ると、どこかであったような忍び装束の女の子がいて、紙を渡してきた。

 用件かいたらそのまま国王に直送してくれるらしい。

 ミチヤは『コロシアムの観客席の改築』と書いた。

 忍びの少女は微笑んで、消えた。

 まあ、隠蔽スキルと圧倒的なまでの初速を混ぜることで消えたように見えただけのようなものだったが。

 数分後、また戻ってきた。


「許可はもらった。それじゃあ、任せるぞ」

「それくらいしておけばいい?」

「好きにしろ。責任とるの俺じゃないから」

「御意」


 ヨシュアはアイテムポーチを持って現場に向かった。


「俺、先生の上司にはなりたくねえな」

「そうか?」

「マスター。今ものすごく悪い笑顔だぞ」


 おっといけない。

 ちょっと楽しくなってきたのだろう。


「まあ、もう下見はいいか……!」


 遠くの方で、ハルカがいた。

 ……ものすごく遠い。

 手招きしているので、何かあったのだろう。


「各自自由行動だ。ちょっと先生は用があるんでな。イナーセル、ミーティア、タイダロス、テラリア、コハク、一応、監督宜しく」

「私は?」

「ミラルドは……フルーセとそこらへんうろうろしていろ。フルーセは人化するな」


 一番面倒だからな。

 ルーク?アイツは放っておけば日向ぼっこをする。飯の時間になれば勝手に帰って来るから問題ない。

 竜だからなのか知らないが、ルークはフルーセの位置が分かるのである。勝手に追ってくるのだ。


「じゃあ解散」


 そう告げた後、ミチヤも移動した。

 ハルカは裏路地に行って、そこから冒険者ギルドの会議室に入った。

 ものすごく懐かしい。


「何か分かったのか?」

「少なくとも、死霊系のモンスターが出てくると分かった」

「死霊系?神聖魔法が必要ならミーティアを呼ぶが……」

「規模が尋常じゃない」


 一体どうなっているんだ?


「防衛面は大丈夫なのか?」

「SSランクの冒険者を呼んでいるから問題はないはず」

「ロイ?」


 首をかしげるが、ハルカは頷いた。


「……え、ん、ロイなの?」

「そう」

「……死霊系に餓死魔法って通用するのか?」

「死霊系でも回復されることに変わりはない。でも、彼の本職は治療師。ミチヤが魔力を大量にいれた魔晶石を渡せば、少なくとも人的被害はかなり少なくなる」

「ダメージ前提だな……それにしても、良く招集されるな……」

「彼はSSランクの中で唯一の常識人」


 他の連中に一度でいいから会ってみたいよ。


「それと……彼は、この国の元王子だから、そもそも呼ばなくても来る」

「え、ロイって王族なのか?」


 端正な顔つきだったが……今の王子とは全然似ていないぞ。


「彼とは母親が違う」

「そう言うことか。しかし、一体何があったのやら……」

「嫌気がさして家出した。と言っていた」

「シンプルだな……」


 その時、ミチヤの足元で何かが動いている。

 見ると、ペットの子豚であるポコちゃんがズボンのすそをつんつんしていた。

 ミチヤはポーチから皿と餌を出して置いた。

 フガフガ言いながらも食べ始めた。


「紹介する。ポコちゃんの弟のトムくん」

「……」


 さようですか。


「何匹兄弟なんだ?」

「ポコちゃんの一歳上のテン君を合わせた三匹兄弟」

「全員オスなのに、なんでポコだけちゃん付けなんだ?」

「語呂が悪い」


 まあ、ポコ君と言うよりかはポコちゃんと言う方がなんとなく言いやすい気がしなくもないが……俺は何を言っているんだ?


「餌。もうちょっと多かった方がいいか?」

「む。兄弟揃って大食い。誕生日には毎年駄々をこねる」


 人間臭い子豚である。


「まあとにかく、ロイもいるんだし、人的被害は問題ないか」

「む。一応、大会に影響は出ないと予測される」

「それなら問題はないか。冒険者は集まっているのか?」

「問題はない。でも、完全ではない。不安要素ができた場合はあなたに依頼する」

「それは構わないが……この国本来の戦力に期待するとかは?」

「王に関していえばそれは適用されるけど、他は無理」

「……この国大丈夫なのか?」

「問題はなかった。でも、これから起こる。それだけ」


 もういうことはないというかのように、ハルカはポコそっくりのトム君を抱き上げる。

 なんとなく表情が……『うおおおお!俺の餌があああああ!』と言っているように感じた。

 錯覚だと信じたい。


「第一印象は、テン君は私、ポコちゃんは僕、トム君は俺」

「んな予備知識いらんわ!」


 思わず突っ込むミチヤだった。

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