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真名解放の奴隷使い  作者: レルクス
裏切者の序列一位編
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第九十一話

 さて、三日後。ミーティアをヨシュアくらいまで小さくしたような子供が来た。

 ただ……。


「マキナ・オーバーンレイクです。よ、よろしくお願いしましゅ」


 噛んだ。

 ものすごく赤面している。

 姉とは違い。かなり精神が弱そうだった。

 ミーティアも昔はこんな感じだったのだろうか……。


「ミーティアに似てるよな」


 とつぶやいたのはイナーセルである。

 現在、学校に行く前にまず来てもらったのだ。

 そばには馬車があり、騎士が何人かいる。


「そうですね……」


 ミーティアはそれだけ言った。いや、何を言えばいいのかわからないのだろう。


「ミーティアも昔はこうだった?」


 ヨシュアがマキナとミーティアを見比べている。

 騎士の内、何人かが頷いている。

 天使族と言うのは幼いころは精神がもろいのだろうか……。


「俺が君の教師になるミチヤだ。よろしくな」


 ミチヤは笑顔で話しかける。


「は、はい!」


 可愛い。ミーティアも昔はこうだったのだろうか。今では落ち着いた雰囲気だが。

 ちなみに、騎士の皆さんが毎日来るらしい。

 まあ、マキナの姉がミーティア以外にいるのかどうかは知らないが、たぶん第一王女だからな。

 言ってしまっては元も子もないが、こんな場所に住まわせることはできないだろう。


「ミチヤ殿。よろしく頼みますぞ」

「任されました。けど、精神面もどうにかしろとか言いませんよね」


 あ、そっぽを向かれた。あのジジイ。

 ただ、雰囲気を見ると、マキナがこんな感じなのは母親譲りのようだ。

 と言うわけで、彼女にも教科書を作った。参考書は後で作る。


「……私が持ってる本よりも分かりやすい」


 どないやねん。


「確かにな。魔法に関しても、戦術に関しても、教科書と言うにしてはかなり質がいいと俺も思うぜ」


 イナーセルも読んでいる。


「ご主人様って器用ですね」

「今に始まったことではないと思うが……」


 ミラルドがニコニコしている。

 タイダロスは苦笑しているが。


「それじゃあ、行くか」


 今、朝の六時!

 学校に行った。

 まあ、廊下で待ってもらって読んだら来てもらうというテンプレで紹介した。

 それはまあいいのだが、イカロスがこんなことを言いだした。


「せっかく来たんだ。パーティーやろうぜ!」


 イカロスが言うのは、この学校に途中編入するものはほとんどいないのだ。

 親睦を深めるためにも、そう言ったことはするらしい。

 どうせ人数もそこまで多いわけでもないのだ。


「まあ、それでもいいか。それじゃあ、なんも用意してないけど、やるか。俺はなんか料理でもするか」


 食材だけはたくさんあるからな。大食い(イナーセル)がいるから。

 で……。


「先生って料理うまいんだな」


 みたいなことを全員に言われた。

 マキナも笑顔だ。食事と言うのはうまく話せるツールみたいなものだと言う人もたまにいるが、こういった部分を見るとよくわかる。

 しかし、マキナってよく食べるな……。

 ミーティアはそこまで食べないけどな。カロリーでも気にしているのかね。

 あ、この世界での料理は、多くの場合は地球と同じなのだが、スキルとして『神格料理』と言う段階になって来ると、ちょっといろいろな意味で料理を超える。

 どんなものを食べたとしても、その体に必要なカロリーだけを摂取することが出来る。

 ……全世界の女性を敵に回しそうだが。

 要するに、同じものを食べた場合でも、普通に食べる場合と運動目的で食べた場合では摂取カロリーが違うのだ。

 イナーセル達にも話していないが、問題があるわけではないので黙っている。

 まあ、他にもいろいろある。

 ただ、ミチヤの料理は前世でゼツヤがしていたことを再現したようなものだ。

 ゼツヤの場合、どうなってしまうのだろうか。

 まあそれは知らんし気にすることでもない。

 今がいいのだからそれで十分なのだ。王宮料理長とかくそくらえである。


「先生ってなんでこんなに料理がうまいんだ?」

「……慣れだ」


 イカロスの返答にはそう答えるしかなかった。

 まさか、天才肌と言うものが使う常套句を自分が使うことになるとは思ってもいなかったが……まあ、いずれ使うことになるだろうし、それに、地球からこんな訳の分からん容赦のないパワーインフレワールドに飛ばされたのだ。本物の天才には及ばないとしても、そう言う才能もなしに生きていけないのも事実である。


「それにしても、一体どこからこんなたくさんの食材を持ってきたんだ?」

「ああ、先生いろんなところに行ってるから」


 本当にいろんなところに行ったからな。

 その中で今の奴隷たちを購入して経験を積んできたわけだが、充実しているといえるだろう。

 苦労することもあるし、何かと丸投げしてくる奴も多いのだが。


「……苦労してるんだな。先生」

「まあ、君らもこんな場所で生きているんだからすごいとは思うがな」


 異世界から転移したということもあるだろうが、大量の魔力と真名解放と言うスキルがあるからこそやってこれた部分も多いのだ。

 だから、本当にスラムに住んでいるような人間のこともすごいと思える。


「ただ、今になって仲間が増えてくれるとは思ってなかったぜ」

「そうだな。先生もそれは予測してなかった」


 まあもともと、大会そのものには全員で出現するのだ。もとより少ないのだから一人増えた程度問題ないはずである。

 どうせめんどくさがって名簿すらも作っていないはずだ。

 そう思うと、管理能力の低さはこういう場面で役に立つ。


「俺、こんなうまい料理食ったことないぜ」

「そうか」

「対校戦で優勝したらまた作ってくれるか?」

「もちろん」


 圧倒しようが蹂躙しようが、それまでいいようにされてきたことをやり返すことにはなるだろう。

 それが分からないミチヤではない。

 ミチヤの持論はいろいろあるが、その中の一つ『都合のいい時に都合のいいことを言うのが人生である』というものだ。

 はっきり言って悪役だが、今の第四学校周辺の環境は改善されてはいるもののまだまだ手が付けられない部分が多い。

 そんな中で生きてきたもの達なのだ。泥臭くいこうと問題はない。

 後悔はしないように、させないように。


「俺は先生が来てよかったぜ」

「そりゃ光栄だ」

「今までは、ぼろい校舎にガラクタ同然の機材を使って、右も左もわからずただやってただけだ。先生が来てから、校舎は新品みたいになったし、機材も最先端で、先生たちも教えるのうまいし、最高だ」


 苦労していたからこそ。言えるのだろう。


「あとは、この環境になれて堕落しなけりゃ問題ないだろ」

「そうだな」


 イカロスのもっともな意見にミチヤは苦笑した。

 この子は猪突猛進のわりによくわかっている。


「まあ、勝ったとして、その後どうなっちまうのか、ちょっと不安な部分もあるけど」

「権力云々の話か?」

「ああ。大人だからって言うと偏見かもしれないし、貴族だからって言うとそれも偏見だし、才能に頼り切ってるからっていうと偏見だし、太っているからっていうとそれも偏見だ。でも、全部そろってたらそれはもう、何かしてくるって公表しているようなもんだろ」

「……お前本当に17歳か?実年齢は俺と同じだぞ」

「こんな場所で生きてるからな。社会の闇くらい学べる」


 先の長い若者たちに余計なことを吹き込むなよ……。


「ま、問題ないだろ。それに、イカサマしてきたって、その上で叩き潰せばいい。ほら、よく言うだろ?『強いものが偉い』って。こっちが勝ってから何か言ってきたら、こういえばいいんだ『ならもう一回やろうぜ』ってな」

「俺やっぱ先生の考え方好きだぜ」


 イカロスが二カッと笑う。


「分かりやすい方がいいんだよ。深く考えることをやめろと言うわけじゃないがな。まあ、困った時は俺が何とかする。好きなようにすればいい」


 なんせ、ミチヤの臨時教師の任務は国王命令だ。

 それなりにミチヤの権限も大きくなる。

 そして、対抗戦において、ミチヤに味方してくれそうなビッグネーム保持者が来るのだ。

 対校戦に関して、その運営には冒険者ギルドが来る。

 しかも、対抗戦そのものには『冒険者ギルドのグランドマスターが来る』と言うこともしっかりと記載されていた。なんだかんだ言って登場回数の多くなるやつである。


「そうだな。困ったら先生に丸投げするぜ」

「ここで言うのか……まあいいけどな」

「ていうか、今まで先生そのものがいなかったから何も言えなかったって言うのもあるけどな。ただ、対抗戦に勝てないことを誰かのせいにしなくていいって言うのは、俺はいいことだと思う……アドニスも、孤児院がつぶれた後で頑張っているんだからな」


 イカロス曰く、アドニスが自分が出ないせいで対抗戦に勝てない理由と文句を自分に向けようとしているのも、ほとんどみんな知っているらしい。


「ばれるよなぁ」

「無駄に強いのに隠すのは下手だからな。あ、先生。アイツ、隠蔽スキルが全然育たないって苦悩していたところを見たことがあるんだ。教えた方がいいかもしれないぜ」

「近いうちに教えておこうか。しかし……良い兄貴分だな。イカロスは」

「誰が引っ張るのか迷っている時は、俺みたいな馬鹿がちょうどいいんだよ」


 それには賛成だ。ミチヤだってイナーセルに任せるからな。

 その時、他の生徒から呼ばれたので、そこに行ってなんかやって。

 見たいなことを、その日はずっとしていた。

 マキナも、もう問題ないだろう。

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