第七十三話
で、事後処理、これが本当にもうかなり面倒だった。
コマンディアの活動期間は、厳密には八年半だった。
コマンディアがなくなったことで、ポーションを販売していたエルドラドも世界レベルで運営が中止になり、今まで、まあ優秀といえるポーションを販売することができなくなったので混乱はあったが、ヨシュアが別の植物での、エルドラドが販売していたものよりも効果の高い原液開発に成功した。
そういうわけで、シュレイオとクロノス、ハルカの三人で話した結果、ラシェスタがエルドラドの運営を引き継ぐことになった。
あ、情報代金と言うことでふんだくっておいた。最近使いパシリにされてムカついてたから。
ラシェスタのことは一応、極力隠しておきたいらしいので、名前はあくまでもエルドラドである。
ラシェスタが世界営業だったのが功をなしたようだった。
クロノスが若干青い顔をしていたがな。
そもそも、アースの一件での書類整理すらも終わっていない状況だったらしい。
当然と言えば当然なのだが……コメントに困る状況だ。
で、ドッペルゲンガーのナーザだが、ちゃんと領土に返してあげました。
ミチヤとフルーセが……。
どうでもいいけど、シュレイオとナーザはマブダチだった。うーん……まあ、計画者的な部分で言うと二人とも共通しているといえるのだが、どうもしっくりこない。
で、現在のミチヤたちだが……。
「で、風雅、春瀬、二人はどうするんだ?」
「ハルカちゃんは、一応用が済んだらザナークル王国に戻るらしいよ」
「俺達はそれに乗って戻ることになっている。まあ、冒険者ギルドの本部はまた別の大陸にあるから、ハルカはそこに戻るみたいだがな。で、ミチヤはどうするんだ?」
「全然決めてないんだよな。俺は帝国からこの竜族領土に直で来たし、それに、今回は、ポーション関係と、あとは王女を送り届けるって話だったから」
「思えば話がすごく飛んだもんだな」
「そうだな。まさか神が出てくるとは思わなかった」
ミチヤとしてはゼツヤに会えただけでも満足だがな。
「これからのことか……あまり決めていないな。あ、そう言えば、海道たちっていまだに魔王を倒すとか言ってるのか?俺死ぬまで鍛えても無理だと思うんだけど」
「言っているだろうね。まあ、無理と言う意見には僕も賛成だ。親衛隊や姫と言うだけであの強さだからね。しかも、彼らって若い方らしいし。七億年生きているとか訳分からないもん」
アークヒルズは10億年生きているらしいがな。
「結果的に言えば、これからどうするかってあまり決めていないんだよな」
そう思うと、魔王と倒そうと頑張っている海道の方が将来設計がしっかりしている気がしなくもない。
まあ、それを言うことはないが。
「それにしても、ミチヤのあの真っ白になるあれ、何?」
春瀬が聞いてきた。
「あれか。俺は『全身錬金』って呼んでる。スキルには表示されないんだけどな」
「ん、どういうことだい?」
「俺の魔力が異常に多いことは知っているだろう。だから、それを俺の体に濃縮して、それを材料にして錬金するんだ。そうすれば、普通の錬金で言う『上位互換』がはっせいするから、それで質が上がる」
「ステータスが低いと思ってたけど、まさか、自分の体を素材にすることで補うとか……」
「命知らずだな……」
なかなか失礼な言い分である。
「いや、これがな。俺の従魔のスライムに手伝ってもらったら、案外簡単にできるんだよ。まあ、魔力が大量に必要なのは変わらんから、出来るヤツは少ないと思うけどな」
「ミチヤはどれくらいの量を使っているんだい?」
「魔王の最大量の三倍くらいかな。それ以上はちょっと俺も危険だからやめてるけど」
それにしたってすさまじい量だが、それでもミチヤにとっては別に問題ないのである。
「なんかさ。RPGとかだと、MPタンクみたいな役がいて、分けてくれるスタイルの人っているけどさ……ミチヤは何かいろんな意味で異常だね」
「そんな訳の奴はめったにおらんぞ。あと、周りのメンバーが強すぎるし、友好関係は広いけどステータスがイカれているのなんのって……だから、こうでもして戦闘力を上げないとやって行けないんだよ」
「あー……ドンマイ」
「この世界に来て苦労人になったな。ミチヤ」
「同情と受け取っておこう。あと、お前らが言うな」
まあ、こんな風に話すことができる日も、多分これから多くはないだろう。
ミチヤも風雅も春瀬も、言ってしまえばトラブル体質だ。
「そう言えば、竜族領土に来るまでは長い間あってなかったけど、やっぱり海道は暴走していたのか?」
「まあな。ザナークル王国の首都でお前にあった後、元々奴隷と言うものが認められないって言うのに、さらに奴隷制度に偏見を持った。奴隷制度を撤廃したら、多分処刑のオンパレードになると俺は思うんだが……アイツにはわからんだろ」
地球で言えば発展途上国見たいな人数の国が乱立し、それぞれの政治体制が敷かれているのがアムネシアだ。
三年に一度、頂上会議と言うものがあるようだが、それは世界的に見た大まかな部分を決めるだけで、各種族の中では積極的には会議と言ったものを行われていない感じがする。
まあ、シュレイオみたいな人材が少ないから、誰が上に立つとかそう言ったバランスが不確定だから、まあ他にもいろいろ理由はあるだろう。気候もモンスターの出現種類も、国によってばらばらだ。
そうしたこともあって、人族だけでもなかなか共通項目が決まらない。
地球で言う国際連合みたいなものがあるわけでもないしな。
まあ、人族スリートップと言われているザナークル王国、ザウスフィード帝国、アミュレット法国のトップだけは最低限つながっているようだが、不安定なのは間違いない。
ラシェスタを使っていろいろ調節している部分はあると思うが、それでも、犯罪に至るレベルで貧困状態になる場合も否定はできない。
しかも、この世界は見る限り、実力主義ではなく成果主義だ。
何を持っているかではなく、何を達成するか。それでいろいろ決まる。
そのため、所得にかなり差が出て来るのだ。
奴隷と言う形で疑似的な保護関係になることで、何とか保っている感じである。
それでも裏の犯罪組織と言ったものは存在するわけだが、それは地球でも同じだ。
「奴隷と言っても、結局は主人次第だからな」
「ああ、というか、海道は俺のことどう思っているんだろうな……奴隷を持っているだけであそこまで言うかね?」
「いや、あの時海道は、ミーティアとヨシュア、ミラルドしか見ていなかった。テラリアはあの時はいなかったが……まあ結局、アイツは偽善者でしかないってことさ」
「それは最初から知っている。地球にいる時に、風雅がいじめのへたくそな演技をしてきたとき、わざと誘導して海道に見えるようにやってみたが、アイツ、露骨に見てみぬふりしてたぞ」
「あっそ……」
なんだろうな。結局は海道も思春期の少年なのである。
「自分が悪いと思ったことに関しては勇敢に立ち向かうことが出来る。そう言う意味ではいいやつではある。地球にはそう言う奴は少ないしな。いじめを発見してすぐに助けることが出来るヤツはそうそういない」
それは事実である。
「まあ、欠点としては、何でも自分でできると思っているおまけに、即断承諾しかしないってところか」
「そうなんだよねぇ……今思い返してみれば、僕達が全面的に協力することになったのって、海道が承諾したからだもんね。まあ、そう言うときに首を縦に振れるのも、海道らしさではあるし、逆にふらなかったら、熱でもあるのかってかなり心配になるけど」
確かに。
こういうとき、苦労人の元凶と言うものに対する愚痴と言うのはいくらでも出て来るものである。
結果としていいたいのは……まだまだ青いなぁ。ということだった。




