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真名解放の奴隷使い  作者: レルクス
水面下の条件編
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第七十話

「で、急遽呼び出されることが多くなった気がするんだけど」

「全部片付いたら報酬は十分に出そう」


 ミチヤは竜王に呼ばれていた。


「さて、今回のコマンディアに関してだが……なんと、拠点を発見したのだ」

「急展開だなオイ」

「拠点の番人とか全然いなかったらしいがな。ちょっと資料室に行って資料をごっそり盗んできたらしい」

「ザル警備か!」


 なんか今まで振り回されていたことがかなり腹立つ。


「で、どうするんだ?チーム編成は」

「いや、ハルカがSSランクの冒険者を呼ぶことに成功したから、もう安心できるといっていた」

「……?もうちょっと詳しく」

「言葉通りだが」


 ということは……。


「そのSSランクの冒険者って、俺達がまとめていくよりも強いってことか?」

「まあ、作戦にもよる。それに、事後処理の方が大変になる恐れもある。それと、ミチヤは『神隷の紋章』と言うものを知っているか?」

「いや、初耳だが」

「うむ、まあ簡単に言えば、神が使う紋章のことだ。逆らうものを強制的に死亡させることが出来ると言うものだと聞いたことがある」

「はっ?」


 人権と言うものに喧嘩売ってるだろ。それ。


「この紋章の厄介なところは、まず、紋章が叛逆行為だと判断した時点で死を迎えるということ、だからこそ、うかつな行動を本人もとれない。そして一番厄介なところは……使用制限がないことだ」

「なんだそれ……」

「ただし、通常の奴隷紋が本人に直接刻まれるものであることに対して、この紋章は、アイテムによるものだということが重要だ。そして、使用することそのものに制限はないが、生み出すのには少々コストが必要になる」

「もしや……一番最初に考えられていた、ポーションによる資金集めは……」

「『神隷の紋章』を作るためだっただろうな。思えば、ポーションや魔法具を売るにしても、あまりにも数が多く、それでいて活動範囲の増加が遅いとシュレイオも言っていたが、それにも関係しているだろう」


 神が直接関係するアイテムを作っていたのだ。コストは相当なものだろう。


「ただし、この紋章は、あくまでもアイテムであって、節理の影響に寄る奴隷宣告とは少々異なるのだ」

「奴隷宣告もちょっと気になるが、とにかく、解除することは可能ってことか?」

「本人には当然不可能だがな」


 当たり前である。


「偵察によると、多くのものが、この紋章を付けられているらしい。数年前、優秀な職人たちの誘拐が何件かあったが、これに該当するのだろうな」


 結構前から活動していることになる。


「で、今回、その紋章を大量に使われていて、そのもの達をどうするかと言うことになるのか」

「そう言うことだ。話では、一応、解除することも可能と言うことだったが……方法はまだ分かっていないのだ」


 アイテムか……。


「『創造神ゼツヤ』とは、連絡はとれないのか?」

「ん?ああ、あの神か。あの者は活動場所がそもそも別の大陸だからな」

「そうか……」


 あいつがいれば楽なんだがな。


「呼んだかい?」


 窓の外を見ると、青いコートに黒い長剣の青年がいた。


「呼んだらくるような奴だったか?お前」

「時代と言うのは変わるんだよ。うーん……道也(ミチヤ)か?」

「そうだ。ミチヤだ」

「召喚されたっぽいが……名前まで変わっている訳ではないようだな」


 はぁ……。


「ちょ、ちょっと待て、二人は知り合いなのか?」

「「知らない中ではない」」


 ハモった。


「そ、そうか……」

「まあ……いつまでも浮いてないで入ってきたらどうだ?」

「それもそうだな」


 ゼツヤが入ってきた。


「……大分落ち着いたな。ゼツヤ」

「君はあまり変わってい無い感じだな。ミチヤ」

「まあな」


 ゼツヤがソファに座った。


「神と一緒の卓を囲むことになるとは思わなかったが……まあそれは今はいいとしようか……」


 頭痛が発生しているようだが、放置しておこう。


「で、何か方法はあるのか?」

「あるよ」


 流石。


「何かしらのアイテムでも使うのか?」

「まあ、その方が早いんだが……もっと手っ取り早い方法がある」

「なんだ?」

「ミチヤのスキルだ」

「……『真名解放』か」

「ああ、俺もよく知らないんだけどな。それを使えば一瞬だ」

「……どういうことだ?まあお前のことだから、『神隷の紋章』についていろいろ知っているのは分かるが……」

「そもそも、奴隷にするって捕らえているけど、ただの呪いだから」

「呪い?」

「奴隷宣告の場合は定義的に奴隷の属性が付くから真名解放を使っても解けないが、ただの呪いなんだよ」

「俺の奴隷も、真名を開放して呪いが消えたことがあるな」


 ……ちなみに、この時アークヒルズは頭の中では混乱していた。

 え、神とまるで友達みたいに話しているぞ。しかも、お前呼びって……どういうことなのだ。説明してくれ。しかも、ミチヤは大体半年から一年くらい前に来たはず、なぜここまでゼツヤについて知っているのだ?

 じょ、状況が理解できん。まるで意味が分からんぞ。

 ……とまあ、こんな感じであった。


「で、真名を開放すればいいってだけのことなのか」

「アイテムを使うより早いからな。お前のことだ。てっとり速い方がいいだろ」

「まあ、それもそうだな」

「そう言えば……ミチヤ、俺の真名って見える?」


 ミチヤはスキルを意識してゼツヤを見た。

 フッと笑った後、言った。


「オラシオン」


 次の瞬間。竜王を開放した時以上の魔法陣がいくつも出現する。

 それらは次々と砕けていった。


「おお……これはすごいな……しかし……真名はそれか。なんか感慨深いね」

「で、どうするんだ?」

「うーん……いや、まだ制限が付いている部分が多い。まあ、神ってそう言うものだからね。俺の場合はアイテムで無理矢理来てるけど」


 強引である。


「まあ、情報だけもらえたらそれで十分だ」


 要するに……その拠点に、ミチヤも行けばいいというだけの話なのだ。


「ああ、でも、真名ってそんな簡単に開放していいのかね?」

「今更感が強いね。まあ、持っている本人の悩みだろうけど……ミチヤ、使うべきものは使うべきだよ。なにも、その子孫まで解放が継続するわけじゃない。まあ、数億年もすれば落ち着くからさ」

「摂理によってか?」

「そういうことだ。それじゃあ、俺は帰るよ」

「ああ、それと、これ」


 ゼツヤは魔方陣を出して手を入れると、真っ黒のロングコートを出した。

 光を完全に遮断するマットブラックだ。

 そして、いたるところに銀色の鎖が付いている。腕に巻き付ける感じになっていたり、ベルトの代わりに巻き付ける感じになっていたりする。

 まあ、それなりにしっかりとしているので、チェーンの音は聞こえないが。


「刀は自分で持っているだろうけど……打ちなおそうか?」

「いいのか?ていうか、出来るか?」

「あのドワーフの少女もなかなか技術はあるけど、俺からすればまだまだ青いよ」


 ミチヤはポーチから刀を出した。

 黒く塗装しているので真っ黒である。


「任せる」

「任された。アークヒルズ、ちょっと場所借りるよ」

「ああ……」


 急展開についてこれないのだろう。唖然としている。

 そして、ゼツヤは魔方陣に手を入れて、生産道具を引っ張り出すと、早速取り掛かった。


「ふむふむ、素材は良いみたいだね。だが、研究が足りないな……ミチヤ、これ、あの全身錬金のとき全力で触れないんじゃないかい?」

「何で知っているんだよ……」

「俺の鑑定スキルは他とは一味違うからな。あと、俺もできるし」


 だろうな。

 火を付けると、早速打ち直していく。

 時々粉だったり鉱石だったりと言った素材を追加していって、それは完成した。


「……出来た」


 渡されたので受け取った。


「ふふふ……」

「ミチヤ、顔に出てるよ」

「ん?ああ、すまんな」

「気持ちは分かるけどね。さて、俺は帰るよ」


 荷物をぱっぱと片づけたゼツヤは、指輪を取り出して転移していった。


「……やっぱり落ち着いてるな」

「もう、何が何だか……」


 アークヒルズにはわからなかった。


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 道也が歩んでいる人生は、ちょっと特殊だ。

 ミチヤは、2019年の地球から召喚されたわけだが、それ以前にも生きているのだ。

 それも、26世紀に。

 そこではVR技術が急激に発展しており、VRMMORPGがたくさんあった。

 数あるゲームの中で、ミチヤとゼツヤは当時、20年続いていたあるゲームがあったのだが、それをプレイしていたのである。

 その中では、ミチヤは、ミチヤと言う名前としてではなかったが、トップクラスの刀使いで、ゼツヤは、トップクラスの生産職だった。

 ミチヤは、サービスが終了した後も生きて、寿命を迎えて、2002年に『タイムスリップ転生』して、それから今に至る。

 久しい。

 感動を抑えるのに必至だった。

 まあそれでも、相棒(ゼツヤ)にはばれているだろうが……。


 すくなくとも、何か満たされる何かがあったのは、間違いないことであった。

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