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真名解放の奴隷使い  作者: レルクス
水面下の条件編
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第五十二話

 だが、今現在でも、ポーションがどうとか言っているもの達もいる。

 そう、あの三人である。


「何か分かったか?」

「エルドラドっていう店で売られていたポーションに、何か裏があるって話だぜ」

「私もそう聞いた」


 海道正哉。黒川零士。西塔桃香の三人である。

 三人とも、竜王からもらった装備を見に付けていた。


「どうする?行って調べてみるか?」


 零士がそう言ったが、次の瞬間。後ろから声をかけられる。


「ふふふ。その必要はありませんよ」


 振り向くと、黒いフードのマントという、『何かよくわからんけど怪しそうな男』がいた。


「どういうことなのかな?」

「エルドラドのことでしょう。その店の情報をいろいろと持っているのですよ」

「本当か?」


 正哉が食いついた。


「ええ、ですが、大きく言える話ではないので、場所を変えましょう。こんな広場で言うことではないので」


 思えば、そんな広場でこんなことを話しまくっているというのも妙な話だが。

 とにかく、移動した。


「まず、エルドラドのあのポーションの秘密なのですがね。ポーションを作る際に必要な『原液』というものなのですが、これに血液を使っているということなのです」

「なんだって!?」


 まあ、それは普通にびっくりするだろう。


「そして、その血液の収集方法なのですが、いったいどのような方法をとっていると思いますか?」

「どこかで献血してもらっているとか?」

「そんなぬるい話じゃありませんよ。広場からすぐのところに、ミュージックホールがあったでしょう」

「ああ、あそこか」

「あそこで、別の部屋にはいるときがあったはずです。その時に、実は眠らされて、その時に血液を抜かれるのですよ」

「な……俺達も行ったよな」

「あ、ああ」

「私も入ったわよ」


 何と三人とも血をすでに抜かれている。

 というか、魔法使いである桃香はいいとして、暗殺者である零士と勇者である正哉も気づかないというのはどういうことなのか。実力が不安である。


「そうして集めた血液を使って、原液を作り、それをもとのしてポーションを作っているのです」

「それは許せないな」


 無論。地球でも献血と言うシステムそのものは存在するが、気づかぬ間に抜かれるということはないだろう。一体どんな集団だ?


「しかも、血液型が珍しいものは、地を全て抜かれるということもあるのです」

「血を全て抜かれるって……」

「もちろん。死亡します」


 正哉は絶句した。


「一刻も早くそいつらをどうにかしないと……」

「いえ、エルドラドはただの販売組織、血を抜いているのは、別の組織なのです」

「だが、共犯の可能性もある。どちらも裁かれるべきだ」

「私もそう思います。では、その情報を教えましょう」

「ああ、頼む」


 男は頷くと、話し始める。


「まず、血を抜いているのは『ダスト』と言う組織なのです」

「ふむ」


 ニセ情報であることは、無論。正哉は知らないし、疑おうともしない。


「そして、そのダストの拠点なのですが、建物なのですよ。そして、その扉を覆っているバリアがとても強固で、しかも、そのバリアを生み出している像はとても特殊なものなのです。アーティファクトの聖剣でしか、斬ることが出来ず、突入することすら、現在ではできない状況となっています」

「アーティファクトの聖剣か。それなら、俺も持ってきている」

「あなたには、その像を破壊してほしいのです」

「ふむ、そこからのことはどうするんだ?」

「我々は、この日のために、準備を進めていました。そして、人数もそろえています」

「俺達は手助けをすればいいと言うことなのか?」

「はい。私たちが先に突入し、合図を出しますので、その後に入ってきてください」

「わかった。俺は今からでも行けるぞ」

「助かります。こちらはいつでも準備完了ですから」


 で、現地集合と言うことで、建物の近くに移動した。

 男が連れて来た人数はかなり多い。三十人はいるだろう。


「……思ったより覇竜城に近いんだな」

「灯台下暗し。と言うことなのでしょう。正哉様。あの像です」


 男が指差した先には、口を開けた竜の石像があった。

 口からエフェクトが発生しており、その光がバリアを生み出している。


「よし。行くぞ」


 正哉は聖剣を引き抜いた。

 そして構えると、光をまとわせる。

 像に向かって突撃した。


「『聖王斬』!」


 忘れてはいけないが、彼は勇者だ。

 石像は、一閃すると、そのまま真っ二つになった。

 無論。真っ二つになった石像に、効果を発生する力など無いようで、バリアは消えた。


「ありがとうございます。それでは、私たちが先に入りますので、合図をしたら入ってきてください」

「分かりました。ご武運を」

「はい。お前たち、全員構えろ!突撃!」


 男が指示すると、集まっていたもの達は武器を構えて突撃する。

 あっという間に扉の向こうに消えていく。

 それはもう。何回も何回もシミュレーションしたかのように。


「零士。桃香。構えて待っていよう」

「ああ、そうだな」

「わかった」


 零士はダガーを構えて、桃香は杖を握りしめる。

 ……数分経過したが、合図がない。


「まさか……失敗したのか?」

「どうするんだ?海道。突入するか?」


 正哉は考える。


「あと五分だ。あと五分待っても何もなかったら、その時は俺達も突入する」

「わかった」


 ということで、待つ。

 ……が、五分はただ待っていると長いものだ。

 しかし、正哉は変な意味でまじめである。待つことくらいは問題はない。

 そして、何も合図はなかった。


「よし、行くぞ!」


 突入した。

 ドアを開けて中に入る。

 だが、人気が全くなかった。


「い、一体どうしたんだ?これ……」

「あ、あれを見て!」


 一番奥の部屋から、血が流れているのが分かる。


「行ってみよう」


 行ってみると、一人の豪華な服装の男が、先ほど集まっていた時の中にいた老人に剣を振りおろしているところだった。


「待て!」


 正哉は飛び出すと、男はこちらに向かって剣を構える。


「ち、お前もか」

「貴様がダストのリーダーか」

「ああそうさ。今までの奴は雑魚ばっかりで、こいつを見捨てて逃げ出したからな。お前はどうするんだ?」

「この場で倒す!」


 聖剣を光らせる。

 さて、何度も言うが、彼は勇者だ。

 ちょっと素人に毛が生えた程度のものに負けるほど、弱くはない。

 そして、無事に取り押さえた。

 その後、『老人から聞いた』冒険者ギルドの場所に行って、状況を報告。

 取り押さえた男も渡して、一件落着。

 そしてその後、竜王の代理の人族の者から、報酬をもらった。


「これですべての問題は解決するな」

「ああ、早く戻ろうぜ」

「そうね」


 正哉たちは馬車を予約して、その日のうちに帰って行った。


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 そしてこの時を持って、コマンディアの、『第一王女。及び第二王女誘拐作戦』は終了した。

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