第十九話
さて、ナモレイザに向けて移動中である。
はっきり言うと喋ることしかやることがない。
え、モンスターが出てきたとき?
こうなった。
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「ん、なんかモンスターが出たようだな」
フルーセがとまり、モンスター出現の鈴がなったのでそう判断した。
「ミラルド、どうなっていますか?」
「数は横一列で三体。距離は十メートル」
「分かりました。『フォールグリード』」
ミーティアが魔法を唱えると、てのそばに魔方陣が出現。
そして、なんか爆発したような音がした。
「ハルム。いく」
ミラルドが真っ黒のデフォられたコウモリを五羽出現させると、馬車から出て言った。
いや、一匹だけ解体道具を持っていくのを忘れていたのに気づいて帰ってきたが。
五秒後、アイテムの解体も済ませて素材を回収して戻ってきた。
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と言うことがあったのだ。イナーセルは爆睡中である。
奴隷が優秀なのは良いことだが、なにかと暇だ。
なので、なんかもう話しているだけになってしまったのである。
サボりではない。
「ラシェスタの方からはなにか聞いていないのですか?」
「聞いてはいないよ。でも、推測はしている」
たぶん原因は荒川だ。
「まずこの世界は、町も村も防壁はない。ほぼ空気は流れてきている」
「ふむふむ」
「で、勇者がドラゴンを討伐した」
「そうですね。そのような山ですから、岩竜でしょうか」
「まあ細かい種族は知らないが、荒川のことだから、使える素材はすべて剥ぎ取らせた筈だ。だが、そこで問題があった」
「「?」」
「ヒント1、まずあいつらのモンスターを食料として考える思考回路は薄い。ヒント2、モンスターの生息図を見る限り、鉱山に出てくるモンスターはほぼすべて、鉱石を食べて魔力で動いている『動く岩』だ。ヒント3、ドラゴンは普通に内蔵がある」
「なるほど」
ミラルドは反応した。
ミーティアは……最初から分かっているようだ。
「答えを自分で言うが、死骸が腐ったんだよ。その影響で、町にまで内蔵が腐ったことによるそれが蔓延して、結果的に疫病になったんだ」
「なんというか……凄いですね。ミチヤ様のクラスメイトは」
「うん」
荒川は金持ちだし、しかもゲーマーだ。ものが腐ることを考えるわけがない。
しかも、貴重なドラゴンの素材を誰かに譲ることも、売ることもしないはずだ。
町に疫病をもたらして去っていった男。
勘弁しろ。
あと気がかりなのは、山頂にいたドラゴンの種族はなんなのか、そして、そのドラゴンは生態系になにか関係していたのだろうか。そもそもドラゴンは一体だったのか、色々あるのだが、それは着いてから判断することである。
「荒川のやつ、なんでこうなのかなぁ」
「どんな人なのでしょうか……」
「そうだな、『無駄にポテンシャルが高い』『なんでも自分の思い通りになると勘違いしている』『性格は典型の不良』『女好き』ってところかな」
「ご主人様。敗北フラグが揃っているように聞こえるのは私だけでしょうか」
「安心しろ、俺もだ」
荒川の思考回路はいまだによくわからないが、まあ、そう言うことだ。
こうなるともう、あきらめた方がいいのである。
「ん、なんか地面の質が変わってきたな」
「そうですね。草原のようなものだったのですが、岩の道のようになってきました」
最低限、通行に必要な分しか整えていない。
まあ、フルーセが走るのに影響はなかったが。
「……思ったが、ここまで石が多いのはこの世界に来て初めてだな」
「ザナークル王国は基本的には自然が多いですからね。南東には自然にあふれた山があるらしいですよ」
「自然には限界高度があるからそこまで標高は高くなさそうだな」
「そうですね」
「しかし、フルーセって疲れないのかね?」
今思えば、フルーセって休まないよな。
無尽蔵の体力と言うのだろうか、とにかく走り続けている。
「フルーセは、馬竜の中でも『セアルハーグ』という種族みたいですね」
「ミーティア。知っているのか?」
「はい」
まあ、何を知っているのかより、どうして知っているのかが疑問だったが、まあ、そこは問題ないか。
「セアルハーグ。竜族が支配している領域に生息する『馬竜種』のなかでも、最高峰の知識とポテンシャルを持つ種族です。人語の理解はもちろんできますし、その気になれば、体力的にも王国の一周くらいは普通に行えます。他の種族とも、まあ限度はありますが意思疎通は可能のようです」
「すごいんだな」
「通常種は黒い毛並みに赤いたてがみなのですが、銀の毛並みに金色のたてがみを持つフルーセは、セアルハーグの『希少種』に分類されます」
「それってやっぱりすごいのか?」
「私は生きている間に見ることが出来るとは思いませんでした。そもそも生まれる確率があまりにも低いのです。具体的な確率は知りませんが、一万頭生まれた年があったとして、一頭いるかどうか、という話ですから」
「ほう」
「さらに、文字に関しては、竜族専用の文字である『竜族羅列』なら読むことが出来るらしいです」
「例えばどんな感じなんだ?」
「それは私もわかりません」
「そりゃそうか」
戦闘力も何か異常に高いものを感じていたが、そういうことか。
ではなぜ、こんな人族の領域のど真ん中に大けがをして倒れていたのか、それに関しては後で分かると考えておこう。
事情は確かに気になるものではあるが、必要ではない。
必要な時にわかれば問題はないのだ。
「ちなみに、子孫繁栄の義務があるとでも言いますか、フルーセは雌ですよ」
「……」
「本人は隠していますが……いえ、これはいいでしょう」
何を言いたいのかは知らないが、まあ、気にしなくてもいいだろう。
「ミチヤ様は、馬の特性を持つということで甘みのある硬いものを食べさせていますが、セアルハーグはすべて食べることができます。くさいもの以外は」
「優秀だな」
「かなり知識も高いです。少なくとも、イナーセルよりも賢いでしょうね」
「イナーセルの学力がどの程度なのか知らないんだが……」
「文字が読み書きできるという時点で、オーガの中では貴族だったはずです」
「イナーセルが貴族!?」
まあ確かに、魔王軍のこともなんかいろいろ知っていたような感じではあるが。
「私は15年間。ずっとあの檻にいましたから、今の世界の事情について分からない部分もありますが、イナーセルはその間の知識についてかなり詳しいはずです」
「昔のことについてはミーティアに聞くとして、ここ最近の大きなことに関してはイナーセルに聞くのがいいってことか?」
「そういうことになります」
「私もいろいろと知ってるもん!」
ミラルド。君はキャラを統一しようか。一体どのタイプなのか全然わからないよ。
「ナモレイザについて詳しいことは分からないと思いますが……そう言えば、ミラルドはなぜ知っていたのですか?」
「わたしはあそこに行ったことがある」
「なるほど、そういうことでしたか」
「技術で勝負する気はほぼゼロ。その代わり、発掘しに行く人が多いって感じかな」
「まあ、鉱山だからな」
運搬コストなどの問題もいろいろ出てくると思うが、それに目をつぶれるのなら首都で使っても問題はないのだ。
問題なのは、盗賊とかだな。
フルーセには盗賊とかはスルーしていけと言っているので遭遇しているのかしていないのか、それは不明なのだが、いないわけではないだろう。
たまにミラルドの耳がピコピコ動くので確かだ。
しかし、今度は町だ。
村みたいに蔓延しているとか、そんな話にはなっていないとは思うのだが……さて、どうなっているんだろうな。
荒川にあったらどうしようか……。
胃薬代でも請求するか?
いや、それはいいか。
もうそろそろである。




