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ユキトとアルファナの森  作者: 利
二章 エルフの隠れ里アルファナの生活
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狩人トル

シルフィーからノックダウンを食らってしばらくが立った。


俺は家事、同調の改良、筋トレ、剣の稽古を繰り返す日々を送っていた。


最近は筋肉痛になることも少なくなる。若い体と言うのはなんといいことか。


そんなある日、あるエルフがここを訪ねてきた。

狩人のトルという人物だ。


「エイフィアはいるか?」


「は、はい、呼んできます」


鋭い目つきにビビりながらも、平然を装い、エイフィアを呼びいく。


エイファアに中に入れてと言われ。彼を家の中に案内した。


「やあ、どうしたの?」


「弓の魔付を頼みにきた、できるか?」


「いいよ、暇だし・・・んーそうだね1・2週間は欲しいかな」


「わかった頼む」


あれがお茶を出す前に、この短い会話でトルの依頼はすぐに終わった。


は、はえーよ


「あ、ちょっと待って」


エイファアは扉を開け帰ろうとするトルを呼び止める。


「どうした?」


「この子にも手伝わせるけどいいかい?」


その言葉でトルの視線が俺に移る。

怖い。


「・・・・別に構わないが」


別に構わないが、、、なんだ?


「その子は何が欲しい?エイファアはいつものでいいんだろ?」


「うん、私はいいよ、ユキト、君は対価に何が欲しい?」


「なにって言われても」


急に言われても困る。

対価といっても、おそらくこの弓の魔付の報酬代わりのものを言えばいいのだろうが。

この魔付がどの程度の価値があるか俺にはわからない。


「エイファアの対価はなんなんだよ」


「私は大抵、革かな、たまに本とか」


そのくらいのがいいのか


「いいんですか?」


「ああ、言ってみろ」


トルに伺うと、彼は表情一つ変えずに即答する。


「じゃ、じゃあ、肉がいいです。」


その答えにトルの目が反応する。え?ダメなの?


「・・・そうか、人間だったなお前は」


「は、はい」


「わかった肉が取れたら持ってこよう」


「あ、ありがとうございます!」


この人は俺が人間ってことを忘れてたのか?いやいや、これでもここアルファナじゃ有名人だ、悪い意味で。


天然なのか?それか無頓着なのか、この人は。


しかし人間とわかっても、目の雰囲気は変わりはしないままだ。

ヒュムに対する嫌悪がないのか?


「出迎えはいい」


そう言うと、お茶を一口で飲み干して、

そのまま家を出る。扉を出る際、


「お茶、うまかった」


とボソリといって、エイフィア宅を後にした。


・・・・なんかいい人っぽい。


ーーーーーー


「で、どうすんだよ、俺まだど素人だぞ」


俺はエイフィアには不満を漏らすと。

エイフィアは本を閉じて俺と目線を合わせる。


「やり方は全部わかるでしょ?」


「まあな、でもなぁ、」


「大丈夫、君は掘るだけでいいから」


「まあいいけど、うまく行かなくても知らねーからな・・・・道具取ってくる」


不満げな俺にエイフィアはニコリと微笑んだ。


「うん、お願い」


ーーーーー



魔付


武器、道具などに魔法的能力を付属することだが。主に魔法を使えるものにしかできないとされている。


しかし、魔法ができない者が魔付をすることも不可能ではない。

魔法を使えるものの弟子になればいい。


魔法使いにはそれぞれの魔法記号というものがある。

魔法使いはその記号を、己と周りの魔素で化学式のように組み立て、魔力をエネルギーとして、それを変換、構築、または消費して魔法を発現するのだ。


ちなみに己の魔力を使わずに、魔法記号と魔素で行うものを主に魔術と呼ぶ。


そしてその要となる魔法記号は一人一人違い、同じものはないと言われている。


それが問題が出てくる。


例えば、俺が仮にエイフィアの魔術記号をこの弓に彫り込むと、相性の問題によりエイフィアが一人で魔付を施したものよりも能力がかなり激減する。


相性の要素は、武器の製作者、魔付の記号、魔付を施す者、それの相性の良し悪しで武器の質がかなり変わってくる。


ちなみに俺とエイフィアの相性は然程言い訳ではない、普通だ。

武器の製作者はセトというエルフだが、このエルフはエイフィアと相性がいいそうだ。

だからセトの武器や道具がたまにこうやってエイフィアの魔付を施しにやってくる。

そしてさらにこの弓を使うトルとの相性も関わってくるわけだが。


で、今回俺も手伝うことになった作業は簡単に言えば下掘りだ。


後でエイフィアが仕上げをする。


正確にエイフィアの魔法記号を掘れないと、仕上げの時にエイフィアが苦労するし、それこそ性能が落ちる。

下掘り程度なら俺の相性は大して関係ないが、大事な作業ということには違いない。


まあ、ありがたいことに同調のおかげでエイフィアとフィンデルトの魔法記号はほとんど頭には入ってるし、日ごろから書く練習もしてきた。


まあどうにかなるだろう。


なればいいな


------------------


すぐに作業に移った。


最初は下書きだ、炭を使い記号を描いていく。


ファンデルトとエイフィアの知識の中から良い記号を選び描いていくと、それだけ性能が上がる。


極端な話、世界中の魔法使いが研究し合いそれぞれ一番適した魔付を施す事が出来れば、最強の武器ができると、前にエイフィアが言っていた。

しかしながら、それは錯誤することも時間的にも不可能だとも言っていたが。


配置よく記号を並べていくと、不思議なことに綺麗な装飾模様のようになっていく。


はっきり言って楽しい、そして飽きない。


「・・・・こんなもんでいいですか?先生」


ようやく書き終わった下書きをエイフィアに確認してもらう。


「・・・・・うん、いいと思うよ、ここは少し変えた方がいいかも」


「あー、そか、こっちの方がいいのか?」


「うん、そうだね」


「・・・・なあ、そういえば全部の魔法使い集めたら最強の魔付ができるって言ってたよな」


「うん、言ったね」


「同調を使えばいけるんじゃねーのか?」


「それ、私も考えたことあるよ、でも無理だね、ほら容量がもたない」


「ハイエルフでもか?」


「うん、無理、記憶の選り好みができたら話は別だけど」


「魔術記号だけとか?」


「うん、でも難しいね、知識と記憶と感情って同化してること多いから、一つだけを貰おうとしても、どうしても色んなものが付いてきちゃうし」


「ほーん、でも、少しずつできてんだろ?記憶の選択」


「そうなんだけど、知識、記憶、感情の切り離しができないことにはね」


「先は長いな」


「そうだねー、あ、ここ無くした方がいいよ、バランスが崩れるから」


「あ。了解、そっかいらねーのか」


修正箇所はいくつかあったが、前に比べたらかなり少ない方だ。まあ、上出来か、


とりあえず、下書きを終え、魔付用の子槌と鏨を用意した。今回は木製の部分が多いので彫刻刀も用意し

下書きをなぞり掘っていく。


一つ一つ丁寧に、これだけは失敗できない。


木を削る音だけが部屋に響いていた。






















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