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ユキトとアルファナの森  作者: 利
二章 エルフの隠れ里アルファナの生活
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エルフとの生活5

壁を本棚で覆われた部屋、大量の本が、その本棚に入りきれず、無造作に床に並べられている。


その部屋にいる一人の少年と二人のエルフが質素な椅子に腰かけていた。

そのうちの一人、老人のエルフが、出されたスープを一口飲み、器を質素な机に置いた。


「異世界か・・・・」


「信じられませんか?」


老人、長老リンゲルがつぶやくと、そばに座っていたエルフの美女がそう問いかけた。


「・・・いや、それらしい話は聞いたことがある。直に会うのは初めてだが・・・」


彼、リンゲルにはすべてのことを話した。


この世界に来る前のこと、同調のこと、俺が実は中身が子供でないこと、そしてこの世界に来た理由の可能性。


「君がもし、霊樹によってこの世界に転生、若しくは召喚されたのなら、いくつかの疑問の説明つく」


「疑問とは?」


老人の言葉に美女エイフィアはその疑問について聞いた。


「あの手枷は一級品だった」


「・・・粗悪品だと聞きましたが」


「子供達で外せたのだ。私も最初はそう思っていた。調べてみるとな、あれは高度な魔付が施されていた。

一級の魔導士でも付けられれば取り外すは困難だろう・・・・それをなぜカレル達が解けたのか」


少し間を置き老人は言葉を続けた。


「まず、仮にユキトが霊樹に召喚されたとする。とすれば彼はハイエルフ以上に霊樹に好かれた存在になるのかもしれん。

カレル達が一級品の手枷を外せたのも、ユキトの焼き印の痛みをきっかけに森の力が作用したと考えれば納得がいくのだ」


「ユキトの危機に、森の力が手枷の無力化に作用したということですか?」


「ああ、ましてはあの場にはシルフィーもいたのだ、森の力が作用してもなんら不思議ではない。


いくら主力をアデル等が倒したとはいえ。子供たちだけの力で奴隷狩り達を一掃できるわけがない。普通ならば、返り討ちにあっている。カレル自信も森の力を感じたと言っておったしな。


一級の魔付を弱体化させ、、一時的に本人以外、複数のエルフの魔力をを底上げする程の力だ、並大抵の好かれ方ではないだろうな」


リンゲルはそう言いながら俺へと視線を向ける。


「カレルの魔法を弾いてた奴隷狩りに殴られたと聞いた。普通であれば、そんな者の拳を子供がもらえば死んでいる。君自身にも森の加護の力が働いたと考えるのが妥当だ」


「・・・・そうなのか、全然気づかなかった」


そう言って自分の両の掌を見る。


森の加護。自分が森に好かれた存在という可能性を上げられたが、俺自身は少しも実感できない。


ーーーあれ?まさか前の世界での俺の死因ってーーーー



リンゲル長老は芋のスープを一口すする。


「まだ、わからぬことだらけだ、今回の奴隷狩りの件も、末端の部分すら解決できていない。また皆を集め話すことになるとは思うが、ユキトの事に関しては私たちしか知らぬ方がいいだろう。他言は無用だ」


「はい、長老」


長老の言葉にエイフィアが返事をする。

リンゲル長老はスープの最後の一口をすすると、食器を置き言葉を続けた。


「あと数日で情報収集に送った使者が帰ってくるだろう。その時に他の村の代表も集めるが、ユキト、君にもその時に参加してはくれないか?」


「え?俺がですか?」


「ああ、今回の件、君に罪はなくとも、皆何かしら関係があると思っている。君についても必ず話題に出るだろうからな。


心配せずとも君の安全も保証すると約束する」


「・・・はあ、はい、わかりました」


「不安そうだね。大丈夫、私もついていくから」


「そういう問題じゃねーんだよ、まあ、そっちの方が少しは助かるけど」


「まだ多種族をを悪く思う者も少なくない。十数年前前までは、交流さえしていなかったからな。


大丈夫だ。皆もわかってくれるさ、エルフは仲間に手荒な事などしない・・・と思うが・・・」


「え?」


「もし、事が起きたとしても、必ず守るさ」


俺の不安は一気に増える。


「起こるかもしれないんですか!?!?」


俺の言葉に長老とエイフィアがいたずらをした子供のようにクスクスと笑う。


「冗談だ。そんなことは起こらぬよ」


長老リンゲルは冗談交じりにそう言ったが、俺としては不安は消えず、集会に対する嫌悪感は増すばかりだった。


「とりあえず、今日は君について聞きたかったのと、このことを伝えるために来たが、君の元いた世界に興味が湧いた。もう少し聞かせてはくれぬか?エイフィアと君が良ければだが」


「私は構いませんよ」


長老の要望にエイフィアは何1つ迷わずにそう答えた。


「俺も構いません。どんなことが聞きたいんですか?」


俺も別にそういう事については、今更なんの問題もない、そう答える。


「そうだな、君の世界の歴史を聞きたい」


「わかりました。じゃあ・・・かなり昔のことから話させてもらいますね」


人と話すは決して得意ではなかったが、長老リンゲルとは自然と話せている自分を不思議に思いながらも、俺が霊樹に召喚された仮説を思い出せば、ハイエルフの長老と親しく感じるのは当然なのかと、納得した。


前にハイエルフ同士は親近感が湧くと前にエイフィアが言っていた。


今思えばエイフィアと話しているときもあまりそういう緊張した感じはしなかった。

一部のエルフしか知られておらず。その正体を隠してはいるが、彼女もハイエルフだ。


父の同調により、剣術と共に高度な術式、数多くの魔法を扱える。さらにハイエルフの特徴である、高い魔力と術式を何重にも使える高い処理能力、おそらくエルフの中でもかなりの強さだろう。


そして、ハイエルフのエイフィアや、長老に、緊張感を覚えないと言うことは、俺が霊樹に召喚されたと言う仮説もあながち間違えではないのかもしれない・・


・・・あれ?そう思えば、シルフィーのときも緊張したのは最初だけだった。


長老もあの場にはシルフィーもいたとか言ってたな・・・


そうか、シルフィーも、ハイエルフなのか・・・


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