奴隷狩りとエルフ
ーーーここはどこだ
眼前にあるのは満月。
仰向けの状態で俺は寝ていた。
月明かりの中、自分の体の異変に気付く、まず1つは自分が全裸だったこと、衣1つ付いていない。なんか下の毛もない、ツルツルだ。
毛の確認をしているとまた体の異常なことに気付く。
体が小さくなっているのだ。間違いない、ただえさえ小柄な体が更に縮んでいる。立てば見える景色の視点が明らかき低い。
ーーー若返っている。おそらくは十歳にも満たないだろう、ピカピカの一年生くらい・・・ということは6歳程度か
「ど、どういうことだってばよ」
ドッキリかこれ?と思いたくなる。
いろんな疑問が頭をショートさせる。
思考を巡らせながら、勝手に体は同じところをグルグルと歩き回る。
「やべえ、わからん」
不安をなくそうとぶつぶつと独り言がでる。
考えはまとまらないし、未だに頭はショートとエラー繰り返してる。
しばらくすると頭は許容をこえて思考を停止したようにその場に座り込む。とりあえず深呼吸をして頭を落ち着かせ、今の状態を把握しよう。
現状は全裸、持ち物なし、森の中・・・絶望的だ。
もう日が昇るまで寝ようかと考えていたときだった。
遠くから微かに森以外の聞こえる。実際に乗ったことはないがそれが何かわかった。
馬の蹄、木製の車輪の回る音。
「馬車・・・人!」
幻聴じゃない、確かに聞こえる。確信した瞬間その音の方へと走り出す。
近づけば火の光も見え始め、光の手前には道がみえる。踏み固められただけの簡単な道だが、素足の痛みを堪えながら、とりあえずその道に入り光の方向へとさらに足を進める。
「おーい!すみませーん!!助けて下さ〜い!!」
ありったけの声を出し馬車を止めようとする。全裸の羞恥なんて考える余裕なんてなかった。
馬車は何台か並んでいてその両側面を単騎が数頭ついていた。馬車の集団の先頭が俺の声に気付き、なにか仲間と話した後、二騎がこちらに近づいてくる。
そして助かったと思った瞬間に気付いのだった。馬車なんてもんがある違和感を。
あれ?なんかおかしい・・・この時代に馬車って・・・
近づいてくる単騎の男が腕を振る、その瞬間衝撃が来たと思えば視界がブラックアウトし、そのまま地面に叩きつけられた。
殴られたのだ、顔半分に広がっる痛みと背中を強打し込み上げてくる嘔吐感、目には涙が滲む。背中を強打した影響で息ができない、口が酸素を欲しがろうとするが肺がそれを拒絶しているみたいだ。
悶絶している間に男は馬から降り俺の腕を掴み捻るように引っ張りあげる。腕の関節が悲鳴をあげ少しでも痛みを緩和させようと立ち上がる、そのまま拘束されながら馬車の近くに連れて行かれる。
「ちょ!!なんなんすか!?」
すると別の男寄ってきて手に冷たいものがカシャリと嵌められる。その瞬間めまいを感じ目の前が暗くなる。立ち眩みのような感覚、
「なん・・・だよ、これ」
ふと視界が戻ると、手に嵌められたものを理解する。鉄製の輪っかが2つ、そしてその2つを鎖で繋がれている。
手錠だ。
「÷=>>$€%#」
「€€$÷<>=」
聞いたこともない言葉が聞こえる。そのまま馬車の扉が開くと同時にその中に投げ入れられた。
両腕は手錠で拘束され受け身は取れずそのまま頭と背中を馬車の壁に強化し、取り戻した息がまた吐き出される
「がぁあ!いってぇ!くそ!!」
最初ほどの痛みでなかったが涙が目から溢れる。またも痛みに悶絶している間に扉が鉄の軋む音を立てながら勢いよくしまるとガチャリと鍵のかかる音が聞こえた。
「・・・くそぉ、なんだってんだよ」
理不尽な痛みに泣きそうになる。二十五歳にもなって痛みで涙腺にくるとはメンタルがどれだけ弱いかと実感する。
馬車が動き始め、どうにか体制を立て直し壁に寄りかかる。
そして気付いたのは開いたスペースにある気配だ。馬車の中には明かりなどはなく。
外にある松明の光がどうにか小さな鉄格子を通して、ぼんやりと中まで届いているだけだ。
まだ姿は見えないがその気配が確かにいるのはわかる。
目が慣れていき、かすかにではあるがその気配の正体が理解できた。
十数名の子供たちが身を寄せ合っていたのだ。
十代前後の年だろうが、今の自分のよりも、小さそうな子もいる。そして、彼らも同様に手錠をされているようだ。
理解は簡単だった。本や映画で何度も見たことがある。実際には見たことはなくても、直感的にわかった。
「・・・奴隷」
そして自分の状況も理解する。
「あぁ、俺も奴隷ってことすか」
ただこの状況の理由がわからない。
撮影??ドッキリか?もしかして・・・
「タイムスリップ・・・異世界召喚・・・」
非現実、厨二病のような想像が口に出た。
一刻前を思い出す。事故に遭い運ばれる自分
は死んだのではないか、ということ召喚ではなく転生になるのか?
死んだかはわからないがとりあえず死んだとしよう。
異世界召喚・転生・学校にテロリストなんて妄想は腐るほどしたが、その実際、今の現状にその可能性が出てくると否定しか出てこない。
そんなはずはないあるはずがない。きっと撮影だ。そうだ総掛かりなドッキリだ!と自分に言い聞かせる。
妹二人や仕事先の人や先輩、色んな人の顔が浮かび、自分の状況の不理解に不安と恐怖がだんだんと膨れ上がる。
馬車の走る騒音の中で、すぐ横にガチャリと手錠の音がするのが聞こえた。ハッとその方向を向くと一人の少女が中腰でそこにいた。
手には小汚い毛布、それ差し出し警戒しながら近づいてくる。丁度、馬車の鉄格子から入る月明かりに少女が入り、その顔が照らされた。
金色の髪、とんがった耳、印象的なのは、瞳は緑の角膜、瞳孔は綺麗な青色、かすかに光ってるのような印象を受ける。
「・・・エルフ・・・あぁ、まじか」
色んな作品でいくらでも見たことがある。金髪の外人さんじゃないのは明らかである。
この時、理解したのだ。今、俺が存在するこの世界が異世界だということに。
文章ヘッタクソですみません