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1日目

自動ドアから一歩出ると、さっきの何倍もくさい、

いろんな種類のスパイスと汗と何かだめなものが無理やりブレンドされたような臭いが、むぅわぁっとした空気に混ざって全身を包み込んでくる。



そして目の前には、一目見ただけで、100%敵キャラってわかるような

濃い顔で、目がギラギラのやつ40人ぐらいが、

小さい柵の向こうから身を乗り出して、何やら叫んでる。

すぐに手に持ってる名前のプラカードで、ホテルの送迎なことは分かったけど、

なんか剥き出しすぎて嫌。

一緒の飛行機に乗ってた他の人を観察してみると、

みんな、やつらをみて一瞬ひるんだ後、

何かを決意したように、キッと強い表情を作る。

腹をくくれってことか。



近くにおったインド人にタクシー乗り場の場所をきいたら、

多分ヒンドゥー語の案内と同時に外の暗がりにいる集団を指差して教えてくれた。

そこに行ってみると、色が黒いせいか暗闇の中では特に迫力のある中年のインド人達10人ぐらいにあっという間に囲まれた。

とりあえず乗れ!って感じの強引なのが多いから、ゆっくり事情を説明すると、

どこに行きたいかの名前さえわからんねやったら、任せろ!って張り切りだした。

確かにとりあえずこっちに来てみたけど、名前も言わずに乗って、かもられても文句は言われへん。

みんなと一服して、気を取り直して日本人を探すことにした。

そういえばさっき気の弱そうな日本人男と目が合ったことを思い出して探した。

付いて行くならあの人がいい。


「 あのーすみません。日本人ですよね? 」


「 そうです。日本人ですね? ああ、よかった。」


「 僕、海外初めてで、でもホテルの予約をしてないので、

  困ってまして、もしよかったら街までご一緒させてもらえないですか?」


「 僕も海外初めてなんで心細かったんですよ。迎えの人には僕から伝えてみますね。」ニコッ


絶対いい人。


迎えのインド人に俺も同乗したいことを伝えてもらって、なんとかなった。

トランクに荷物を積んでもらってから、車は空港を後にして、ひたすら走っていく。

窓の外の景色は、砂煙でぼやけて大きく見えるあやしい月と、ひたすら続く砂地と、たまに砂山があるだけで他には何にもない。外の空気は汚くいのが窓ごしからわかるレベルで絶対に窓を開けたくない。

ただよく見ると、たまに子供が寝てるような影とか、親子が寝転んでいるような人影がある。

何のためにこんなところで寝てるのか、ここしか行くところがないのか、それとも死んでるのか。

あの人影が実際生きている人やとしても、俺にはどうしようもないけど、なんともやるせない気持ちになる。


1時間半ぐらい走って、目的地に到着した。

聞いた話によると、ここはニューデリーのパハルガンジーっていうスラムらしい。

砂煙でぼやけた月明かりと、電力の弱い電球がポツポツとしかないせいか、おどろおどろしい雰囲気が漂ってる。

車から降りて、インド人運転手の後を追ってホテルに向かう。

気味が悪いから早く着いてくれーって思ってる間に強い光の前に来た。

たどり着いた。空港を出て、車でホテルまで送ってもらった。ただそれだけのことやのに、嫌に長く感じた。



このホテルは、インドでは珍しいクーラー完備の最強宿で、しかもオーナーが日本語話せるというオプション付き。

たださすがに割高で、他が1泊200円ぐらいから泊まれるのに対して、ここは1泊2000円ぐらいする。けど、今日は安心を買いたい。

それでもちょっとでも安く泊まりたいし、オーナーが日本語を話せるのをいいことに値切ろうとしたら、車に便乗させてくれた日本人男と部屋をシェアして使うことになった。


受付でビールを頼んで、二人で乾杯をしてお互いのことを語り合った。

日本人男の名前はユタカ君といって、俺と同じ初海外、初一人旅、初インドだそう。ユタカ君はヨガの先生になる。っていう立派な目標があってインドに来たらしくて、電車のチケットを取ったらすぐに、ヨガの聖地リシケシに行くらしい。なんでもヨガは素晴らしい生きる知恵なんだそうで奥が深いらしい。いろいろ聞きたいことが山ほどあったけど、ヘトヘトすぎて早めに寝ることにした。

こうして、インドでの一日目が終わった。


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