コーネル・ウールリッチよ、永遠なれ。 forever Cornell George Hopley-Woolrich極私的コーネル・ウールリッチ論
ペンネームはウイリアム・アイリッシュのほうが有名だろうか?
サスペンスの詩人と言われたその作風はあくまでも
ポエム?なのですね。というか、、今風に言えば
ダークファンタジーです。
もっといえば
彼はロマン派の詩人です。
たとえば、、スチーブンキングのような乾いた、ざらざらした感じの作風とは全く別世界です。
ブラッドベリ「10月はたそがれの国」とか
ジャックフィーニー「ゲイルズバークの春を愛す」「愛の手紙」
のような作風を
もっと暗く、、ダークにして、、、、ミステリアスにしたら
アイリシュ、、、と言ったらいいでしょうね。
ウイリアム・アイリッシュ〔コーネル・ウールリッチ〕は
自堕落な生涯を送った作家でしたね?
最晩年にはホテル暮らしをしますがそこでも飲酒と喫煙三昧で体を痛めつけ
アル中と糖尿病で足を切断するまで悪化したようです。
1968年死亡しますが遺族はいませんでしたし、参列者は5人だけだったということです。
私が彼を知ったのは(彼の作品を知ったのは)
昔ラジオで朗読された短編からです、
そのあまりにも衝撃的な感動で
彼のその他の作品もむさぼるように読んだのですね。
さてその短編とは、、
「死よ、おごるなかれ」
原題は「ジェーン・ブラウンズ・ボディ」というのが有ります。
私はこれが好きですね。
あらすじ。
山中に不時着したパイロットがたどり着いた一軒家。そこには年老いた医者と美しい娘が住んでいた。
娘と恋に落ちた若者。しかし、娘は一度死んだ再生人間だった、
実はこの医者、自分が発明したよみがえりの秘薬を試すため、
墓場から死体を掘り返し、そしてよみがえらせたのがこの娘だったのだ、
この娘は生前ギャングの情婦で自堕落なジェーン・ブラウンといった、
しかし今こうして新しく生まれ変わって、
ノーバという純粋無垢な娘となったのだった、
現代のフランケンシュタイン物語のバージョンですね?
内容は切ない純愛です
恋に落ちた二人はこの山荘から脱出を試みます。
新しい生活を二人でしたい。
しかし、この娘、、定期的にその秘薬を打たないと体が老化して腐ってしまうのです。
愛の脱出行をした二人に医者はこう言います。
「6月〇日を覚えておけよ」
二人は愛の生活を始めますが、
案の定彼女の肉体は次第に腐り始めます。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
そうして、腐って骨だけになったその指に愛の指輪を男ははめてやるのでした。
いのちのはかなさ、死の不条理、愛の尊さ、
ここに今、生きていることの不思議、色々なことを考えさせられますね。
私はアイリッシュの一番の作品だと思います。
とはいえ
やっぱり長編にはもっと素晴らしいのがあるので
いくつか紹介しましょうか?
彼の作品は映画化されてるのも多いので
原作小説のあらすじよりも
私の覚えてるのは映画版の方のあらすじだったりして
ということで原作とは相違があるかもしれませんが
その点はご容赦ください。
「黒衣の花嫁」
これはフランソワトリュフォ監督の映画で有名ですよね?
なぜ彼女は次から次に連続殺人を繰り返すのか?
その謎が解き明かされたとき
読者はそのあまりにもロマンティック?な理由に唖然とするか?
或いは陶然とするか?
どちらかでしょうね。映画ではその主役をジャンヌモローが演じていました。
「暗くなるまでこの恋を」
原作のタイトルは「暗やみのワルツ」
これもトリュフォ監督の映画です。
アイリッシュが好きだったんですね?トリュフォは。
1890年ごろでしょうか?
フランス領レニュオン島で煙草の大農園を営むフランス人の男が
写真見合いで、フランスから妻を迎えます。
ところが、、やってきたのは何と写真とは全く別人の超美人だったのです。
驚く男
だってやってきたのはカトリーヌドヌーブですよ。
送られてきた写真に写っていたのはまったくの普通の並の女性だったのに
いざ来たのはドヌーブです。
そりゃあ驚くでしょ?でもその美貌に見せられた男はうさん臭さを感じながらも結婚する。
そしてやっぱりその裏には巧妙な罠が仕掛けられていたのだったという、、
アンジェリーナジョリーでリメイクされていますね。「ポワゾン」というタイトルです。
「幻の女」phantom lady
妻と争い家を出た男、、、町で偶然出会った不思議な帽子をかぶった女と、息が合い、バーで酒を飲み、ショーを見て帰ると、妻が殺されていた。男は捕まり死刑判決を受ける。しかし、アリバイはあの女が知っている。探偵に頼み必死でその女を探すが、、、、、誰もそんな女なんか見たことないというのだ、
冒頭の書き出しが有名ですね
「夜は若かった。そして彼も若かった、、、。」
これも映画化されてます。
「喪服のランデヴー」
恋人を殺された男の復讐劇です。
犯人らしい容疑者を次々に殺していく男の狂気?の復讐劇です。
そして語り口は哀愁漂うアイリッシュ節?ですね。
「夜は千の眼を持つ」
あまり有名な作品ではないですが映画を見て魅されました。
渋~いエドワードGロビンソン主演もよかったです。
Night has a thousand eyes
コーネルウールリッチ原作のミステリーアンドサイコサスペンス映画です。
エドワードGロビンソン演ずる、インチキ奇術師がある日本当に、未来が見えてしまうのです。
そこから始まる、幸運?それとも不運?の物語です。
早速株や石油で大当たり、この売れない奇術師は大金持ちになります、
しかし、不運は突然やってきました。
ウイリアムアイリッシュ(コーネルウールリッチ)の語り口の上手さで物語りは思いも寄らなかった方向へ展開していきます。
イヤア、アイリッシュはいつも我々読者を引き込んでくれますね?
映画自体の出来はイマイチですがそれで怪優ロビンソンの演技で見せてくれますね。
まだまだいくらでも彼の作品はあるのですが私の印象に残ったのは大体以上でしょうか。
ああそうそう「裏窓」ヒッチコックの映画の原作もアイリシュですよ。